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啓蟄迄


二十四節気を目安に置いて、立秋より始まった連載「すべてのひとに庭がひつよう」ですが、冬至に公開となった第9回までを第一章とし、第二章からは別のリズムを取ることになりました。

今しばらくの冬籠りの後、生命の湧き立つ啓蟄——3月6日に再開し、以後は三週間置きに更新予定です。

何卒よろしくお願い致します。


以下は余談として——

啓蟄の蟄(ちつ)とは何かと申しますと、虫たちが土中で冬籠りをすることだそうで、それが春三月に地上に這い出ていのちを啓(ひら)くことを啓蟄(けいちつ)というのだそうですが、私にとっての冬籠りとは、庭の連載の締切や、日ごろ何心なく使っているこのSNSなど、現在を追い現在に追われる表層的な時間からは距離を置いて、もっと深い所に流れている悠久の時間に身を浸してみることを指します。

具体的には古典を読んだり落語を観たりすることで、古典においては手はじめに漱石の『こころ』でも読んでみようと手にとって見たのですが、これが実に面白く、最後の頁をめくり終えたその手でまた最初の頁をめくりはじめて仕舞い、今でも『こころ』が手放せないで居ます。次回の啓蟄の候にはきっと、庭師が読む『こころ』といった風のエッセイ——こころみをお目にかけるかと存じます。

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