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2ミックス済みのドラム録音のバスドラの目立たせ方

今回は、過去に録音した音源などで、ドラムのバスドラを目立たせたい場合のやり方についての記事を書いてみました。いわゆるバンドサウンドの生ドラムの音の話です(EDMとか電子音楽系ではない系統を前提に書いています)。ちょっとイレギュラー系ではありますが、まとめました。

Noteの音楽仲間の方からのご質問に対しての返答をもとにした記事です(以下、回答メールの文章を少し整えただけのものになりますが)。


①バスドラを目立たせるシンプルな方法
単純にバスドラを今より誇張したいだけなのであれば、イコライザーで50か60㎐から250㎐の間のGainをあげればバスドラの音が大きくなるとは思います(余談ながら50㎐以下は、空気感とか振動になるので、ロックとかでは削るほうが多いです)。

もちろん、その帯域幅の全部を上げるのではなく、耳で聞きながら調整するという感じではあるのですがそのあたり上げるとキックが元の状態よりは前に出ると思います。

この場合、利用するイコライザーはパライコだと思いますが「Q」は標準からでよいかと思います。後は、効果を確認しながら、Qの幅の調整という感じでよいかと思います。

もう少し突っ込んだ方法としては以下のような方法をやることもあります。

②バスドラだけをイコライザーで分離し別バスに出力しより細かく調整する

これは、キックだけを(正確にはキックの帯域を)バス(Group/BUS)を作って、別のトラック(チャンネル)に分けて、より細かい調整をする方法になります。

なぜ、これをするかというと、別にバス(グループ)を作ってだすことで、バスドラだけにコンプをかけることができるからです。

バスドラへのコンプは、スピード感やグルーブにも影響するので、そうしたことを目的としてこれをします。

やり方としてはキック用の別バスを作ります。例としては以下のような感じでよいかと思います。

→ドラムグループ① 大元のドラム音のためのグループ(Stereo)
 ここにドラムの2ミックスの音を送り、以下の方法で分離します。
→ドラムグループ② キックのためのセンドグループ(Mono) 
 これは上記①からのセンドとして、出す方法でよいかと思います。
   DSPの消費を抑えるために、Monoで作ります。
 このアウトをドラムグループ④に送ります。
→ドラムグループ③ キック帯域をカットするためのグループ(Stereo)
 これは上記①からのアウトチャンネルで割り当てる。
 このアウトもドラムグループ④に送ります。
→ドラムグループ④ ドラムミックスマスターのためのグループ(Stereo)
 これは、上記②と③のグループをまとめるためのグループです。

これでセットの前提ができます。

以下、それで何をするか、役割についてまとめます。

→ドラムグループ① なにもしません。ただ、分離して送る役割です。

<ドラムグループ②「キックのためのセンドグループ」のインサート群>
 ここでまず、
インサート1として不要帯域カット用のイコライザーを入れます。
 そして、パライコのハイカットで250㎐以上をまずはバッサリ切ります。
 これだけだと、スネアとかの音も残るので、場合によっては、160㎐とか100㎐くらいまでバッサリ切ります。これはシンプルにカットするためのイコライザーなので、現代的なEQを使います。

バスでキックに音を出す場合、元のトラックの同じ帯域をカットしておかないと音が二重にでてしまって音が濁りますので、その回避の役割でもあります。
※PAやホームシアターでいうクロスオーバーと同じです。帯域ですみわけをさせるということです。

 例としては、WavesのRenaissance Equalizerなどです。これだとアナライザーでグラフィックとして音が確認できるのと、位相悪化への影響が少ないので、私はこれをつかっています。

②この後に、質感制御のためのイコライザーをインサートします。
仮にこれをインサート2とします。

ここでは、アナログタイプのヴィンテージのモデリングのイコライザーを入れます。利用するのは、楽曲によります。たとえばUADのAPIとかそういうやつです。

尚、使うイコライザーによっては、この限りではないかもしれませんが、調整する際の目安としては、60、80、100、120、160、200、230などのあたりを順番にあげてみるとわかりやすいかもしれません。単純な意味での音も変わりますが、コンプを併用することで、同時にグルーヴも変化することもあるので、ここは聞いて調整という部分です。

一般論的に言えば、重すぎる場合は、バンドものの場合、50㎐より下は不要かと思いますので、私は、バッサリ切ることも多いです。

この方法の欠点としては300-800㎐(というかそれ以降もですが)は調整できないことですね。
ここの帯域は、キックの張の部分と関係してますが、ドラムセット全体の音が入った音源の場合、キック以外の音も変わってしまうので、そこを考えての調整できないのが欠点です。

 
インサート3にコンプレッサーを入れます。

ここに入れるのは、趣旨によりますが、バンド系であれば、なじませるためにも、アナログのモデリング的なものを使うことが多いです。ただ、効果の効き具合が悪かったり、埋もれるようであれば、Wavesなどのマルチバンドコンプなどを使うこともあります。

ここで狙うのは、キックの音圧と、質感、グルーヴの制御になります。

尚、タム類の低域が強い場合、それらも一緒に変化しますので、注意がいります。そこだけ調整したい場合は、タムが登場するところだけ、DAWのオートメーションなどをつかって、うまく、調整します。
 
<ドラムグループ③「キック帯域をカットするためのグループ」のインサート群>

ここではインサート1にイコライザーを入れます。これも現代的なものでよいかと思います。ここでは、上にかけた帯域のバランスも考慮に入れて、音を聞きながら、必要に応じてローカットします。低音が濁る場合は、ここで調節します。濁らない場合は、元の音もそのまま出すのでもOKだと思いますが、ここは聞いてみてかなと思います。

他、必要に応じて、シンバルやスネアなどの帯域を調整します。ローカット以外はなにもしないでよいケースもありますが、ここもケースバイケースです。
 
<ドラムグループ④「ドラムミックスマスターのためのグループ」のインサート群>
 ここは、上記②と③のグループをまとめるためのグループですので、ここでドラム全体への処理を行います。

またもや、イコライザーとコンプをインサートに入れます。
ここで使う「コンプ」や「イコライザー」は「ほかの音になじませる」とか「質感制御」の意味もあるので、曲の趣旨に合わせて、何を使うかというのを選ぶ段階から考えていれます。
場合によっては複数インサートして、オン・オフして聞き比べていきます。

うちがやっているClassic Rock的な感じでいえば、最終段にテープシミュレーターを入れる場合もあります。これで質感を制御できますので、便利です。

<まとめ>
こうすることで、より音楽的な形で、全体のドラムトラックの中でキックを目立つようにすることは可能だと思います(実際はベースとの絡みもありますので、そこも併せて聞きながらということになりますが)。

<2ミックスの場合>
2ミックスでもやることは同じになりますが、いわゆるツーミックスの場合は、ほかの楽器も既に入っているので、ベースなども一緒に音が変わってしまうことになりますので、ケースバイケースですし、全体を俯瞰しながらやらないと、あとで「あちゃー」となることも多いかとは思います。

特に、ベースへの配慮が必要になるかと思います。

ベースがある分だけ、意味合いは変わりますし、制限というか、狙ったようにできない幅が多くなってしまうので、妥協が必要かとは思います。

ただ、やること自体は同じと言えば同じです。

実例がないとわかりにくいですよね。これ。








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