100日後に年越すオレ 75日目「う:うちなーぐち」
”いろは順”エッセイの二十四日目、本日は”う”です。
"う”で選んだ題材は、「うちなーぐち」。”沖縄方言”のことですね。
僕は18歳までは沖縄で生まれ育ったわけですが、沖縄と言っても住んでいたのは那覇市首里。首里は城下町であり、沖縄の中では最も都会である場所の一つ。言ってしまえば”シティボーイ”なわけです。いや、ほんとに。
それがどういうところに現れるかというと「言葉遣い」なんですね。幼稚園、小学校と首里に通っていたので、周りも首里人(しゅりんちゅ)。言葉遣いって幼い頃の環境で決まるわけですから、大人も含めて周りがあまり”うちなーぐち”を使わないので、僕もあまり使わない子供でした。
そんなこんなで、あまり”うちなーぐち”を使わない生活を送っていたわけですが、僕の祖父母宅の隣に住んでいた大叔父が民俗学者で、八重山地方の方言の研究をずっとされていたんですね。そしてその大叔父に可愛がられていた僕は、10年以上の歳月をかけて完成した「八重山方言辞典」をプレゼントされ、それにより方言への興味を強めることになったんです。
”うちなーやまとぐち”というものがあります。これは”うちなーぐち”と”やまとくとぅば(標準語)”が混ざったもの、つまり若者たちが使う新しい沖縄方言のことを指します。これが今や沖縄ではスタンダードになりつつあるんですよね。年配の方々のうちなーぐちは理解できる人が減ってきたということですね。で、僕らはというとある意味「学問上の言葉」になってきてしまっているんです。生の言葉ではなく学問上の言葉・・・。残念ながら、現状はそうなってしまっているということですね。
じゃあどうすればいいのか。正直これは”うちなーやまとぐち”として生き残るしかないと思います。特徴的な単語を中心に使っていくことでしょう。ただそれが行き着く先って、ルー大柴のルー語みたいになるんじゃないかと思うんですよね。「トゥギャザーしようぜ!」的な感じで、「超”にり~”って感じじゃない?」的な。 ※”にり~”=面倒
そしてそのうちファッション化して、沖縄のヤング達の間ではオシャレなうちなーぐちが流行るのかもしれません。でもそうやってでも次世代に受け継ぐ、それも価値なのかなあと。そんなことを時折開いて眺めている「八重山方言辞典」を読みながら思ったのでした。