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宝飾制作|鍛造でのものづくり

つくること

僕が生業としているものの中で、宝飾品、装身具などの制作がある。アーティスト、作家、職人など、様々に呼称されますが、特に自分でしっくりくるものもなく、その時々で紹介してくださるままそう名乗っている。

作ることが昔から好きで、記憶している中で一番古いものづくりは小学生の頃に作ったチャーハン。部屋に照明が欲しくて、家にある照明のケーブルを繋ぎ直して改造したり、ふと思い立ち実家の自室の壁に木の板を打ちつけたりしていた。

一貫した手仕事が好き

とにかく物心がついた頃から手仕事が好きだった。物事の成り立ちが見えることが好きと言い換えられるかもしれない。そこに誤魔化しや嘘がないように見えた。

宝飾制作に出会う

ファッションにとても関心のある時期が長くあったものの、ジュエリーやアクセサリーにあまりこだわりはなく、ただなんとなくシルバーが好きで、ただなんとなく身につけていた。

20代の前半、出先で偶然みつけたアトリエにはカンカンカンと金槌音が響いていた。ただひたすらに金属の輪を叩いて指輪を作っている光景。気づいたら入り口に貼っていた求人の案内を控え、その日の晩に電話をかけていた。

鍛造にこだわる

ジュエリーの原型制作はおもに2つの製法に分かれる。
「鍛造」と「鋳造」。

鍛造:金属を叩いて鍛えて成形する製法「手巻き」と呼んだりする。
   刀や包丁などが代表的で大量生産に向かない。

鋳造:溶かした金属を鋳型に流して成形する製法「キャスト」と呼ばれる。
   複雑な形状も簡単に作れて、大量生産に向く。

鋳造でのものづくりが主流だが、僕はとことん鍛造にこだわっている。
その理由は単純で「手作業」であり「自己完結」できるから。自分の手、目から離れず、全てが一貫したものづくりからは、嘘や虚構を感じない。そうして作られたものからは、ひとつとして同じものは生まれない。
そういった正直さや愚直さが、鍛造にこだわる大きな理由である。

一人として同じ人がいないのに、同じものをつくってもなあと考える。

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