日記・12/4、17:00武道館入場
12月4日、日も暮れた17時過ぎ、武道館1階席の入場が始まった。2階席はそれよりも少し早く入場が始まっていたようだ。
武道館の中に入ると一気にライブの現実味が増してきた。いやあるいはライブという夢か幻か、別世界に入り込んでしまった気分だ。
天井から吊るされた8つのスピーカーはまるで儀式のための巨大な呪具のようだ。武道館の円形のステージにはスピーカーを吊るす配置になるのだろう。
スピーカーから目線を下に落としていくと既に楽器が並んでいる。ドラムセットやギター、キーボード、ベース、そしてAyaseのポジションであろう場所にはサンプラーなどの卓がセッティングされている。
ステージはアーティストの登場をいまかいまかと待つように佇んでいる。目を見張れば様々な機材がステージ一面に並んでいる。これからどんなパフォーマンスが見られるのか。
客席には少しずつ人々が揃い始めている。多くの人が「NICE TO MEET YOU」と書かれた黄色いタオルを肩にかけている。
着実にライブ開演までの時間が近づいている。今日までの日々があっという間だったと思えるくらい開演が待ち遠しい。
ライブ会場で過ごしていると実にたくさんのスタッフによって今日のライブが支えられているのだと改めて実感する。
物販、誘導、設営、目に見える部分だけでも想像するにかなりの数のスタッフによって支えられているのだろうから、見えない部分を含めたらもっとたくさんの人々によって今日のライブが作り上げられたのだと思う。
ライブとは、支え合って成り立つものなのだとふと思う。ライブを見に行く観客とライブを作り上げるスタッフの人々の両方がいなければ成り立たないのだ。
観客だった僕自身、この2年間で行きたくても行けなかったライブがたくさんあった。中止になったライブには観客もスタッフも存在できなかった。
こうやって一つのステージに観客とスタッフが一堂に会すのを僕は久しぶりに見た。そこにステージがあること、客席があること、スタッフに仕事があることが尊いと思った。
改めてステージを見る。会場の照明が落ちてライブが始まる瞬間を想像する。
Ayaseが、ikuraが、AssHが、やまもとひかるが、ミソハギザクロが、仄雲が、いままで画面でしか見られなかった存在がそこにいる。
僕はもうYOASOBIはバンドメンバーも含めてYOASOBIだと思っている。YOASOBIのメンバーは6人だと思っているのだ。
YOASOBIの6人は今夜、いったいどんなステージを見せてくれるのだろう。
今宵は新月の夜。月の光が届かないこの世界で一番輝く場所はきっとここだ。