6/15;和田峠でエベレスティング
1つの峠あるいは坂を延々と上り下りを繰り返して獲得標高をエベレストの標高と同じ8848mにのせるというチャレンジ、エベレスティング。
去年の頭くらいから、ろーたすのマスターや身の回りの仲間を中心にチャレンジする人が増えていて、”いつかは自分も”とずっと頭の片隅にあったチャレンジでした。
累積とはいえ自転車で世界一の標高地点まで登るって、シンプルに引き込まれます。この時点でおかしいのかもしれないけど、笑
特に今年はコロナの影響でレースが軒並み中止になり、体力を持て余したレース勢が多くチャレンジしているように見受けられます。
そんな”エベレスティングブーム”に乗っからない手はないだろうと、マイスイートホーム和田峠で決行することにしたのです。
たくさんの応援のおかげで(本当にたくさん、、)無事達成できました。
ということで備忘録をまとめます(^^)
長くなっちゃいましたが暇つぶしのどうぞ!
0. 始めるまで
話は戻って、実は去年の3月ごろにヒルクライムレースシーズン前の景気付けにエベレスティングを実行する寸前だったことがあります。
去年はヒルクライムレースを多めに出る年にしていたこともあり、ダメージの大きいエベレスティングはオンシーズンではなくオフシーズンの締めにやろうと思ったのです。
その時は家から自走で10分ちょっとで着き、周辺にはコンビニ等が充実しているよみうりランド坂;V坂(距離700m/600mUP)でやるつもりでした。
たっぷり前日にカーボローディングをして二日間のフルレストを決めていざ当日深夜に起きると外はがっつり雨、、
初チャレンジでウェットコンディションは登りより下りが怖いということで、結局断念したのです。
その後V坂では達成者が続出したのもあり、V坂でやる気は次第に薄れていきました。
そしてその当時、ヒルクライム対策で和田峠でのリピートアタックをメインに練習していた(和田活)ので、”もしやるなら和田峠かなぁ”と、次第に和田エベに興味を持つように。
ここで和田峠のスペックを。
距離3.7km 獲得標高344m(平均斜度9.5%)
激坂の部類に入る峠だと思います。
家から一番近い峠なのと、シンプルにコース全体の雰囲気が好きで、先ほども書いたようにここでヒルクライムの練習を行っていました。
余談ですが調子良い時にここを3本アタックして全て15分台だったことが密かな自慢()
昨年の後半はツールドおきなわがメインイベントで、そこに向けたトレーニングの一環で和田エベをやる予定だったのですが、設定したその日も雨。。
本格的に周りからは雨男のレッテルを貼られる始末。。
(でも雨男って、雨雲を引き寄せることでどこを晴れにしているわけだから実質晴れ男みたいなもんですよね。)
そんなこんなでさらに半年以上経ち、レースやブルベ等のイベントが軒並みなくなった今年こそやる時だろうとなったのです。
ということで昨日6/15に決行、することに決めたのは実は前週の6/11くらい。笑
本格的に暑くなる前で日も長い6月のうち、奥さんも自分も休みが合うのが昨日だったのです。
あと、和田峠だけはまだ達成者がいなかったため、誰かがやる前に挑みたいというのも決め手。
かなり急でしたし、今年は自粛期間ほとんどローラーで1時間から1時間半の中強度のトレーニングしかしていなかったので、正直一発達成は無理だろうと思っていました。
絶対的に長時間の耐性が落ちているはずで、実際に直前の金曜に100kmほど走った段階でも暑熱順化できていなかったのか熱中症で後半はヘロヘロになってしまいましたし。
本番は別にして、その予行という位置付けにして気楽にのぞむことにしました。
1. 準備
とはいえ予行である以上調整はしっかりやろうと思い、二日前からカーボローディングを開始。
ビッグライド前という免罪符にかまけて食いまくりました。
(ちなみに本来カーボローディングは総カロリーは少し増やすくらいにして、炭水化物の比率をあげることです。食べ過ぎは×)
また直前にしっかり寝るために二日間はコーヒーを飲まず、自転車には乗らずにフルレストしてそれまでの疲労を完全に抜きました。
機材の方はハンドル周りの消耗品(もともとへたっていたので)とブレーキシューはSwissStop(もともとへたっていたので)に交換しました。
和田峠は急斜面でカーブも多く見通しも悪いので、下りがネックになるだろうと思っていました。
予報を見るとなぜかピンポイントに月曜だけ最高気温30度オーバーの予報
ただ和田峠のある陣馬高原は山の谷間にあり基本的に街よりも涼しく、コース上も木が多いため日陰がかなり多いのです。しかも序盤は渓流沿い。
だから意外と和田峠は涼しいのでは?とも思っていました。
(そしてこれは大正解!)
