ストーンズ新譜、ハックニーダイヤモンドから”Get Close”を、うちの奥さんとやってみました。
今回は、去年Stonesがリリースした新譜「ハックニーダイヤモンド」から、二曲目です。
この曲は、アルバムの二曲目に収録されている曲ですが、初めて聞いたときの印象は「ストーンズ流の時代適応の象徴の曲の一つ」という感じでした。
今回のアルバムは、それが多いですが、これもその一曲といえばそうかなと。
リフを聞いたときに、始めに思ったのは「"Slave"のリフを現代版化して、"Can't You Hear Me Knocking"のリズムを簡素化してタイトにしたって感じの曲だな。ただ、ボーカルメロディやコーラスは完全に、今風だなと(笑)」ということでしたね。
リフは二小節でワンセットになってますが、「一小節目は強打で、二小節目は緩める、それぞれに固有のグルーブがあるけど、結局、二小節でワンセット」って感じかなと思います。
サビの部分は、完全にここ10年位?に流行っている感じのサビというか。
ただ、それを完全に自分たちのサウンドに取り込んでしまうあたりがストーンズらしいというところですかね。「芯のあるしたたかさ」だなと。
ストーンズの曲をやる場合、ギター二本の絡みが重要なので、そこは、なるだけ意識しているのと、特徴的なフレーズだけはなるだけそのまま抜き出して弾きましたが、ストーンズの場合、いわゆる完コピは意味がないと思うので、雰囲気やグルーブを重視してやってます。
ですので、ギターもベースも耳コピで、音を拾ってから、映像、音声同時収録の一発録りです。
で、やってみたら結構難しかったですね。それは、テクニックではなく、演奏、表現の方ですね。演奏力は高いんですよね。ストーンズって。
個々のプレイヤーの力量とは違った意味で、演奏力、バンドサウンド、表現力が高いということです。
<ギターパート>
ギターは左がKeith、右がロニーです。
KeithのギターはオープンGでやっています。
それと、Keith側のチャンネルは、複数ギターが入っていたので、その通りにしています。
このリフ部分、交互にやや極端な強弱差が必要になるので、座って弾くならともかく、立って弾くとなること、ここがなかなかやりずらかったですね。
サビやメロディーは現代風ではあるんですが、それでもやっぱストーンズと即わかるのは、そこはギターの個性の強さでしょうね。
Keithが「古代の織物芸術(the ancient art of weaving)」と名付けている、ギター二本による絡みの部分も含めて、他にはないスタイルですからね。
※これはキースらしい表現で、いわば本人たちも「どっちが弾いてるの変わらなくなることがある」というやつのことですが、これは、決まった形のリフや音を弾き続けるのではなく、音の隙間とその穴埋めの連続で成り立っていて、リズムによるアドリブ性が残りますし、意識している部分と、偶発的な部分がランダムに来るので、あきないし、それで独得のグルーブができるというか。
私は、ギター初心者の頃に、これに慣れ親しんだおかげで、これが好きなんですよね。
ロニーの方は、リフの部分では、全開で上から重ねるのではなく、2小節目のアクセントの部分をおぎなっている感じの弾き方になっていました。
この辺りが「織物芸術」の肝なんですよね。
サビの部分でのロニーの合いの手フレーズ(カッティング)が、曲者でしたね。彼のギターはほんとに芸が細かいんですよ。ただ、そのままコピーしないにしても、その路線を把握するのに何度も聞かないといけないというw
ロニーのキースに寄り添って隙間を埋めるような演奏をやる場合は、それが必要ですね。
彼は、なんというか、「目立たないんだけど、花があるし、目立つところでは目立っているので職人風でもない」と言えばいいんですかね。
なんとも不思議なギターですね。
昔から、ある意味、私の理想でもあるんですけどね。
ギターソロの部分は、原曲ではサックスなので、これは私が勝手に付け足した部分です。まぁ、ちょっとロニーぽくはしてみたつもりです(笑)。
<ベース>
ベーシストでもないのに、最近、難しいのばかりやっていたので、今回は、少し楽でした。今回は、1テイクで終わらせましたし、少しベースもうまくなってきてるかもと思えました(笑)
余談ながら、原曲のベースはプロデューサーのアンドリュー・ワット。
<ドラム>
スティーブ・ジョーダンのドラムが、これまた厄介でしたね。
始め、似た感じで叩いてみたけど、しっくりこなかったので、これではだめだと思い、一小節ずつ、耳コピして、分析をしてみました。
Drumは大きく分けたら3つのパターンで構成されていましたね。
それで、一度、完全に打ち込みで再現しておいて、打ち込んだ譜面を見ながら、Drumをたたきなおし、数テイクやって、それのいいとこどりをしました。まぁ、ドラマーではないので、そこはこれでいいかなと(笑)。
我ながらご苦労だなと思いますが、それでグルーブがかなり改善されましたね。
後は、マラカスも入れましたが、これは撮影なしで録音してます。
<ピアノとエレピ>
何度聞いても聞き取りずらいですが、一応、エルトンジョンによるピアノとマットクリフォードによるウーリッツァー(エレピ)が入っているとのことなので、それも「なんとなく」ですが足しています。これだけで、音の厚みがかなりますし、安定感が増しました。この辺りはスタッフ含めてさすがですね。映像はありませんが、これも打ち込みではなく実際に弾きました。
ということで、楽器は、一応、全部、耳コピして、打ち込みなしで演奏してみました。
<ボーカルとコーラス>
ボーカルは、うちの奥さんにとっても、表現のところが、なかなか難しかったようで、仮のバックトラックの段階から、何回か、段階的に仮収録しておいて、だいぶよくなってきたところで、撮影しました。
ただ、今回は、それでも部分的に、表現的に気に入らないところがあったようで、一部だけ、音だけ、後から撮りなおしています。
コーラスですが、ある意味、コーラスが一番面倒でしたね。
コーラスは、うちの奥さんと私の二人でやって厚みを創ろうと試みましたが、まぁ、ちょっと微妙な仕上がりですね(笑)。
<ミックス>
ミックスは、このアルバム自体が現代寄りですが、うちのもそれに合わせて現代寄りにしています。
この手のミックスは、精度が必要なので、ちょっと時間がかかってしまうのが難点です(演奏や映像編集の何倍もかかるんですよね)。
最近のミックスって(といっても、もう20年くらい前からある手法なので、最近といってよいかはわかりませんが)、歌や楽器の各パートそれぞれが、ニアな感じで、面で前に張り付いているようなニュアンスのが多いですが、いわゆるそっち系です。
音自体がけばくなるのと、うるさく感じますので、そんなに好きなやり方ではないんですが、一応、原曲の方向性でやってみました(笑)
原曲は、キースのカッティングブラシのノイズの辺りを誇張するエフェクトがかかってるんですが、そこだけ、あまり再現できませんでしたね。
まぁ、そこ以外は、だいたい、原曲よりのミックスになっていると思います。
<映像>
映像は、いつも通り、複数カメラによる撮影です。
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