
pulse//code letter vol.2
「pulse//code letter」は、ヘルステック業界の鼓動を捉え、最新のイノベーションを解読するメールマガジンです。
急速に進化するヘルスケア領域の最前線の情報をお届けします。
過去回はこちら
Editor's Log - 近況 -
こんにちわ。Ryozです。
先週は最近仲良くさせていただいてる方に連れられ、恵比寿の会員制サウナ「SAUNOA」に行ってきました。
サウナに行きたくなった時は有明ガーデンの泉天空の湯に行ってばかりだったのですが、プライベート個室且つセルフロウリュ可能且つ外気浴ができる環境は本当に良い・・
お客さんとの打合せにも使ってるようで、僕も契約したくなりました。
PCもスマホも持たず、何にも邪魔されずに考えたり会話できる空間って貴重ですよね。


週末はTWICEのライブ@味の素スタジアムに参戦してきました。
普段アイドル系のライブに行かないので演出や表現が新鮮で勉強になりました。
もうリアル造形物は程々で良くて、むしろ全面LEDディスプレイにリアルと連動させたアニメーションをいかに作り込むかと、(アイドル系では特に)カメラワークとスイッチングスキル。
このカメラやスイッチングは当然現場で人が動くため、スキルや経験が必要になりますが、いずれ表情や視線をリアル判別してAIが勝手にスイッチングすることはできそう・・なんてことを思いながら推しのジヒョを追ってました。
Trend Radar - 最新業界ニュース -
この一週間の間に国内外で起きた出来事やニュースをピックアップしてお届けするコーナーです。
病院向け業務支援ツールのThoughtful AIが資金調達
Healthcare revenue collection startup Thoughtful AI raises $20M in early-stage funding
https://siliconangle.com/2024/07/18/draft-healthcare-revenue-collection-startup-thoughtful-ai-raises-20m-series-funding/
医療機関向けSaaSツールに興味のある方はチェックしてみてください。
医療機関は何にいくら費用をかけていて、その結果収益がいくらになるかを計算したり、収益が最大化するオペレーションやフローを組み立てる必要があります。これは医療においては特に複雑で、このような医療機関が提供するサービスに対して適切な収益を得るためのプロセスやシステムを管理することをRCM(Revenue Cycle Management)と言います。
これは既存のツールではなかなかうまくいかない実態があり、(日本の医療DXがなかなか進まない理由もイコールですが)レガシーなシステムと連携させていくには結局既存ツールはそのまま使えず、またルールも都度変わっていくため、システムは改修を続けなければならない。
このようなRCMの複雑性にAIの活用が期待されており、このThoughtful AIが注目されています。
医者をAIアバターにして患者への説明を行うサービス
TOPPAN、医療従事者の説明業務支援サービス「DICTOR®」提供開始
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000001445.000033034.html
医師のデジタルクローンを生成し、患者や家族に対して医療行為等の説明を行う動画をテキストデータから自動生成し、再生をするサービスです。
いわゆるインフォームドコンセントに着目したサービスですね。
僕もこの領域で一時期デプスインタビューを行っていたのですが、
・医者は説明したくないわけじゃない。単に忙しく、治療説明を理解してもらうまで寄り添っている時間はない。
・患者や家族は専門的なことを言われてもわからない。詳しい説明を医者に求めたいが、忙しいだろうし遠慮してしまう。あとで家に帰って調べてみるものの患者向けにわかりやすい説明にはなかなかたどり着けない。
このようなケースが多いと感じました。
なので、このサービスは期待が持てます。
一点、乗り越えないといけなそうな壁としては、医者が事細かくテキスト化することは難しいので、AIがそこを補完する。しかし、その内容を話すのはクローン化された医者=自分自身。
つまり、医者からしたらAIが作成した内容の正誤やニュアンスは細かくチェックしたくなるはずで、そこに時間と労力を掛け始めると導入の意味が無くなってしまう。
ここはAIの精度に頼るだけではなく、例えば医者以外のファシリテーター的な存在を立てて、医療用語の解説などの振る舞いはそこに責任を持たせるなどを考えていくと、医者側の負担が減るかもしれない。
骨粗しょう症の新しい原因が判明か
\Ca不足やホルモンバランスの変化だけじゃない/ 細胞老化が引き起こす骨粗しょう症
https://resou.osaka-u.ac.jp/ja/research/2024/20240711_1
これすごく興味深かったです。
これまで、身体の老化→骨の細胞も老化することはわかっていましたが、身体の老化に関わらず骨の細胞のみが老化するとどうなるかはわかっていなかったようです。
今回、大阪大学の研究では、骨芽細胞の遺伝子を一部欠損させることで、その影響から骨が老化していく、つまり「細胞老化が引き起こす骨粗しょう症」という新たな疾患概念が生まれました。
今後、この骨の細胞老化をターゲットにして骨粗しょう症を改善する治療薬などが開発されていく可能性がありますし、老人になっても骨が折れにくい世界がすぐそこかもしれません。
元気な年寄りは作れる。
11のヘルスケアビジネスアイディア
11 Innovative Healthcare Business Ideas for Startups and Aspiring Entrepreneurs
https://appinventiv.com/blog/healthcare-business-ideas-for-startup/
Appinventivというアプリ開発やDXを行っている企業がヘルスケアビジネスのアイディアをまとめていたのですが、項目の整理とその内容が良かったので、是非直接記事を見てみてください。
