定点観測「雪の茅舎・山廃本醸造」4日目
さあて、今日はどうなっているかな。
雪の茅舎定点観測4日目。ここに来ていちごが完全に優勢。ぶどうはひとまず退散したようです。同じ酒でも確実に日に日に、どころか時間時間で変化があるのは酒の醍醐味と言えるでしょう。
今日は酸味とアルコール感が甘味と一体になった。昨日はまだ若干酸味が浮いてました。ヨーグルトの上澄みのような酸味。
限りなく透明に近い、透明ではないお酒。味のある酒。
欠点を見つけるのが難しい。最初の甘味酸味が混じったイチゴ様の質感を好きだと思うか、そうでないかか。
昨日は「山廃」についてちょっと書きました。
今日は「本醸造」について。
簡単に言えば、本醸造は仕込みの最終段階でアルコールを添加するお酒です。もちろん(?)添加量に制限はありますが、ものによってはそれなりに入ります。この時添加されるアルコールというのは、もともとはサトウキビなどの糖から生成されたもので、何度も蒸留を重ねることによってほぼ純粋なエタノールになっているものです。
「なんでほぼ完成した酒にわざわざ製造工程と関係がないアルコールを添加するの?」という疑問が湧く人もいるかも知れません。
アルコールを添加するもともとの目的は、腐造(売りに出せないような極端な劣化)の防止でした。様々なパターンがありますが、一般的にアルコール度数が高いお酒は極端な劣化をし辛いのです。
それが時代によっては酒を水増しするためにアルコール添加が行わたことにより、イメージの悪化に繋がりました。
(※なぜアルコール添加が「酒の水増し」につながるのかのざっくり説明。
①標準的な日本酒は仕込みの最終段階で大体アルコール度16度以上くらいの酒になっている。
②そこにアルコールを加えるとさらに度数が高い酒になる。
③そこに加水をすることで、市販の標準度数であるアルコール度15~17度の日本酒が、アルコール添加前に比べて多量に得られる。以上。)
ってところで昨日同様他力に頼ります。
アルコール添加についてのリンク。
これらを読んでいただければ分かるかと思いますが、アルコール添加は「酒の品質を向上させ、保ち、生産量を増やす」ためのひとつの技術です。それが見方によっては「悪用された」と思えるような時代があったために極端に拒絶する方も時折見かけますが、正直そこまで慌てることもないかと思います。
アルコール添加には腐造の防止の他に「酒の香味を良くする」「生産量を増やす」といった目的があると上記で述べ、リンクにもありましたが、この雪の茅舎の酒はまさにその好例と言えると思います。
少々アルコール感はあるけれど、4日目にしてかなり全体の味とそれが馴染んだ感じかあるし、この完成度で一升2000円とちょっとです。恐ろしいまでのクラフトマンシップ&コストパフォーマンスと言えると思います。
や、ほんとね。欠点探せって方が難しいんじゃないかな。
強いて言うなら中核を担うイチゴ様の甘みと酸味を苦手と思うかどうかですね。いやはや。すごいなあ。
明日以降はよりオフフレーバー(一般的に不要な香り)と言われる様な要素に目を凝らす。そんな意気込みです。ではでは。
酒と2人のこども達に関心があります。酒文化に貢献するため、もしくはよりよい子育てのために使わせて頂きます。