2. いざ和田活!
迎えた当日は2時半起床。
準備をしてから近くのパーキングからカーシェアの車を取ってきて搬入して二人で和田峠へ!
車内で奥さんも富士山ニング(往復して獲得標高3776m)にチャレンジすることが決まりました。
(強要はしていないですよ汗)
買い出し着替え諸々済ませて5:15ごろにスタートしました。
最初一本目は夫婦でのんびり30分くらいで。
その後は自分は20分〜22分くらいでまとめるつもりで数を刻んでいきました。
ここでびっくりしたのが早朝から応援に来てくださる友人たちの存在。
大きいカメラを持つ人(上の写真はこのカメラで撮ってくださりました。)
パンを差し入れてくれる人
道の上の枝を除去してくれる人。
本当にありがとうございました。おかげさまで最高のスタートを切れました。
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以下は当日の作戦。
・登りは20~22分ペース(3.0~3.4w/kgくらい)で下りは10分の1時間2本を基準に。(これは後半は無理でした。)
・休憩は長くて10分で、短い休憩をこまめに。疲れる前に休む。
・脱水したら終わりなので水は登坂2本につきボトル1本ペースで。
・上半身主導のダンシングを多用して脚を最後まで温存
フルレストの効果か、カーボローディングが奏功したのか、かなり調子が良かったです。
ダンシングのリズムにうまく乗れたのもよく、作戦通り20分台でまとめられました。
富士山にも5時間半で到達。
また予想通り気温もそこまで高くなくて、あとで見ると平均気温は21度。
土日の雨の影響で湿度はすごく蒸し風呂みたいでしたが。笑
(多くの方に暑さを心配していただいていたのですが、実はかなり快適な環境だったのです。和田峠はいいぞ。)
この間にもたくさんの応援の方に来ていただけました。
ドリンクありがとう。
一人は容赦ないペースでリピートをして帰りました。笑
ありがとう。
調子も良く、気候環境も悪くない。これはいけると確信して予行と言わず今日達成することに決定。
ただ15本目くらい、獲得標高5000m超えたくらいで正午に差し掛かり、日が上がりはじめて流石に日陰が半減して辛くなって来ました。
とにかく水を飲みましたが汗が止まらず、ケイデンスも上げにくくなりました。
5000mが壁とはよく聞いていましたが、思うにこれは多くの場合5000mに到達するのが昼に差し掛かるからなんじゃないでしょうか?
”14時回れば太陽が山の向こうに行くからまた涼しくなるはず!”
と信じてこの辺りは無心で登り続けました。
(ここで塩気多めに作ったお団子をくださったKさん!このタイミングのこの団子には本当に救われました!)
予想通りまた涼しくなり、またここで友人が来てくださり気持ち的にも楽になりました。ありがとう福さん。
この辺はおしゃべりしながらのんびり登りました。
タイムももしかしたら13時間台いけるか?と欲張ろうと思いましたが、
17本目くらいになると流石に脚にじわじわくるようになり、ダンシングでごまかそうに体を持ち上げるのも億劫になりました。
激坂なので1つ1つの動作にエネルギーを使います。
また下りの疲れも確実に上半身溜まっていました。
”もういっそ脚をフルに使って下りのために上半身を休ませよう”と作戦を逆転。
下りで転んだら全て台無しなので、欲張らずじっくり完遂を目指します。
カフェインも再投入して足の疲労をごまかします。
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19本終わってまた10分程休憩。
ここで”あと7本もあるのか”とだいぶメンタルにきました。
これだけ登っておいてあれですが本来7本だってこんなところでやらないですからね。笑
もう1本ずつ集中してこなすしかないと言うのと、ラスト5本切ったら気持ちが楽になるんじゃないかと気を引き締め直しました。
7本も5本も変わらないと思うかもしれないですが、こればかりは気持ちの問題です。
なので気持ち的に一番きつかったのが20~21本目でした。
ペースももう20分なんて到底刻めず、22分台乗ればいい方。
慢性的にエネルギーも足りなくなってきていて、集中も切れてきました。
しかし、この辺りで以前からお世話になっているはやとさんや、夕練中のなるさんが駆けつけてくださりました。
月曜の夕方に、あんな山奥にですよ。笑
しかも一緒に登ってくださると。
このお二方のおかげで最後3本くらいが本当に楽に感じました。
お話しつつのんびり登り、安全に達成する事を念頭にゆっくり下りました。
最後の一本は途中で富士山ニングを達成した嫁も下ってきて合流して、
4人で明かりつけながら登り、
ラストストレートでなぜかもがき(笑)
無事、26本8879m、14時間22分で完遂!
