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【WSJ要約】‘No Regrets’ Is No Way to Live 「悔いが残らない」生き方なんてない by ダニエル・ピンク
WSJ THE SATURDAY ESSAY Jan. 28, 2022 11:05 am ET
『"後悔しない" この言葉は成功と満足のための便利なレシピであり、魅力的な標語です』
と世の人々は後悔したくない、後悔を避けて生きたいと思ってるという言葉から記事は始まります。そして以下のように、様々な角度から「後悔を避けたい」という人間の気持ちについて光をあてていきます。
『「後悔」という言葉を使わないよう』信奉者たちに呼びかける by ノーマン・ヴィンセント・ピール牧師(共和党の政治家やトランプ大統領にも強く影響を与えた人物)
『後悔で時間を無駄にしないように』2016年に出版した「My Own Words」において by ルース・バーダー・ギンズバーグ判事(ユダヤ人、リベラル派、民主党大統領の被任命者)
『No Regrets』という曲をリリースしたアーチスト
ジャズ界のレジェンド、エラ・フィッツジェラルド(1968年)
カントリースターのエミルー・ハリス(1989年)
ラッパーのエミネム(2020年)
ここまで記事を読んでいて急にこの記事を誰が書いているのか気になりました。なんと、あのダニエル・ピンクでした。
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『この3年間、私は「後悔の科学」に関する数十年にわたる研究を検証してきました。同時に、私のオンライン調査に回答してくれた105カ国の人々から、16,000件以上の後悔の記述を集め、分析しました。』とあります。
このPower of Regretという本を書くために、ダニエル・ピンクはひたすら「後悔」について調査したようです。常に面白いIssueを紡ぎ出すのがさすがすぎます。
ダニエル・ピンクが過去の研究を調べたり自分でも調査を行った結果『後悔というのは異常なことでも危険なことでもなく、健康で普遍的で、人間にとって不可欠な要素である』と言っています。そして
『同様に重要なことは、後悔には価値があります。後悔は明確にしてくれます。示唆に富んでいます。正しく行えば、後悔は私たちを引きずり下ろすものではなく、私たちを高めてくれるのです。』
このようにむしろ、後悔は非常にポジティブなものである、と言っています。
とは言え「後悔」自体は人間にとって辛いことで、サンフランシスコ州立大学のスーザン・シマノフ氏の研究によると、日常会話の中で使われるネガティブな感情の中で「後悔」が1位だったそうです。ちなみに2位は「愛」です。
記事の中では、私たち人間が本来的に持っていて、かつ外すことのできない「後悔してしまう」という装置(感情が勝手に芽生えてしまう)と、どのように上手くやっていけばいいか、3つのステップで対処をすればいいと語っています。
1. 後悔をリフレーミングする
まず第1ステップとして『安易な自己否定や自分に対する厳しい評価を行うのではなく、self-compassion、つまり友人をサポートするような優しさで自分に接する』ことが重要だそうです。
2. 自分の経験を開示する
『過去の失敗を明かすことで他人から悪く思われるかも、と不安になる人もいると思います』とダニエル・ピンク氏も読者が持つであろう不安に共感してますが、
『親密な(=プライベートで個人的なことに関して)情報開示を行う人は、低レベルの情報開示を行う人よりも好かれる傾向がある』
という結果が、カリフォルニア大学サンタバーバラ校のナンシー・コリンズ氏と南カリフォルニア大学のリン・キャロル・ミラー氏の研究から得られたそうです。
記事で紹介されていた論文を読むと例えば親密な情報開示(intimate)の例として「結婚生活に対する自分自身の気持ち」、逆にあまり親密ではない情報開示(less intimate = low level)の例として「好きなミュージシャン」が挙げれてます。
『後悔していることを誰かに話したり、個人的に書いたりしてみてください。また、スタンフォード大学のティナ・シーリグ氏が「失敗の履歴書」と呼んでいるものを作成』ということも推奨しています。
3. 教訓を得る
『後悔の中からズームアウトする。距離(“self-distancing”) を取る』ことで、あたかも他人が抱えてる問題に接する時のように、枝葉末節、つまり細かいことにとらわれずに、自分の問題に対して他者視点で全体像が見えるようになるとアドバイスしてます。
話は分かるけど、どうやってやるの?という疑問が湧くと思いますが『一人称の代名詞ではなく、三人称の代名詞を使って自分の課題について話し合う』という方法も紹介されてます。主語を常に意識する言語では特に有効だと思いますが、日本語でも試してみる価値があるかもしれません。
また時間の経過とともに徐々に傷が癒えてくるという経験は多くの人であると思いますが『未来から今の自分を見ることで、現在の問題が(相対的に)小さく見え、克服するためのヒントが得られる』という手法も紹介されています。
さらに詳しい内容が知りたい方はWSJの記事、もしくは2月発売のダニエル・ピンクの新著を是非読んでみてください。
【龍成メモ】
これを書いてた頃は2月に新著が出ます!というステータスでしたが、もう出てしまいましたね。。。
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今日の写真はwhoismargotさんです。
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