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最近の記事

Review: 松江泰治「マキエタCC」 at 東京都写真美術館

 暗い室内に、大判の写真がスポットライトを受けて四角く浮かび上がっている。そのなかの一枚、たとえば恵比寿から赤坂見附のあたりまでが映った、昼間とみられる鳥瞰写真にしばらく観とれていると、画面のところどころに、建物や道路を横切る黒くまっすぐな切断線があることに気づく。その瞬間、実在の風景だと思いこんでいたそれが、じつは精巧に作られた模型だったと判明する。はたして、わたしは一体なんの写真を観ていたのだろうか?  松江は広大な風景を、完全な順光でよけいな影を隠し、むらなくピントが

    • 晴れ舞台をめぐって──《HOMEVIDEO》のごあいさつ

      この文章は、この秋に公開した自主公演「SUANA feat. 前久保諒対絶食三平」企画の《HOMEVIDEO》パンフレット用に書かれたものです。《HOMEVIDEO》映像コンテンツを購入すると、下記のごあいさつを含め、メンバーからのコメントや歌詞の入ったパンフレットを読むことができます。デルタ株とオリンピックで文字通り熱にやられていた2021年夏を振り返る、貴重なドキュメントにもなっています。作品映像とあわせてご覧ください。  ハレとケ。ハレ舞台があるなら、ケの舞台というの

      • イベント開催と健康と制作についてホールで考えたこと

        2月27日(木)にFOVEの演奏会をやりました。前日にイベント自粛要請の号令が出てどうなることかと思い悩んだけれど、いまは結果的に演奏会を催行してよかったという感触をほんのりと持っています。ということでそのほんのり具合を書き残しておこうという感じでこの記事を書き出してます。 1. 開催まで国内でコロナウイルスの感染が拡大するなか、2月24日(月)に「この1-2週間がヤマ」と厚労省が見解を発表。それを受けて26日(水)の午後に突然、「多数の方が集まるような全国的なスポーツ、文

        • 『食べたくなる本』を読むべき

          突然ですが三浦哲哉さんの『食べたくなる本』は最高なので今すぐ皆さん読んでください。 集中的に批評に取り組んでいた頃、とにかく聴覚と文章の食べ合わせの悪さを繰り返し痛感した。この文章が読まれたとしても聴く態度が変わることはほとんどないのではないか……と思わされることが多かった。客観性が担保しにくい領域だから。というか、視覚以外を相手取ってなにかを書く、ということはほんとうに難しい。特に味覚が一番難しいのではと思う。味覚ほど選り好みが幅を利かせる領域もないだろうから。 だから

        Review: 松江泰治「マキエタCC」 at 東京都写真美術館

          自動生成についてのメモランダム──2016.10.22 小宮知久「泳ぎつづけなければならない」@TWS本郷

          < I > コンピューターによる音楽制作は、2つの軸からなる4項に大別することができる──リアルタイム/非リアルタイムと、音響合成/作曲支援、という対。統合開発環境「Max/MSP」はリアルタイムの音響合成に該当し、そのほか各種DAWは非リアルタイムの音響合成、「OpenMusic」など作曲支援ソフトは、非リアルタイムの作曲支援、といった具合になる。ここに、唯一空白地帯だったリアルタイムの作曲支援の区分を補うものとして、近年Maxの拡張ライブラリ「Bach」が登場した。これは

          自動生成についてのメモランダム──2016.10.22 小宮知久「泳ぎつづけなければならない」@TWS本郷