コント「焼肉レストラン」
下手側にお店のセットがあり、その近くにテーブルと2脚の椅子がある。舞台中央には引き戸。バトンで店の看板を吊る。
上手袖から歩いてくる会社員(以降男性)。
男性: 今週頑張ったご褒美に焼肉でも食いてぇなぁ。たしかここらへんに焼肉屋があったような・・・。あった、あった。この店前から気になってたんだよな。
店の入り口近くにキャンバスボード。そこには本日のおすすめメニューが書かれている。
男性: 今日のおすすめは・・・新鮮なもつの煮込みに、自家製牛骨スープで作ったクッパか。どっちも美味そうだ。この感じなら間違いなく当たりの店だ。
男性: (店の入り口の引き戸を引いて中に入る)すいませーん。
下手袖から店員(以降店員)登場
店員: いらっしゃいませ。何名様ですか?
男性: 一人です。
店員:こちらの席へどうぞ。
片方の椅子にカバンを置いて、もう一方の椅子に座る。
店員: こちらおしぼりとお水です。ご注文が決まりましたらお声がけください。
男性: はい。
店員が席を離れて下手袖に一旦はける
男性: (メニューを開きながら)何にしようかな。ドリンクはビールにして、カクテキは頼もう。石焼きビビンバと・・・う〜ん。あれ、最後のページだ。肉がないな。こっちか?
店員: (下手から七輪を持って登場。テーブルに置く)大変熱くなっております。お気をつけください。
男性: あ、どうもどうも。
店員がまた下手にはける
男性:(別のメニューを開いて)こっちが肉のメニューか。ユッケ・・・馬刺しも置いてるのか。えー。あれ。カルビとかが載ってないな。すいませーん。
店員: (下手から登場)はい。
男性: カルビとかタンとかが載ってるメニューがないんですけど。
店員: 本当は常連さんにしかお出ししてないんですけど、裏メニューにカルビやタンがございます。
男性: (仲良い友達にいたずらされて喜んでる感じで)なんだよ。あるんじゃないの。だったら早く言ってよ、もう。カルビある?
店員: カルビクッパがございます
(間をとる)
男性: タンある?
店員: タンシチューがございます。
(間を取る)
男性: ほかに肉料理はなにがあるの?
店員: シャトーブリアンなどいかがでしょうか?
男性: テレビで見たことある。一回食べてみたかったんだよね。それひとつ。
店員: かしこまりました。シャトーブリアンのビーフカレーをおひとつ。
男性: 聞いたことねぇよ。シャトーブリアンの使い方間違ってるよ。なんで?なんで肉を焼かせてくれない!
店員: お客さま。当店の看板はご覧になりましたか?
男性: 焼肉レストランだろ?
店員: そうです。焼肉レス・トランです。
男性: 焼肉レス?・・・だから肉が焼けないのか!ならこの七輪は何だよ?
店員: マシュマロです。
男性: それはBBQの最後だろ。だとしたら七輪持ってくるの早すぎだろ。
店員: 当店のマシュマロは自家製でして
男性: どこにこだわってんだよ
店員: 卓上の焼き肉のタレで味変もできます
男性: 肉焼かせろよ
あとがき
先日Flutter別荘を訪れたとき買い出しに付いて行ったのですが、そこで見かけた看板から着想を得ました。「焼肉レストラン」の"トラン"のライトが点いてなくて、夜だったので「焼肉レス」としか見えなくて最初は本当にそういう店なのかと勘違いしました。提供して無いメニューをアピールするなんて、めちゃくちゃ尖った店があるもんだなぁ、なんて。
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