ツールドおきなわ2023市民200/パワーデータ、トレーニング、コンディショニング、機材など
長いこと時間と熱量を注いだレースというのは終わった後にロスのような感情になり尾を引くものだけど、切り替えが肝心。
この記事を以て私のなかのツールドおきなわ2023は終わりとしたい。(打ち上げが控えてるけど笑)
ちなみに、11/23 21:00~Xスペース機能を用いておきなわ200振り返り会を行う予定です。ぜひご参加を!
この夏から秋の取り組みは感覚としても数字としても非常に良い変化を得られたので、改めてまとめて来年への財産にしなければ。
自分で後で見返すように、パワーデータ、機材、トレーニング、本番に向けた調整をまとめていきたい。ツールドおきなわへの挑戦を考えている方の参考になればとも思う。
数字で見るツールドおきなわ2023
全体的な走行データはこちら。(パワーソースはFavero Assioma Duo、体重は推定58.5~59.0kg
このうち、序盤70kmの平坦区間
フンガワ以降の140km
いわゆる”本当のレース区間”であるフンガワ2回目以降に絞ると
FTPは280w(4.8w/kg)設定。実際1時間持続できるパワーはこんなものだと思う。ただ、調子が上がってくる中で算出されるTSSと感覚はどんどんずれていった。
なお、パワーの左右差は一旦許容しています。過去の腰椎分離症が影響しています。
重要区間のタイムとパワーはそれぞれ
・フンガワ#1 17:36/276w
・奥の登り 10:07/268w
・フンガワ#2 17:37/290w
・学校坂 4:57/366w ※これでも井上さんからはラスト1/3で千切れました汗
・慶佐次 5:55/310w ※単独逃げ中
・有銘2段坂・1段目 4:20/320w ※単独逃げ中
・有銘2段坂・2段目 2:58/329w ※5人の先頭集団
・羽地 8:39/277w ※垂れ
フンガワのタイムが2回とも同じだけどパワーが違うのは注目ポイント。位置取りであったり、前半と後半の強度配分の違いできつさがだいぶ変わる特殊な峠だと思った。
それぞれのパワー自体は"え、そんなもん?"と感じると思うし、自分も過去の先輩方のデータを見てまずそう思った。
パワープロフィールで見たらこれくらい出せる人は多いと思う。
ところがこれらを5時間走りながら出すとなると一気に違う世界の話になってくる。
そしてここがおきなわ対策を考えるうえでの一番の肝になると見てトレーニングの方針を決めた。
おきなわに向けたトレーニング/練習
おきなわで求められる力はヒルクライム能力ではなく、エンデュランス能力と高負荷の反復能力。この力を身につけるために、以下の流れでトレーニングと練習を進めた。大枠の進め方はACTIVIKEでオンラインコーチングをやってくれているりゅーじさんの指導を取り入れつつ、おきなわのコース対策のために必要なことを取り入れた。
準備期間3ヶ月のボリュームは
8月 79h9m/2140km/TSS 4021
9月 88h8m/2393km/TSS4498
10月 103h48m/2840km/TSS5510
11月1日~11月11日
8〜9月ベース強化に徹して、心拍ゾーン2レベルをキープして2〜6時間のライドを可能な限り取り入れるようにした。
4時間以上走る日は週2回で、4km以下の峠を繋いだコース。10〜20分FTP90%の負荷を合計40~60分掛けるようにした。これを基本ノンストップ。心拍は常に120以上で走りながら峠に入るので結構キツイけど、ベースがかなり上がったと思う。
木曜の早朝のみ、2~3分の短い坂を含んだ10kmのアップダウンコースの周回練にてレースに近い強度の1時間走でオールアウトまで追い込んだ。これはおきなわを意識した3ヶ月の練習の要の一つで、インターバル耐性がかなり付いた。また自分の限界を超える負荷でいじめてくれたおかげでフィジカルの底上げもされた。
強者の集まる練習環境を作り開催し続けてくれたTRYCLE.ing ぱやおさんと、集まってくれた仲間たちに改めて感謝したい。夏以降のブレイクスルーは間違いなくこの練習会のおかげです。本当にありがとうございました。
なお、リカバリー目的で週1~2回はz1で1時間ほど流す日を設けた。
週の走行時間は最初は15時間ほどでヘロヘロだったけど、徐々に20時間までこなせるようになっていったし、心拍ゾーン2で出せるパワーも少しずつ上がりベースの向上を実感できた。
10月1週目はレスト週として早朝練をパス。ただしボリュームは20時間/週から落とさなかった。
10月2週目からも基本的に低強度で走るのは変えなかったが、峠での強度を上げるようにした。FTPより上の領域での10〜15分走のみから始まり、徐々に本番を想定して終盤に3〜4分の高強度インターバルも。
調子に乗って週一の早朝練の後も3時間ほど追加して峠で10分走を入れるなどしたが、これはややオーバーワークだったと思う。
また、10月3週目からtabata形式のショートインターバルを週2回やるようにした。
この時になると回復力がかなりついていたので週20時間乗っても全く疲れを感じなくなったし、回復日に室内で暖房を入れてSST20分走をやるなどしても問題ないレベルまで体力がついていた。
