生成AIが新規事業開発プロセスを自動化する未来
博報堂がこんなサービスを開発していました。
このサービスは、生成AIを活用して生活者理解を深め、マーケティングや商品開発、組織づくりなどに役立てようというものです。
僕はこのサービスを見て、
・これは思ったより速いスピードで、新規事業界隈でなくなる仕事が出てくる
・今までよりもっと確度の高い新規事業が生み出される ≒ サービスの死が減る
と思いました。そして少しだけ嫌な汗をかいています。
もちろん、このサービスがその状態を実現するかはわかりません。
ただ、そう遠くない未来に上に書いたことは現実になると思います。
今回はなぜそう思ったか自身の考えを書いてみようと思います。
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普段は大企業の新規事業開発を一緒に伴走しながら、ヘルスケア事業も手掛け、最近は大病院の事業戦略アドバイザーも行っています。
そんな動きもあり、GW明けにヘルスケアとAIに関するウェビナーを行うことになりました。
海外事例や国内の企業や病院で見聞きしている生々しい実態にも触れていきますので、良かったら見てください。(まだ資料作ってないけど・・・)
サウンディングやデプスインタビューが自動化する
新規事業開発において、アイデアに対するサウンディングやデプスインタビューは欠かせないプロセスです。
しかし、上記のサービスのように、これらは疑似的に行うことが可能になります。バーチャル生活者との会話を通じて、リアルな意見やニーズを聞き出すことができるため、時間や場所、コストの制約なく、効率的にフィードバックを得ることができます。
もちろん、これは僕らが直接インタビューする必要は無く、Enterを押して、朝起きたら数百人分のデプスインタビュー結果とまとめたサマリーが手元にあるはずです。
このような考えを述べると、「いやいや、所詮ヴァーチャルでリアルで聞いたわけではないから」という意見も出てくると思うのですが、"リアルとほぼ変わらないと思える状態"を技術が実現できた時に僕たちはどうすべきか?という話なんです。
PoCやMVPもヴァーチャルに
将来的に、バーチャル生活者が意思を持つようになれば、PoCやMVPのために開発したWebサイトを提示し、擬似的に利用してもらうことで、使用感や満足度を確認することも可能になります。
これにより、実際のユーザーを巻き込む前(本番リリース前)に、より精度の高い評価を得ることができ、開発プロセスの効率化につながります。
ここは現段階のChatGPTでもWebサイトの読み込みができているわけで、明日にでも実現できる可能性がありますよね。
また、PoC、MVPで作るWebサイトやプロトタイプは生成AIを使って制作、開発を自動化できる部分があるため、ここも大幅な省力化が可能です。
奪われる仕事たち
これまで、新規事業開発には様々なプロセスがあり、それらを人の力によって進めてきました。企業内部に新規事業開発のノウハウやスキル、経験を持つ人材がいない場合は、外部の会社を使ったり、業務委託をアサインすることが一般的でした。
しかし、生成AIの活用が進むことで、これらのプロセスは大きく変わる可能性があります。
極端に言うと、社内にディレクション担当と意思決定者がいれば成立してしまうといってもいいでしょう。
(そんなに簡単な話ではないですが)
多産多死の新規事業開発が変わる
ここまで説明してきたように生成AIを活用して新規事業開発プロセスがオートメーション化されていった際、本番開発までのプロセスを短期間で何百、何千と試すことができます。
つまり、今まで以上に確度の高いと考えられる事業アイディアに投資ができるようになるということです。
これは「千三つ(せんみっつ)」と言われてきた新規事業の成功数の公式を変えるものになる可能性があります。
今何をすべきか
ここまで書いてきたことが全て自動化できるかというとまだそのようなサービスはありません。
しかし、今すでに、現存するいくつかのサービスを組み合わせ、少し簡単な機能開発をするだけで近しいことが実現できてしまいます。
そして早ければ今年中に、クオリティはおいといて新規事業プロセスの全てを生成AIを使ってオートメーション化するサービスは出てくると思います。
その日がくるまでに僕たちが磨くべきスキルはなんでしょうか?
僕は「目利き」と「レビュー力」だと思っています。
このテーマはまたどこかで書ければと。