見出し画像

走行時間や強度に応じたライド中に最適な補給食

こんにちは!前回に引き続き今回もスポーツファーマシスト(薬剤師)で現役E1レーサーのアベがお送りします。

今回の記事は前回の内容も踏まえて読んでいただけるとより実践しやすいです。

まだ読んでいない方はこちらを読んでください。

自転車の良いところは身体への負担が少なく、長時間乗れるという所です。
その日の気分によってルートや目的地を変えたり、みんなで楽しくグルメライドであったり、レースのための練習といったハードなものまで多様な楽しみ方ができます。

当然、時間が長くなればなるほど身体のエネルギーは使われます。
おおよその目安として成人男性が1時間自転車に乗ると500kcal程はすぐに消費してしまい、そのまま何も食べずに自転車に乗るとハンガーノックに陥ることがあります。

ハンガーノックと言えば優しく聞こえるのですが、命に関わる重度の低血糖状態です。自分やライド仲間の健康を守るためにも、しっかりとした知識を覚えておくことが何よりの予防策です。

1、まずは初めにおすすめの補給食を紹介


・かし原 塩羊かん

10本入り200円ほどの価格でスーパーの菓子コーナーで売られており、1個当たり50kcal前後と非常にコストパフォーマンスが優れています。
細長く携帯性も良いです。

・コンビニなどで売っている5個入り100円のあんぱん

全国のコンビニて売っており入手性に優れているだけでなく、1個100kcal程と大きすぎないサイズで食べやすいのも好印象です。

・Meitanサイクルチャージ、アミノバイタル ゼリードリンク、inゼリーなどのゼリータイプの商品

保存性に優れているだけでなく、すぐに吸収してエネルギーになりやすい糖質を使用しているため素早いエネルギー補給が可能
各社特徴を出し、カフェイン入りやアミノ酸入りであったりと様々な工夫をしている。

ただ、ハンガーノック対策としては効果にほぼ違いはないので自分の好みの味や使いやすい包装の商品を選べば問題ないです。


ちなみに、持ち運びに便利で健康的なイメージのあるカロリーメイトですが、個人的にはおすすめしておりません。カロリーの半分はマーガリン(脂質)なので一般的な補給食としては向いていません。

「カロリーメイトブロックの原材料で使用しているマーガリンは、トランス脂肪酸量を低く抑えたものを使用しており、製品にもほとんど含まれておりません。」メーカーより引用

健康問題でしばし出てくるトランス脂肪酸ですが、ほとんど含まれていないとのことです。
本当にほとんど含まれていないのならば長所なので量を記載すると思うのですが、しないということは、、、(以下略

したがって補給食には羊羹系、パン系、ジェル系がお勧めです。

2、ポタリングやグルメライドの補給について

健康増進やライド先での観光、グルメを楽しむために行っているので、あえて高額なジェルや補給食を購入するメリットは少ないです。

ただし、ハンガーノックに陥った際のお守りとして一つポケットに吸収速度の速いジェルや補給食を持っていると安心でしょう。

2時間未満の場合

ライド前に食事をとっていれば特に用意する必要はありません。
心配なのであれば飲み物をスポーツドリンクにして糖質を補給するようにしましょう。


2時間~4時間の場合

ライド中にも糖質をとりハンガーノック予防のためのカロリーをとる必要があります。
運動強度も高くないことが想定できるので、 1時間あたり150~200kcal程とっておけばよいでしょう。

4時間以上の場合

何も食べずに水だけで走っているとハンガーノックになる可能性が非常に高まります。
1時間あたり150~200kcal程とりつつ、せっかく遠くまで移動してきたので飲食店に入り食事をしましょう。
消費カロリーも多くなっているので500kcal以上の食事をとっても大丈夫です。
食事を選ぶ際のポイントは、生の魚や辛い物、脂質が多すぎる物は避けた方が良いです、お腹を下してしまうと帰りが非常に大変なことになります(笑)

3、レースでの補給食について

1時間未満の場合

短期決戦なので一瞬の油断が勝負を分けることが想定されます。
水分をとるのみでよく、補給食を食べる時間も必要もありません。

1~2時間

基本的には必要ないです。
スポーツドリンクに含まれる糖質のみで充分なパフォーマンスはキープできます。

3~4時間

糖質不足によるパフォーマンスの低下やハンガーノックの可能性が高まります。
1時間当たり200kcalの補給食はとるようにしましょう。
補給食の注意点としては、吸収の妨げにならないよう食物繊維が入っていないものを選ぶことが大切です。

4時間以上のレース

ハンガーノック対策だけでなく、エネルギー不足がレースの結果を左右するので、最低限でも1時間当たり200kcalの補給を摂るようにしましょう。

以前は初めにパンなど固形のものや羊羹などをとり、徐々にジェルや液体の補給食をとるようにするのがトレンドでしたが、現在ではより多くの糖質を素早く吸収するために初めから液状やジェルを使用するのが効率的であることがわかっているため多くの選手が採用しています。

<番外編>あえて脂質が多い補給食をとるメリット

ハンガーノックになるリスクが格段に増えるので、自分の体の変化には細心の注意を払う必要があるのですが、
糖質を控えて脂質を多めの補給食にすることで脂質をエネルギー源として使用する効率を上げ、筋グリコーゲンの使用量を抑えることができるようになります。
これにより、レース終盤でも脚を残すことができスプリント勝負になっても優位に立てることができます。
JBCFレースやツールド沖縄、ニセコクラシックなどの成績向上を目指している人にはおすすめの補給食です。

具体的にはコンビニなどにあるホットスナック(骨なしフライドチキン)を補給食として使用します。
目安としては1時間に1個フライドチキンを摂取してください。
脂質を多く摂取するだけでなく、同時にたんぱく質をとることで筋肉の分解を抑制することができます。

余談

現在では糖質の比率を最適化することで吸収効率を高め、1時間あたり90g(360kcal)の糖質を摂取できることが知られています。
ACTIVIKEでは、レースでのパフォーマンスを最適化するためのスポーツドリンク用粉末を開発中です。

熱中症を防ぎ、自分が日々練習した成果を最大限に発揮することを目的とする、科学に基づいたスポーツドリンクが水さえあればお好きな場所で作ることができるようになります。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?