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新しい脳イメージング手法、エピジェネティックMRI
MRI Images Epigenetics in the Brain | Neuroscience News
エピジェネティクスとは
DNAは我々のカラダを作る設計図として知られていますが、設計図に情報が書いてあるからと言って全てが使われるわけではありません。
この設計図DNAはさらに、成長過程や成人後における経験、加齢など様々な要因により、設計図(DNA)のどの部分を使うのか、もしくは使わないのかが変化していきます。それをエピジェネティック(=epi (above) + genetic)と言います。※正確にはエピジェネティックな変化(epigenetic changes)
DNAに対してアセチル化が起こると、遺伝子が発現しやすく、つまり遺伝情報が使われやすくなります。逆にメチル化が起こると転写が抑制される、つまり遺伝情報が使われづらくなります。
成長・学習、もしくはストレスなどにより脳がどのように形作られていくのかを理解する上で、このエピジェネティックな変化は欠かせない要素になっています。
これまでは、このエピジェネティックな変化を脳の構造画像として捉えることができませんでした。今回PNASに掲載される研究における学際的な取り組みによって、エピジェネティックな変化を画像化を可能にする手法が開発されつつあるようです。
炭素13を手がかりに脳内のメチル化を知る
カールイリノイ大学医学部のキング・リー教授は、メチル化のプロセスに必要な、必須アミノ酸の1つであるメチオニンがキーになると考えます。そしてマーカーとなる炭素13がついた、炭素13で標識されたメチル基を脳内に運べると考えました。
炭素13は希少炭素なので、メチオニンが脳内に運ばれメチル化されれば、希少な炭素13を手がかりに脳のどの部位がメチル化されたのか(もしくはされていないのか)が分かるようになります。
ただし、生きている動物からの炭素13の信号は弱いので、検出が難しいという問題があります。そこでイリノイ大学のZhi-Pei Liang教授は、MRIとMR分光学の専門知識を頼りに、epigenetic MRI信号を大幅に強化します。
ネズミと子豚で試してみる
研究チームは、ネズミでこの手法を試した後、人間の脳に近い大きな脳を持つ子豚での実験に切り替えます。この実験では、豚の神経発達に影響を与える要因を研究している、イリノイ大学獣医学部のライアン・ディルガー教授の専門知識が役に立ちます。
炭素13で標識したメチオニンを含む飼料を与えた子豚の実験では、MRIが脳内の炭素13標識メチル基からの信号の増加を検出できることを発見しました。さらに分析を進めると、他のメチル化分子と「DNA上のメチル基」とを区別することができました。
子豚の脳では、出生時よりも出生後数週間の方が新しいDNAのメチル化が進んでいました。そして、その増加量は、子豚の大きさの変化から予想されたよりも、はるかにメチル化が進んでいるということが分かりました。
研究チームは、カラダに入れても害のないこのラベル(炭素13)用いて、ヒトにも応用できるようになることを期待しています。
【龍成メモ】
このエピジェネティックな変化は遺伝するという研究もあり、個人的にも非常に興味があります。まだ私もエピジェネティクスの入り口をウロウロとしているレベルですが、これからも取り上げて行きたいと思います。
表紙はmirerek8さんの写真から。
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