項目としては以下。
オンライン薬局
メンタルヘルスのためのVRとメタバース
カルテ管理
遠隔医療アプリ
薬物リハビリ施設
健康意識の醸成
医療の代替サービス
医療ツーリズム
手術用ユニフォーム等
在宅医療施設
医療言語の翻訳
IDEOが子宮頸がんチェックツールをプロデュース
Teal Wand offers accessible and comfortable at-home sampling for cervical cancer
https://www.dezeen.com/2024/07/18/teal-wand-home-sampling-cervical-cancer/
東京オフィスも閉鎖し、売上が落ちていると噂のIDEOですが、子宮頸がん検査キットの開発に関わっていたので調べました。
IDEOがデザインしたキットは、子宮頸がんの原因でもあるHPV(ヒトパピローマウイルス)のチェックを自宅で簡単にできるアイテム。
HPVは皮膚や粘膜に感染するウイルスの一種で、約200種類以上のタイプがあります。性行為を通じて感染しやすく、HPVの一部は子宮頸がんを引き起こす原因となります。
HPVワクチンなどもありますが、検査が一般化していないので、そこに着目したアイテムです。
自宅検査系はキュレーションしたサイトから毎月選べるようなサービスとかが出てくると良さそうですよね。
個別でD2C的にマーケティングをがんばらないといけない状況は不毛過ぎる気がします。
FDAが承認しているAIを活用した医療機器一覧
Artificial Intelligence and Machine Learning (AI/ML)-Enabled Medical Devices
https://www.fda.gov/medical-devices/software-medical-device-samd/artificial-intelligence-and-machine-learning-aiml-enabled-medical-devices
FDAが、米国で販売されているAI/ML対応医療機器のリストを公開していました。知らなかった・・・
CSVやエクセルなどでもダウンロードできるので興味ある人は是非。
現段階で882件あります。
ヘルスケア×AI技術におけるガバナンスをなんとかしないといけない
Pathways to Governing AI Technologies in Healthcare
https://hai.stanford.edu/news/pathways-governing-ai-technologies-healthcare
スタンフォード大学のHAIが、AI技術のヘルスケアにおけるガバナンスに関するワークショップを開催しました。
AIソフトウェアの臨床支援、企業用医療AIツール、患者向けAIアプリケーションの3つの主要分野はどれも現行の規制がじゃまをしているという問題提起。
この状況を"Like Driving a 1976 Chevy Impala on 2024 Roads"(2024年の道路を1976年型シボレー・インパラで走るようなもの)と表現しています。
日本よりも進んでいる米国でもこのような状況です。
IL-11というたんぱく質の不活性化が寿命を長くする?
Scientists in the UK, find miracle drug that can increase longevity by 25 years
https://economictimes.indiatimes.com/magazines/panache/scientists-in-the-uk-find-miracle-drug-that-can-increase-longevity-by-25-years/articleshow/111862654.cms?from=mdr
IL-11はヒトにおいては加齢とともに上昇し、慢性炎症、代謝障害、筋肉の衰え、虚弱など、さまざまな加齢に関連した状態に関連しているという研究結果がある。
今回、このIL-11を不活性化したマウスの寿命が、普通のマウスに比べて延びた。これがヒトに採用できるかはこれからだが今後気になるネタ。
Innovation Spotlight - 注目のヘルステックスタートアップ -
注目のヘルステックスタートアップを毎回1,2社紹介します。
今日紹介するスタートアップはHumaです。
Humaは先週8000万ドルを調達しました。
https://venturebeat.com/ai/huma-raises-80m-to-turn-text-into-healthcare-apps-with-gen-ai/
Humaは自分たちが提供しているHuma Cloud Platformを「Shopifyのようなもの」と発信していますが、大きな特徴はテキストプロンプトを数分ですぐに使用できるアプリケーションに変えることができるAIを搭載したシステムです。
個人的にはヤプリに近い仕組みがヘルスケアに特化しており、且つAIが組み込まれているため想像をすぐに形にできるサービスだと思いました。
既に多くの病院や診療所、製薬会社にサービスは提供しているため、これからそれぞれが独自のアプリを作っていくことが期待できます。
Crosstalk - 異分野のテクノロジーとイノベーション -
ヘルスケア外でRyozが気になったものをラフに紹介するコーナーです。
スラデザ
僕も各社の決算説明資料を読んで、イケてるデザインはnotionに保存しているのですが、これは便利。
Duolingo Brand
Duolingoはデザインも好きなサービスなので、ブランドガイドラインをよく参考にしてます。
Kn1ght
AIアバター動画作成は色々ありますが、この国産のKn1ghtはけっこういいです。結局どんなコンテンツを創るかですが。
ビオレ 冷タオル
これ思ったより冷感が続くのでおすすめです。1時間は持たないと思うけど笑
Outro - 編集後記 -
まだまだ手探りのvol.2です。
最近Macbook Pro M1の調子が悪くなってきたので、いよいよM3を買おうと思うのですが、約27万円するのでさすがに円安つらいと思っています。
誰か30万円ぐらいの仕事振ってください。
次回もお楽しみに!