10月3〜4週はボリューム、強度とともにピークになり、走行25時間/700km/TSS1500に達した。この期間で10分パワーの自己ベストを更新。昨年よりも心拍ゾーン2〜4でのパワーが20w底上げされたような状態になった。
体は毎年変わるから来年もこの通りやればいいというわけではないと思うけど、ピーキングの流れとしてはこれまでで一番成果を得られたのは事実。この流れを主軸に今後もやっていこうとは思う。あとは、サバイバル/逃げ/スプリントなどあらゆる局面を解像度高く想定した練習を行っていかなければいけないと思うし、SSTのボリュームはもっと増やす余地があったと思う。
最後に、長距離ラインレース特有の補給対策練習として意識していたことは、①補給は基本乗りながら摂ること、②本番を想定したタイミングで摂るようにすること。食べる練習、大事です。
あとはコーナリング対策としての8の字練習は隙間時間でやっていた。1分やるだけでも全然違う。
トレーニングのルール
基本的に週の中で頑張る日を2つ作る。逆に言えば2つが上限。1つ目の波は10〜15分間オールアウトしない強度を反復する意識で、2つ目はオールアウトするまで追い込む。繋ぎの日は低強度に徹する。
ただし期間が進むにつれて回復力がついて気持ち的にもやれる気がしてくるので、10月下旬はもう1日だけtabata形式のショートインターバルをやる日を加えるなどして効率よく最大負荷を掛けるようにした。
この辺りは1週間の中でどれくらいの時間を掛けられるかによって、高負荷の比率が高くなったりすると思う。
日々のコンディショニング
日々のトレーニングの質と量を高めるために大事な時間はトレーニングそのものではなくその後。
”よく食べよく寝る”をスローガンに最低でも基礎代謝+消費KJ分のエネルギーは糖質をメインに毎日摂るようにしていた。このために自社製品のリカバリープロテインは大活躍。胃腸に負担をかけずにエネルギーを十分に摂ることができるので手前味噌ですがおすすめします。
体重管理として、自分の場合起床時に58kgを下回ると長時間の出力維持が難しくなる傾向が見られたので、体重は落ちないように注視していた。また、体水分量が落ちると明確にパフォーマンスが落ちるし、そのダメージは翌日以降も引きずるので、水は練習以外でも毎日2L飲むようにしていた。
夜のマッサージとストレッチはやるかやらないかで翌日の質が違うので必須。ストレッチは股関節と脊柱がメイン。
よく寝るために気をつけたのは、”晩御飯は19時までには済ませる” "寝る前に水を飲む” "部屋の照明は徐々に暗くする”あたり。
この辺は妻と仕事の時間が大きくずれてるからこそできたことでもあると思うし、部屋の明かりの調整はむしろ妻からも反応が良かった。感謝です。
本番前2週間の調整
強度もボリュームもピークに達した10月末。疲労に回復が追いつくか追いつかないかのギリギリの綱渡りな感覚があったので、これ以上上げようとするのはリスキーと判断。
他の出場予定者が最終仕上げの高強度ロングをやっているのを横目に自分は2週間のテーパリング期間に移行した。
この期間の負荷目標(ボリュームとTSS)として、1週目はピークとなった10月最終週の70%、2週目(本番前日までの6日間)は50%。
一気に負荷を落とすのではなく少しずつ落として、10月末まで掛けた負荷をじっくり体に染み込ませるような意識で。これはうまくハマったと思うし今後も大事なレース前はこの考え方で調整したい。
最終的にCTL150/ATL112/TSB+38の状態で当日を迎えた。
※オーバートレーニング防止のためFTPは低めに設定している。
使用機材
フレーム cannondale supersix evo LAB71
ホイール HOLLOWGRAM SL50
コンポーネント shimano R9200
ギア52/36-11/30
タイヤ continental GP5000 STR 28c(F3.8/R4.0)
バイクは完成車で買ったままの状態です。重量はペダル込み7.2kg。
ホイールが実は前後で1560gと結構重いのですが、これはなんかいいです。登ります。
重量には現れないトータルバランスに優れたバイクなんだと思っています。登り良し巡航良し下り良しです。
タイヤは普段ドライコンディションならF4.2/R4.4の範囲で走っているけど、沖縄の路面はすでによく言われているように滑るので試走の段階でドライでもF4.0/R4.2で調整。雨なのを受けてF 3.8/R4.0にした。これに関してはネガを感じず、いつも通りの走りができたと思う。ウェット路面については空気圧云々もだけど、コーナリングに際しての基本的な重心移動とバイクを倒さないことを抑えることが大事だと思う。
機材についての反省はギア比設定。日本のラインレースの斜度ならフロントは54/40で対応できるし、50km/hオーバーでも回し切らずしっかり掛けることが求められるので52/36は不十分だったと思う。
謝辞
これまで僕と1mでも一緒に走ってくださった人、自転車を通して出会ってくれた人、あの日が今の自分の血肉になってレベルアップし続けられています。本当にありがとうございます。また走りましょう、会いましょう。
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