
なんで急激な円安なのか? 〜 指し値オペが引き起こす円安スパイラル
エミン・ユルマズさんが急激な円安についてYoutubeで解説してました。とても分かりやすかったので、まとめてみました。
今起きてること&債権価格の基本原理

上の図の通り、急激な円安になっている

債券価格が下がると金利は上がる(金利が上がると債権価格は下がる)
円安になる原理1⃣~指し値オペスパイラル地獄
日米の金利差が大きいので日本国債の魅力低下で売り圧力(みんな売りたい)がある。そして日本国債が売られて価格が下がるので、日本国債の金利は上がる
金利が上がらないように、日銀は指値オペで売りたい人の国債を全て買うことで、現状の金利を維持しようとする
国債を買い続けるために、無から有を生み出す、つまり大量の円を供給する必要があるので、(円がじゃぶじゃぶになり)結果として円の価値が下がる
円の価値が下がるので、円安ドル高になる
為替の差が広がるため、ドル資産に比べて日本国債の魅力が低下。みんなさらに国債を売りたくなるので、日本国債の価格がさらに下がる。価格が下がるので日本国債の金利は上がる
(金利が上昇しすぎないように日銀が指し値オペで買い支える=振り出しに戻る)
円安になる原理2⃣~米国債とのスパイラル地獄
アメリカ国債の最大の買い手は日本
円安で円の価値が下がるので、日本が米国債を買うための購買力が下がる
従って今までと同じ額の米国債を買えない。米国債を買える量が減るので、米国債の価格が低下。すなわち、米国債の利回りが上がる
米国債の利回りが上がるので日本国債との差が開き、日本国債の魅力がより低下する
日本国債の魅力が低下したので売られる。すると日本国債の金利が上がる
(日本国債の金利が上がらないように指し値オペ…)
日銀の金利操作は限界
これまでに示してきたように、日銀が指し値オペすることによって、円安&国債金利上昇のスパイラルを引き起こしているため、継続可能(Sustainable)なオペレーションではない
つまり、金利を操作しようとする日銀の行為(YCCと呼ばれている)が限界
オーストラリアも昨年末、このYCC(イールドカーブ・コントロール)が限界に達し、YCC目標を撤廃している
YCCの幅を広げる(=もう少し金利が上がることを許容する)という方法もあるが、それだけではあまり効果がないのでは
円安を止めるために(直接売り買いするような)為替介入をしても、YCCが円安を加速させてる根本原因なので、YCCを変更しないと円安に対しては焼け石に水になる
【龍成メモ】
来週急激な変化(円高や円安)が起こり、「理由は〇〇です」みたいな新説が出てきたりするのが為替や株なので、注意が必要です。
とは言え、ファンダメンタルの一部としてエミンさんが解説している構造は存在すると思いますので、日銀がスパイラル地獄に陥ってる状況は変わらなそうな気がします。
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