ANARCHY アルバム『NEW YANKEE』をきいて
最近ちょっといいヘッドフォンを購入して、音楽をきく意欲が高まったので、spotifyの有料会員に登録し、部屋で落ち着いてアルバムを1枚通して鑑賞した。
ANARCHYはアラフォーのラッパーで、20年ぐらい前から音楽活動をしているらしい。自分はユーチューブでMCバトルの動画を見ているうちに彼のことを知って、興味を持ち、音源も有名な曲をいくつかきいて、気に入っていた。
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『Fate』という彼の代表曲をきくとよくわかるかもしれないが、彼はおそらく家庭環境がわるく、貧困の少年期を経験したようだ。
そこから、ラッパーとして徐々に成り上がって、今では日本のヒップホップ界で知らない人はいないというほど、有名になったらしい。
ヒップホップのなんたるかはよく知らないけれど、なんだかラッパーの典型というような人物のようにも思える。
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アルバムを通してきいてみて、情熱的な面と、好戦的な面が、ちょうど交互にあらわれるような、極端な人物、という印象をうけた。
仲間や、女の子に対しては、多分とても親身でいい兄貴分なのだろうが、一方で、社会通念や現体制に対しては批判的なようである。
彼のアーティスト名であるAnarchyというのは国家や宗教などの一切の政治的権威・権力を否定し、自由な諸個人の合意のもとに個人の自由を重視する思想のことを指すらしいが、まさにそのような思想を体現している人物のようにも感じた。
このアルバムのタイトルであるヤンキーという人種も、本来はそのような思想を持った人たちのことなのかもしれない。
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彼の記憶がどこまで正確なものなのかは判明しないけれど、彼がうたう苦しみは、凄惨で、心をゆさぶるものがあった。
そんな中で、時折彼が発見する、愛のようなもの、安らかなメロディをきくと、なんだか嫉妬心というものを忘れて、自分のことのように嬉しい気持ちにもなった。
個人的には、彼の過酷な挑戦の人生を卒業して、『Love Song』や『Good Day』のような、幸せそうな人生を歩んでいってくれれば、いいなと思う。
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『The Theme』という曲の中に、「今まで見た事無いこのタイプ」という歌詞があったが、納得させられる。
というのも、たしかに他のラッパーとは違った、独特の感じが彼の曲からは感じられる。
そしてその独特さというのがまた絶妙で、新しいものなのに、きもちわるさがなくて、自然に馴染むことができるように感じるのだ。
こういうのは、天性の美的感覚や直観力なんじゃないかと思う。