ゴールを運び終えた後の、一瞬の静けさ
さっき近くの中学校を通るとサッカー部の子たちがグラウンドでゴールを7、8人くらいで運んで移動させていました。暑い中しんどそうです。
「なつかしい。。」
そういえば、わたしも小学校のころからサッカークラブで重たいゴールをよく運んだものでした。
あれって、けっこう大変なんです。サッカーのゴールってほんと重いので、もし足や手を挟んだら大けがをしてしまいますからね。
だからまずは斜めに傾けてから数人がゴールバーとゴールポストを支えて、それから大勢で持ち上げるます。持ち上げた後も、
「ちょっと、こっち重い、来て!鈴木こっちに来いよ」
だとか、下ろすときは
「ちょちょちょ、待って!あぶない、いったん持ち上げよう!」
だとか子どもとは思えぬ必死の形相で、大きな怒声が響くことがあります。
そしてようやく
「せいので下ろそう!せーの」
とかやって無事、ゴールを下ろすのですが、わたしが好きなのは、無事下ろしたあとに訪れる一瞬の静けさです。
「・・・・・・・・・」
とくに人数も少ないなかでやり遂げたゴール運びほど、一瞬の静けさが訪れるんですよ。これは奇妙な連帯と名づけてもいいかもしれません。
「ああ、よかった」とかことばにするわけでもないし、まあ一息ついた感じでしょうか。
ゴールを下ろしてすぐにはしゃぐ人っていません。みんなでなにかをやり遂げた感と安心感、いろんなものが混ざり合ってみんなを一瞬にして全員を無言にさせます。
ただその背後には「べつにこんなことで喜んじゃいけないけどさ、おれたちみんなでがんばったな。。」といった不思議な空気感と連帯感が流れています。
こないだも同じことがありました
家にクイーンサイズのベッドを業者さんに入れてもらったのですが、重いマットレスをベテランのおじさんとバイトの男の子のたった2人で運んでもらったので大変苦労していました。
行ったり来たり。でもようやく、狭い寝室にベッドが置かれた瞬間にその姿がありました。
「・・・・・・・・・」
2人はお互いの顔を見て「ふーー」と息を吐いて、ほっとしたような表情だったのです。とても静かな瞬間でした。
わたしはその表情をさらに逃すまいとじっと見ていたのですが、やはり達成感と安心感が入り混じっています。でも喜んではいけない。。。と顔を引き締めた、とてもとても複雑な表情を2人ともしていたのが印象的です。
でもそこには「おれたちがんばったな」という暗黙のコミュニケーションとともに奇妙な連帯が発生していたことは間違いありません。
重たい物を運んで下ろし終えたときのあの静かな連帯感。人が静かに心を通じあわせる瞬間って、あの瞬間にあるのかもしれませんね。
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