
社会学レポート「変化の遅いもの」についての考察〜
人は、突然変異で毛を失い、前頭葉が異常発達した際、「見立てる力」を手にした。
見立てる力によって、対象を絞った意思の伝達が可能となった。1番代表的な例は、洞窟壁画である。人は、動物を認識し、その動物の姿を木炭や血で描いた。それは、人間以外から見たら、単なる塗料としてしか認識されない。しかし、人間たちは、それを描かれた動物として認識する。そして、絵から象形文字が発展し、現代に至るまでコミュニケーションの中心には「文字」がいる。
コロナ禍をきっかけに、オンライン化やリモートワークの急速な普及により、デジタルな文面のやり取りが増え、プリント物も全てPDFに変わった。媒体は変わろうとも、文字はその役割を失うことなく情報伝達の手段として存在し続けている。文字は、時代を超えて普遍的なコミュニケーション手段であり、変化はしていくもののその変化の遅さは顕著である。
文字が変化の遅いものとして注目される理由は、その普遍性と持続性にある。文字は、人類の歴史を通じて記録、伝達、保存の手段として機能してきた。古代の石碑から現代のデジタルメディアまで、文字はあらゆる媒体を通じて情報を伝える手段として利用されている。このため、文字の形や書き方は時代とともに変化しても、その基本的な役割は変わらない。視覚的にわかる範囲より視野を広げてさらに深掘ると、人は、思考の際に必ず文字を使う、考えるツールとしても深く根付いている。数学や文学、あらゆるものは、文字を通して研究・思考が行われてきた。さらに抽象化すると、文字は、表現の媒体である。コミュニケーションも、学問も、自分の気持ちや理論を文字という媒体を通して表現している。そしてこれは、人間が築いてきた文明の重要な基盤
であり、人間が同じ文明で発展を重ねる限り揺るぐことのない存在である。しかし、ゆっくりとだが変化はしている。象形文字から今の文字に至るまでの変化ももちろんだが、地域を絞り、時間の範囲を絞っても、その変化は見られる。例えば、日本語でも死語が存在するし、男女間で通常起こっていたカエル化の使われ方もここ数年でかなり異なってくる。変化はしているが、人類史という長い目で見た時、文字の役割や媒体としての機能の根底は変わっていない。
文字に注目することで、それ以前と何がどのように変わるのかを考察する。まず、文字の持つ力や価値が再評価される。デジタル化が進む中で、文字が情報の記録や伝達において果たしている重要な役割を再認識できる。また、思考法としての基盤であることも再認識される。科学技術が発展していく中、それの基盤となる文字を改めて深掘ることは多岐にわたる分野の様々な事柄の見直しに繋がる。さらに、文字に対する注目は、教育や文化の分野にも影響を与える。文字教育の重要性が再確認され、文字を通じた思考力や表現力などの創造的な活動に注力する機会となる。なぜ自分がその言葉選びをしたのか、なぜこの表現は公で不適切とされるのか、そういった、文字やその表現の見直しが個人に始まり、社会全体への再考に繋がる。
このように、変化の遅いものに対する注目は、社会学の基本的な視点であり、社会の深層を理解するための重要な手段である。文字のような変化の遅いものを通じて、現代社会が抱える問題や課題を浮き彫りにし、それに対する解決策を探ることが求められている。そして、この注目が社会全体に与える影響は、コミュニケーションの質の向上、教育の充実、文化の再評価、思考のアプローチ、人のアイデンティティの深掘りといった形で現れてくるはずである。
社会学のレポートは、ここまででまとめて提出したのだが、私が大学で単純に面白いと思って聞けた授業は、西洋建築史である。
長くなるため、次のnoteにまとめる。