日記・そういえばロッキンでリストバンドをしなかった
ロッキンの入場口を通ってしばらくしてから「そういえばリストバンドもらってない」と気づいた。
会場の誰もリストバンドをしていなくて、ライブをしているアーティストの何人かが緑色のリストバンドをしているのを見た。
顔認証で入場しているので、再入場の時にも恐らく同じ仕組みで入場するんだと思う。便利になったなぁ、と思いながら少し寂しかった。あのリストバンドが意外と好きだった。
以前は1日券と通し券を買っている人でリストバンドの色が違った。たとえば8月6日の入場の時に、1日券の人は青いリストバンド、2日通し券の人は7日の入場者と同じ色の赤いリストバンドをつけていた。
1日券の時はその通し券の人のリストバンドの色を見て羨ましく思っていたし、通し券の時は2日間ずっとロッキンのリストバンドをつけていたので、寝ても覚めてもロッキンにいるような2日間だった。
5日間全日参加となると、前2日間と後の3日間でリストバンドが2本、それぞれ1日目に渡されるので、最大3日間リストバントをつけることになる。
通しのリストバンドをつけているのが嬉しかったし、これを家で外すまでがロッキンだった。ハサミでリストバンドを切るその瞬間、その年のロッキンが終わる。
今年のロッキンはどこで終わったんだろう。まだ後3日間が残っているけれどチケットを取っていないので、僕のロッキンは8月6日で終わったはずだった。
出口のゲートをくぐった時だろうか。それとも蘇我駅で電車に乗った時か。家に着いた時に終わったんだろうか。
お風呂に入って眠ると翌朝になっていた。昨日いた場所で今日もロッキンやってるんだよな、と8月7日の朝に思った。
ハサミを入れたリストバンドを見て、僕は本当にロッキンに行ったんだと現実に帰ってきて思っていたあの頃を思い出した。そしていま、ロッキンに行った証拠が手元にひとつも残っていないことに気づいた。
またひとつモノが消えたんだと思った。それは便利さでもあるし寂しさでもある。
リストバンドを巻かなかった腕を見て、ゆっくりとロッキンの余韻が抜けていくのを感じた。