奥さんも富士山をクリアして、そこからお代わりして4000mUPを達成!
達成したことはもちろん嬉しいですが、何よりも嬉しかったのがたくさんの方が応援に来てくださったこと。
こんな平日に山奥で峠を往復してるのをわざわざ見に来てくださるなんて、自分は本当に仲間に恵まれているんだなと。
また終わった後にTwitterを見るとものすごい数の応援コメントや祝福コメントをいただけていて、さらにびっくりしました。
エベレスティングを達成した人はみんな、”応援のおかげで達成できました!”と口を揃えて言いますが、本当にその通りだと実感しました。
改めて、応援くださったみなさま、本当にありがとうございました!
そしてやはり深夜からこんなアホに付き合ってくれた嫁よ。
同じ道にいてくれるってだけで救われました。本当にありがとう。
エベレスティングは体力だけでなく集中力が求められるチャレンジだなと感じており、集中力を保つ意味でも人がいることほど大きな支えは無いです。
個人的な達成感を得られてだけでなく周りにすごく恵まれているんだなと言う事を感じられ、辛さを消しとばすほど楽しい1日になりました。
またこれをやるかどうかと言われたらもうこれっきりでいいですが、誰かがやる際は必ず応援に行こうと思います(^^)
攻略にあたってこれだけは押さえておきたいポイント
世の中には何回もエベレスティングを達成した方がいる中で、自分はまだ一回やっただけですが、それでも”これだけは外せないな”と言う注意点を最後にまとめようと思います。
①栄養・水分補給は事前にガッツリ当日はこまめに
エベレスティングは速さを競うものではなく体力勝負なので、ハンガーノックと脱水に陥った瞬間ゲームオーバーか、耐えても達成がさらに困難になります。
かといってまとまった食事を登坂の合間にガッツリ食べるとそれを消化するのにエネルギーを消耗することになります。
ですのでまず事前の十分なカーボローティングは必須です。
胃に負担をかけない範囲でしっかり炭水化物は取っておきましょう。
当日は一本登るごとに何かつまむくらいでも良いと思います。
腹持ちの良いパン類やおにぎりを序盤に食べて、疲れてくる後半はあんこ系の和菓子やジェルなどを取ると良いと思います。
後、中盤にカフェインを取るときついところから持ちこたえられます。
②ペースは大げさなくらいゆっくり
タイムを求めるわけでない限り十分にペースを序盤から落としておかないと後半に足がなくなりペースが落ちて、結果さらに長時間の走行を迫られます。
最後まで刻み続けられるペースを心がけると良いと思います。
自分は今回垂れはしたものの大きな急ブレーキにはなりませんでした。
パワーソーンで言えばL2とL3の間くらいがちょうど良いと思います。
長時間かけないようにすることを念頭に置くなら、トレーニングとしては絶対的な登坂力向上に向けて有酸素運動能力を鍛える必要があります。
③下りは慎重に丁寧に!
コースにもよりますが下りで転んでしまってはせっかくのチャレンジも台無しです。
下りは焦らずにじっくり時間をかけて下るのが良いかと思います。
また意外とエベレスティングは下りで体幹部へのダメージが蓄積されます。
達成を急がないのであれば体幹トレーニングはしっかりやりつつ下りの練習もすることをお勧めします。
もちろんコース選択として下りがテクニカルでないコースを選べるならそれがベストです。
今年はイベントがない分こうしたチャレンジングなことに挑める絶好の機会です。
ちなみにエベレストでなくても富士山の標高を目指すのも楽しいと思います(^^)
みなさんのチャレンジのお役に立てれば幸いです。
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