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見られる自分と、見つける自分

朝、目が覚めた瞬間に気づいた。今日はダメな日だ。
別に何があったわけでもないのに、頭の中がくすんでいて、体が重い。こういう日が時々ある。気分がどうにもならなくて、手足が鉛みたいに動かない日。そういう時って、どこかに逃げ込みたくなる。
でも、逃げ込める場所なんてすぐには見つからないから、結局、布団の中でじっとするしかない。

最近、人からこんなアドバイスをもらった。「自分の機嫌を取る手段をいくつか持っておくといいよ」。それができれば確かにいいのだろうと思う。
でも、どうやったら自分の機嫌を取れるのか、自分でもよく分かっていない。こういうの、みんなどうやって見つけているんだろう。
僕は、自分のことを一番知っているはずなのに、その方法だけがどうしても分からない。

とりあえず、今日はいつもと違う場所に行ってみることにした。
自分とは縁がなさそうな空間、例えばおしゃれなカフェとか、センスの良い店とか。そういう場所に行けば、もしかしたら何かが変わるかもしれない。理由なんて特にないけれど、何もしないよりはマシだと思ったのだ。

ベッドの上で、しばらくぼんやりしていた。布団はニ○リの軽いやつ。だけど、今日はどうもそれが重たく感じる。
目を覚ますのに少し時間がかかったけれど、最終的には体を起こすことができた。たぶん、あのままじっとしていたら、もっとしんどくなっていたと思う。


カフェへの道

僕が向かったのは池尻大橋駅から付近のカフェだ。
そのお店の前を通るたびに、「おしゃれだなあ」と思っていた。だけど、同時に「自分とは縁のない場所だな」とも感じていた。そういうお店に入るのは、僕にとって少しだけ勇気のいることだ。

店の前に自転車を停めて、ドアを開ける。中に入ると、すぐに店員さんが声をかけてくれた。「いらっしゃいませ」と、柔らかい笑顔で。少し緊張していた僕の心が、その瞬間に少しだけほぐれるのを感じた。

席に案内されて、渡されたメニューを眺める。
「おしゃれなカフェのメニュー」というものは、こういうものなんだろうなと思った。健康的で、デザイン性が高くて、でも少し量が少なめな感じの料理。僕はその中から、鶏肉とスパイスカレーのランチを選んだ。メニューの正式な名前は覚えていない。だって、今日は料理そのものよりも、この場所に来たこと自体が大事な気がしたからだ。


カフェで見た風景

料理が運ばれてきた時、最初に思ったのは「綺麗だな」ということだった。
ランチプレートというよりは、一つの作品みたいだった。僕はその美しい料理に少しだけ緊張しながら、フォークを手に取った。一口食べてみる。すると、それは想像していたよりずっと美味しかった。特に何か特別な材料が使われているわけではないのに、しっかりと丁寧に作られていることが分かる味だった。

料理を味わいながら、僕は店内を見渡した。他のお客さんたちは、どこか店の一部のようにその空間に溶け込んでいた。まるでインテリアの一部みたいに。

【二人席】
・20代前半のお姉さん二人組。服装も髪型も洗練されていて、「こんな風に見られたらいいな」と思うような人たちだった。
・30代後半のお姉さん二人組。赤い服を見事に着こなしていて、思わず目が留まる。

【カウンター(一人席)】
・本を読み始めた女性。あまりにも自然なその姿は、まるでカフェそのものの宣伝写真みたいだった。
・静かにコーヒーを飲んでいる男性。派手ではないけれど、その落ち着いた雰囲気が印象的だった。

「みんな、なんて絵になるんだろう」
僕はそんなことを考えながら、自分がその空間の中でどう見えているのかを思った。果たして、僕はこの場所に馴染んでいるのだろうか。それとも、場違いな存在に見えているのだろうか。

気づき

僕が今日、このカフェで気づいたのは、「人の印象は環境に依存する」ということだ。おしゃれなカフェに来る人たちは、その空間に自然と溶け込んでいるように見える。だけど、それはきっとその人たちが特別だからではない。その空間そのものが、そう見せてくれるのだ。

もしかしたら、僕もそうなのかもしれない。このカフェのカウンターに座っている僕も、誰かから見たらそれなりにこの空間の一部になっているのだろうか。

そして思った。自分を変えたいと思うなら、まず環境を変えることが大切なんだろう、と。今の自分がどんな人間なのかを知りたいなら、違う空間に飛び込んでみること。それが一番、簡単で、効果的な方法だ。

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