MBAと教育のデュアル・ディグリー・プログラムーキックオフ

昨日1月8日はそのデュアルディグリー・プログラムのキックオフとレセプションが行われました。

わずか30名程度の小さなプログラム。そのために、教育大学院、ビジネススクールからそれぞれ学長が訪れました。

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スタンフォードは、学部・大学院間の垣根が異様に低いことで有名です。

中でも歴史の長い、「MBA(経営学修士)」と「MA in Education(教育学修士)」を同時に取得しよう、というMA/MBAデュアルディグリー・プログラムの歴史は長い。なんと1969年に始まったとのこと。これには驚きですね。

ちょうど50周年を迎えた今年は、教育政策を学ぶGraduate School of Educationの学生と、MA/MBAで教育関連のビジネス/経営を志すGraduate School of Businessの学生が同じゼミで学ぶ新たな試みが始まりました。

初回の感想は・・・。

正直いまいちではありますが、Work in progressといったところでしょうか。

①生徒同士がお互いの背景を知らないから、お互いからなんの話が聞けるかわからないこと

②米国の教育政策を学んでいるEd Schoolに対して、ビジネススクールは非米国人が多く、(事前課題の読み物以上に)米国の歴史を理解できていない政策の重要性がいまいち理解できない

など。生まれたてほやほやのプログラム、まだまだ課題は多そうな印象です。

学者から、経営者への転身しなければいけない「大学の学長」

同プログラムに、コロンビア人のDanielという友人がいます。日本ではあまり起こりえませんが、私立学校のロールアップ(複数の学校を経て)

レセプションがあまりの少人数のため、レビン学長とゆっくり話す機会を得た。

Stanford Graduate School of Businessの学長を務めるのはジョナサン・レビン教授。2011年には、John Bates Clark Medal(40歳以下の若手経済学者に与えられる権威ある賞)も獲得した産業組織論の専門家です。

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とても若く、いつも学生の話しに耳を傾け、議論してくれます。そして学生から、イジられる、本当に気さくな方です。

何よりも尊敬するのは、毎回MBAを含む「大学のプログラムと教育環境」について、情熱を持って話してくれることです。

挨拶でも、他の学部/大学院の学長と話す時間が自分にとって楽しいのか、「教育分野を変革する経営者/リーダーを育てる」という修士プログラムの目標と価値について、情熱を込めて語っていました。

せっかくのことなので、気になっていたことを聞いていました。

私:「なんで、学者の自由を捨ててまで、大学の経営や教育プログラムの設計に取り組みたいと思ったんですか?」

レビン学長:一番最初のきっかけは、特異な環境で育ったことでした。父がイェール大の経営に携わっていたことで、大学の経営は非常に身近で関心のあったのです。

そこからは、段階的なプロセスでした。当初はあまり深く考えていませんでしたが、経済学部長の仕事を頼まれた際、引き受けることにしたのです。学部内外の、大学のいろいろな方々と協働できるのが楽しく感じました。

その経験もあって、2016年にビジネススクールの学長を引き受けることになったのです。徐々に、財務や人のマネジメントといった大学の「経営面」を学ぶことになりました。人が好きだったのが大きいかもしれないですね。(以上意訳)

一流の学者が、(ある意味研究を諦めて)これだけの時間を教育環境の設計と大学の経営につぎ込むのは本当に珍しいことかなと思います。自分の「専門」を捨てて、経営に携わるのですから。

一方で、PhD持ちの学者以外が外部からは関わることが難しいという観点もあり、難しい領域でもあります。僕自身、大学卒業時、「大学/教育機関の経営」は最も関心があるキャリアでしたが、「事務で入ってもやれることはない」と大学関係者に反対され、今の仕事に就きました。

そんなレビン学長と、勉強させてもらっている環境がいかに作られているかの興味について話すうち、レビン学長とDanielと3名で、スタンフォード大学の教育環境がいかに出来ているかの議論で盛り上がりました。

「ケースを書きたいね」とあまりに盛り上がったので、明日別のブログ・ポストにまとめたいと思います。

MA/MBAの同期の多様性

これから2年を過ごす、MA/MBAの同期は、20名弱です。

・ジョージ・ソロスのファンドでのPE投資を経て、教育特化のVC『Owl Ventures』でベンチャー投資を行う子

・1,100万人のフォロワーを持ちながら、母国の教育の改革に取り組みたいインドネシアの歌手/女優

・歴史などをVRで教える教材をブラジルの公立学校と連携して導入しているスタートアップの創設者

経験も関心分野が多様でありながら、人間的にも素晴らしい人たちが多く、非常に仲が良く、このグループで学べるのが楽しみです。

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