日記・12/4、15:30武道館前より
12月4日土曜日、現在時刻15時30分、日本武道館前。
およそ2年の間、この日のために生きていたような気がする。あの手この手で守ってきた自分の命、ようやく生き残った意味を見出した感じがした。
いまだに見えるこの光景が現実のものなのかはっきりしない。武道館の中からはリハーサル中の音が聴こえる。まもなく、という気配を感じる。
武道館の入り口にはたくさんの花飾りが搬入された。その花飾りの送り主の名前を見ていくとYOASOBIはとても大きな存在なのだと改めて思わされる。
会場ではグッズの受け取りを終えた人たちが早速グッズを身にまとっている。プルオーバーやフーディー、そして「NICE TO MEET YOU」と印字されたタオル。
もうすっかり忘れていたライブ会場の感覚を思い出してくる。ここに集まったみんながYOASOBIの音楽を聴きに来た仲間なんだ。
まだまだいつかの日常には戻れない中で、もう見慣れた人々のマスク姿やアルコール消毒をしていると自分はまだ過去と未来の狭間にいるんだと思わされる。
今日、晴れてよかった。あまり冷え込まなくてよかった。元気で今日を迎えられてよかった。
小さなひとつひとつのよかったことが重なって今日を迎えられた。初めて緊急事態宣言が発出されたあの日からワープして今日になったわけじゃない。
開場までまだ時間がある。僕ももう少ししたらグッズを受け取りに行ってそれを身にまとって今日のライブの一部になる。
まだ時間があるのに刻々と過ぎていく時間が怖い。ライブは始まったら終わってしまう。でもこれも「ライブらしさ」だ。
開場までの時間を待っている時間。これだっていままでは手に入れられなかった時間だ。いままでたくさんの時間を失ってきたような気がする。
でもね失ったばかりじゃないよ、と思う。いま会場で流れているYOASOBIの音楽だって今日までの月日があったから僕たちの前に現れ耳に届いている。
残念ながら会場に来られなかったみなさん、ごめんなさい、でも生きていればきっとまた機会が巡ってくる。
ロッキンが中止になったあの日からも辛抱強く生きていたから今日がやってきた。もう少しだけ生きてみようと思った先にある今日だ。
僕は僕から見えるものしか言葉にできないけれど、ライブ会場から少しでもお伝えできればいいなと思って言葉にしてみました。
ではライブグッズを受け取りに行ってきます。