SR600福島 Day1
今この記事を書いているのは、スタジオ近くにあって普段よく作業をしているカフェです。自分にとってはよくある日常の一つ。
でも9/28までの三日間はそんな日常とはかけ離れた、圧倒的に非日常に満ち溢れた3日間でした。
初めての600km、
初めての獲得標高10000m、
初めてのナイトヒルクライム&ダウンヒル。
全てが未知の領域で、出走前は楽しみ半分不安半分だった今回のSR600福島。
自分にとってはあまりにも濃すぎたので、これはブログにまとめないと勿体無いと思いまして、Day1~3と3日に分けて書いていきます。
暇つぶしにはちょうど良い内容になっていくかと思いますので、ご覧ください。
まずはコース紹介!SR600福島とは??
SR600とはパーマネントと呼ばれるブルベです。ライダー自身が日程を設定して好きな時に走ることができます。日本で設定されているSR600のコースは9本(たしか)。
コースの基準は距離600km、獲得標高10,000mの、山岳コースになります。
その地域の魅力的な峠道を一挙に巡ることができる反面、補給ポイントが少なく道も時には未舗装になることもあるため、通常のブルベよりコースの難易度は高め。その分制限時間は60時間(通常のブルベは40時間)とかなり緩く設定されています。
そんなシリーズの中で、福島県内の山岳地帯を繋いだコースが今回の舞台です。
郡山スタートでまずは東吾妻山(浄土平)と磐梯山を中心としたボリューミーな山岳地帯を走った後に猪苗代湖を半周して一旦会津若松へ。
そこから喜多方へ北上してから桧原湖へ上り、山形県との県境の白布峠(西吾妻スカイバレー)を超えて米沢へ。
JR峠駅に至る林道(後編で記載。クソ坂)を超えて福島市へ。
そして東南方向へ行き阿武隈エリアのアップダウン地帯を巡っていわきについてから郡山へ。
福島県の半分を巡るコースです。逆に言えばこれだけ走ってまだ半分。
ちなみにコースの副題も”うつくしま、これだけ走ってまだ半分”です。
嫌な予感が続く郡山〜浄土平
5時ごろに起床してすぐに準備開始。前日にコンビニで買い込んだ細巻きとおにぎり、パンを食べてからボトルに水とパラチノースを詰める。
初日の予定は郡山をスタートしてゴールは会津若松市になる220km。直線距離にしたら郡山から会津若松は55km程度なので、実に4倍の距離をかけて走るということ。
200kmを超えるロングライドは、今年は1月に伊豆一をして以降やっていなかったので、それ以上のボリュームで連日走ることはとても不安が大きかった。なんにせよ”事故なく家に帰る”を最優先に走ろうと心に誓う。
当日の予報は曇り予報だったけれど、山の方はほぼ確実に雨が降っているだろうと思っていたので、全身にワセリンを塗ってコーティングしてから要所要所にジンジャーオイルを塗って冷え対策。
今回のジャージは悩んだがシクロクロス用で裏起毛のワンピースにした。それにレッグカバーだけつけて、グローブも指ぬき。ウィンドブレイカーとレインウェアで防寒対策をすることにしました。
朝6時に郡山駅をスタート。
真ん中が15さんで右があおむけさん。15さんは前週に1000kmブルベを完走しており、中3日開けての今回というタフさ。二人共10月はほぼ毎週ブルベを走るそうな。笑
そんな心強すぎるお二人と共にこの度は始まります。
郡山の市街地を出るとすぐに信号のない田舎道に。向かい風は強いものの適度な間隔でローテをして快調に進みます。
ほどなくして母成峠へ至る母成グリーンラインに到着。11kmで5%の斜度になります。と言っても前半はほぼ平地に近く、後半は8%以上で推移する、いわゆる”平均勾配詐欺”な峠です。
景色もほぼ変わらず、”このカーブもさっき通ったよな?”と感じてしまうほど。笑
そしてこの上りで早くも雨がサラサラと降り始めました。予報では午後3時くらいから降り始める予報だったので、やはり曇り予報の日の山のうえは雨が降るものと思って対策するべしと再認識。
ここはのんびり、3人でペース合わせて会話しながらゆったり上り、ほどなく山頂に到着。ここが最初のPCです。
早速冷え対策にウェアを調整してから、今回の秘密兵器のジンジャーオイルを首に塗りました。
今回の参加を決めた時は雨対策にイナーメのオイルを塗ろうかと考えていたのですが、強力な分落とすのにかなり苦労すると聞いていたので、郡山の百貨店にあったアロマオイル専門店で購入したものです。塗るだけで寒さを感じなくなるのでおすすめ。
ながーい下りを終えて次は土湯峠へ。位置づけ的には磐梯吾妻スカイラインの起点に向かう峠です。ここはひたすら5%前後の緩斜面が続く感じ。道も広くてかなり上りやすかったです。
ところどころ色づき始めており、シーズンに来たら紅葉綺麗だろうなーという感じ。曇り空と霧雨の中でも雰囲気の良さを感じ取れました。
主要な峠と主要な峠の間にこうした思いがけない走りやすい道に出会えるのもまたSR600の良いところなのかもしれない。(逆もまた然り。笑)
土湯峠の標高になると完全に霧で視界不良になっていました。こうなるとかなり寒さを感じる。
ここから福島市に向けてまた長いダウンヒルをこなします。ここは前月輪のメンバーで行ったふくいちでも通った下りで、道の脇に草が長く飛び出していたり、路面には深めのギャップがあったりと降りにくい印象が強かったので注意しながら降りました。
ただ標高が下がれば気温は上がるもの。霧が晴れてくれて暖かくなったので、ウェット路面に注意していれば問題ないコンディションになりました。
降りきったセブンイレブンで小休止。靴に浸水しかかっていたので持参していたVELOTOSEを装着しようとしたものの、口がくっついて開かなくなってしまっていました。”もうここまで濡れたら変わらないか”と断念。笑
平地を少し走ったらすぐに、浄土平へ向かう磐梯吾妻スカイラインがスタートします。このアプローチ区間からすでにまた雨が降り始めたので、頂上の景色は全く期待できないなと諦めがつきました。
ここを登るのは3回目で、過去2回はかなり良い景色を見られたので、今回はまぁいいかと。笑
序盤の7km程度は斜度がきついのは知っていたので、脚を使いすぎないように腹筋に意識を集中させてのんびり上りました。
大きな端から絶景が見下ろせるはずのつばくろ谷もご覧の通り。
ただ登れば登るほど次第に雲が薄くなっていったため、”頂上ではワンチャン雲が抜けるのでは?”と期待が少しだけ湧きました。それだけを信じて登るもののととにかく霧、霧、霧。
雨が本格的に降ってなくてよかったとポジティブに。
浄土平(のはず)のところもご覧の景色。
(同じところ。。)
PCの写真だけとってさっさと下ろうと話していたのですが、最後のつづらを超えるとなんと少し太陽が!
