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目的のない就職活動

大学卒業・・・。

それは次なる悩みの始まりでもありました。

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充実した大学生活を過ごした私も、ついに「就職活動」問題に直面する時が来ました。
 当時(2010年度)はアメリカで起きたリーマンショックの影響もあり、「第2次就職氷河期」とも呼ばれた時代。現在とは異なり、まだ就職活動の開始時期にも制限はなく、早い人たちは2年生の終わりから3年生の始めには動き出していました。その後、学生が就職活動を理由にゼミ等の授業に出席しないことが社会問題となり、企業の採用活動の開始時期が制限。2018年卒業生の場合、概ねエントリー開始が前年の3月、選考の開始は6月からだそうです(マイナビHP)。
 もう1つ、私が気になっていたのは障害者の「法定雇用率」です。法定雇用率とは「身体障害者及び知的障害者について、一般労働者と同じ水準において常用労働者となり得る機会を与えることとし、常用労働者の数に対する割合(障害者雇用率)を設定し、事業主等に 障害者雇用率達成義務を課すことにより、それを保障するもの」(厚生労働省)です。つまり、正規従業員の雇用人数によって何人の障害者を雇わなければならないという決まりが設けられているです。
 現在、民間企業で見るその割合は2.2%ですが、当時は1.8%で56人に1人という割合でした。同制度は5年ごとに見直しが行われることになっているのですが、政府は今年5月、「2020年度末までに段階的に2.3%に引き上げることを決定しています(日本経済新聞オンライン:2017年 5月30日付)。なお、私のような重度障害者は1人を2人雇用としてカウントする他、雇用率未達成の企業に対しては「障害者雇用納付金」を徴収し、それを用いて達成企業の更なる雇用や設備改善を後押しする仕組みになっています。

 さて、意識の高い友人たちが早々に動き出す中、私も「Webサーナ」という就職サイトを利用し、活動を始めました。同サイトは障害者専用求人のみを扱っており、独自に就職セミナーも行っています。2年生の終わり頃に登録し、セミナーにも参戦し始めましたが、働くイメージが持てずに苦戦していました。
 こうしたセミナーは、とにかく大手企業が集まっているということが特徴です。目的のブースに並び、順番が回ってきた途端に人事担当者との一次面接となってしまうケースも多く、アルバイト経験もなく、まだ働くイメージを持つことができてなかった私は、とりあえず面接を受け、その数だけ「お祈りメール」を受け取り続けるという悪循環に陥ったのです。
 目的のない就職活動はいつまで続くのだろう。そんな不安が頭をもたげる毎日でした。

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 今でこそ、敷かれたセオリーという名のレールから外れまくり、人一倍の使命感を持って歩むことができていますが、当時は「健常者に追いつく」ことが僕の中でのステータスになっていました。

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長野 僚
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