脳が筋肉の動かし方を忘れる?
「筋肉が落ちる、衰える」という言葉があるけど、そんなにすぐ落ちないと、私は考える。確かに80代半ばにもなると落ちてきているかもしれない。それでも筋肉量を測ると、そんなに落ちてないことが多い。なのに落ちたという人が多い。では一体どういうことなのか?
「筋肉が落ちたと感じるのはどんな時ですか?」
「椅子から立ち上がろうとした時」
「他には?」
「立った後、ふらついた時」
椅子から立ち上がる動作は日常茶飯事だ。だから今までと比べて立ち上がりにくくなっていたら、筋肉が衰えてきたと自己判断しているようだ。
整体の施術をしていても「筋肉落ちたでしょう?」と、よく聞かれる。しかし落ちたなと感じることはほとんどない。今までのように動かなくなると、「落ちた」と考えるのは、固定観念だ。
本当は筋肉が落ちたのでも、衰えたのでもない。立ち上がろうとする筋肉の動きを阻害しているもの、要するに邪魔している何かがあるのだ。それがこの三つ。
「筋肉が硬くなる」
「靱帯(じんたい)が硬くなる」
「関節可動域が狭くなる」
まず最初にこれらのひとつ、あるいは複数に原因がある。筋肉や靱帯が硬くなっていると、今まで通りの動きができなくなる。さらに可動域が狭くなってくると、筋肉の伸び縮みができなくなるので、さらに筋肉が硬くなって悪循環にハマる。結果として「筋肉が衰える」のだ。言うなれば、初期段階がこの三つで、進行した結果、衰えるということになる。
よほどのことを除いて、この3つを通り越していきなり衰えることはないと私は考える。衰えてきたなと感じたら、まず筋肉が硬くなってきていると考えることだ。筋肉を柔らかくすると、立ち上がりも楽になり、衰えたという感覚がなくなるはずだ。
あともう一つ別な種類の原因がある。
筋肉を動かしていないことによって、脳が筋肉の動かし方を忘れてしまった場合だ。
思い出してほしい。昔はできたのに、今はやらなくなった事。例えば学生時代はテニスしていたけど、大人になってからやってない。手芸していたけど、子供生まれてからしていない。そんなことは思い出せばいくらでもあるはずだ。
その忘れ去られたことを、今からやろうとした時、きっとすぐにはできないはずだ。何度かやっているうちに体が思い出してきて、ある程度はできるようになるだろう。しかし若い時と同じというわけにはいかない。そんなことは考えただけですぐ分かる。
やらなくなったことで、脳が忘れているのだ。
そんなものはとても多い。現に私は今こうやって文字を打っているけど、1年前はブランクで打てなくなっていた。キーボードの上を指が滑って行かない。思った通りに打てない。読んでみたら支離滅裂。私は文字リハビリを経て、なんとか文字が打てるようになった。
どんなものでもブランクがあると昔と同じようにいかないものである。筋肉の衰えが気になるのは仕方ないけど、それよりも、感覚の衰えを忘れていませんか? 何事も感覚が大事! 一番忘れてしまったのは、恋の感覚じゃないですか?
サポートしたいと思われるくらいまで頑張って書きますので、今はシェアかコメントをいただけると嬉しいです。よろしくお願いします。