そしてPCで一瞬だけ晴れました。
この写真撮ってすぐにまた霧が立ち込めたので、本当に奇跡としか言いようがない。笑
この一瞬の存在だけでこれまでのバッドコンディションも(そしてこの先も)報われたような気がします。
(レストハウスではふくいちの最中のグループの方にお声がけいただきました。ありがとうございます。)
レストハウスでご飯を済ませて、ここからはまたロングダウンヒルの始まり。さっき通った土湯峠に合流しつつ降ります。上の地図でいうと真ん中の丸い分の合流で、八の字を描く感じですね。
ここは雨も本降りで、とても怖かった。路面の小石を拾わないように慎重に、でも速度は落としすぎずに。首の筋膜調整とピラティスを行ってからバランス感覚が良くなったのか、ダウンヒルがとても安定感がある。
ここからは秋元湖レークラインという、湖の脇のアップダウンをひたすら進んでから、
磐梯山を登るゴールドラインへ。
峠のペースは各自で。上りは各々のペースで登って頂上で合流する方が変な疲れが溜まらずに済む気がする。
輪のライドのときは下った道を登ります。あの時は晴れ渡っていてすごく暑かったのに全然違う場所みたいでした。
ただ坂としては一定斜度でリズムを刻みやすく上りやすい峠でしたね。ここは感覚的にSSTくらいで淡々とこなしました。
頂上も土砂ぶりだったのであずま屋で雨宿り。
次のPCが降り途中にあるとのことだったのと、本降りプラス濃霧だったので、いつも以上に慎重に。ここで転んでは元も子もないです。
無事降りきってここから猪苗代湖沿いの平坦をしばし進みます。車はやや多め。風もやや向かい風だったので32km/h程度で淡々と前を引きました。
向かい風でも呼吸が乱れずに33km/h前後を維持できるようになったのは成長を感じます。
日没に差し掛かったのと、まだ宿まで距離もあったので一旦コンビニで補給し、さらに湖畔を進みます。進行方向の変化により風向きが好転、36km/h前後に巡航速度がアップました。グロスタイムをここで稼ぎます。
湖畔を一旦それていよいよ真夜中の林道ヒルクライムに。
明かりが一切ないので頼れるのは自転車のライトのみ。バッテリー切れたら一巻の終わりなのでヒヤヒヤしながら進みました。
すぐ終わるだろうと思っていた林道が一向に終わらず、だいぶメンタルにくる。
とはいえ、普通のライドではこうしたタイムスケジュールは絶対に組まないので、怖いものの楽しさの方が大きかったです。
下ってまた湖畔に出て、あとは青看板の通り進めば会津若松かなーと思いきや、まさかの看板が示す会津若松とは逆方向へ曲がる指示が…。一瞬Garminの表示を疑いました。
向かう先は明らかに山な上に、少しずつ雨も降ってきました。
”これがSR600か”と。福島のコースは大きな峠がそんなに多くないので嫌な予感はしていたのですが、このタイミングでの林道は予想外。
(ただ後からログを見ると最短コースでしたw)
降ると思いきやまた登り返すのを繰り返していると雨が本降りになってきました。
夜の峠のダウンヒルってだけで嫌なのに雨とは、、かなりメンタルにきました。集中して、タイヤが路面を噛む感触を確かめながらコーナーをこなしていきます。
とにかく早く町の灯りが見えて欲しいと願いながら、テクニカルな下りをこなして、会津若松の明かりが見えた時は思わず泣きそうになりました。
PCで写真を撮ってから宿にチェックインしたのが21:00くらい。
残念ながらコインランドリーは営業していなかったので、なんとか手洗いでウェアを洗い、乾いたタオルに包んで乾燥させることに。こうした予期せぬ事態に知恵を振り絞って対応する力が身につくのもまたブルベの良いところかもしれない。
晩御飯ですか?ええ、コンビニ飯です。笑
でも次の日の朝ごはんは決まっていたのです。朝ごはんにワクワクしながらも、一向に好転しない天気予報に一抹の不安を抱えながら、床につくとすぐに眠ってしまいました。
さぁ、このブルベで最も標高差があってしかも超悪天候ながらもなんとか無事に1日目を終えることができました。
楽しいのはここから。Day2〜3編をお楽しみに(^^)
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?