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私がCHROになるにはまだまだ足りない(と思う)こと=CHROに大切なこと?

全体像から個別を議論する?

「城倉さんは個別議論のクオリティがめっちゃ高いと思う反面、全体像がみえづらく、施策バラバラと動く印象があるので、常に全体像から個別を議論する建て付けを意識いただけると助かります」

これは、私がCOOから2週間くらい前にもらったフィードバックです(原文ママ掲載)。
このフィードバック、かなり人事の本質を突いていると思っていて、人事のキャリアを積んでいる人(積んでいこうと考えている人)にとって、大事な示唆が含まれているなあと思っています。

「全体像から個別を議論する」ということはどういうことか?

このNoteではそこを起点に、CHROを目指してキャリアを積んでいくためには?ということにつなげていきたいと思っています。

このNoteのきっかけ

このNoteのきっかけは、LINEのHR青田さんにお声かけいただき、青田さん主催のHRアドベントカレンダーに参加させていただくことになったことです。今年のお題は「〇△に大切な▢✖」ということで、他の執筆者にそうそうたる皆様でいらっしゃるなかで、正直「私が何を書いたらこのアドベントカレンダーで価値を出せるのか?」と悩みました。
結論、自分が「考え方が変わったな」と思える「しくじり」からの「学び」のエピソードを書くのが、N=1のリアリティもあって、人事のキャリアを歩む(歩みたい)人にとっては価値があるのではと考えて、そんなことを徒然なるままに書くことにしました。
※私の人事キャリアの外観はこんな感じで、こちらのNoteもご覧ください

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①「二度とこんな仕事の仕方はしないで下さい」

私は、新卒で入社したANAで採用と人材開発、次のコンサル時代に制度企画、リクルートやエムスリーでは制度企画や労務、さらにラクスルではほぼ人事の全領域に関わらせてもらい、人事は一通り経験してきたつもりです。また、大企業からスタートアップ、事業会社からコンサル、シンクタンクまで、かなり幅広く経験させてもらった稀有なキャリアだなと思っています。
そんな自分が忘れられることができない痛烈な言葉が3つあり、まずはそのうちの1つに関わるしくじりエピソードをご紹介します。
(残り2つはまたどこかの機会で)

「二度とこんな仕事の仕方はしないで下さい」

これはエムスリー時代に退職が決まり、引継ぎ相手の先輩から言われた言葉です。当時は、引き継ぎながら、滞りないよう人事業務を「やって」いました。決して雑な仕事ではなかったと思っていますが、それは「やり切る」というレベルのものでは全くありませんでした。例えば、あと1通スカウトを送る、あと1本エージェントに電話をする、あと一言同僚に質問を投げかける、というようなできるはずの「あと一歩」をやらずに過ごしていました。無意識のうちに、滞りなく残りの日々を「やり過ごそう」としてしていたと思います。そのことがその人には見透かされてしまっていたわけです。
正直、見透かされたことにとてもショックを受けました。見る人が見れば、わかるんだな、と。
それ以来、常に心掛けていることは、どんな状態であっても、あの人にああいう風に言われるような仕事をしない=やり切ることを意識する、ということです。
こういった「やり過ごす」ことは人事の仕事においては、とても起こりやすいことなんじゃないかなと思います。なぜならば、人事の仕事はすぐに成果が可視化されないものも多く、やり切らなくとも、すぐに大きな影響が出ないからです。ただ、それが、1年後、2年後、大きな影響が出てきてしまいます。あと1センチ、1ミリ、そのアクションをとるかどうか。
そんなことを私に教えてくれたこの一言を、今でもたまに反芻します。
人事に携わっている人はぜひ、自分に問うてみていただければ幸いです。

「あなたは仕事を『やって』ますか?それとも『やり切って』ますか?」

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②やるべきことは「人事の仕事をすること」ではない

次のしくじりエピソードは、直近のラクスルでのことです。昨年ラクスルにコーポレートの人事の責任者として入社した私でしたが、正直、入社して1年間は「ほぼノーバリュー」だったと思っています。
もちろん、いろんな新しい取り組みはしました。ミドルマネジメントの強化としてマネジメント研修を始めてみたり、カルチャーを定義しようとカルチャー策定のプロジェクトをファシリテートしたり。HRとして「やるべきだよね」と思われているようなテーマに取り組みましたが、それによってラクスルの成長を加速させることはできなかったと思っています。

それはなぜか?

私は「人事」の領域で、「人事」がやるべき(と思われていること)をやっていたからだと思っています。

え?
人事の仕事でしょ?それがダメなの?

はい、ダメなんだと思います。
それを確信したのが、2月以降のコロナ禍での経験です。
この春のコロナ禍でラクスルは事業として大きな影響を受けることが想定されました。そのため、かなり早期から企業体質の「筋肉質化」を目指し、様々な取り組みを行いました。そのなかで、ラクスルは人事(HRBP)が事業の販管費のコントロールを担いました。

え?
販管費のコントロール?人事が?

はい、そうです。各事業のHRBPが旗振り役で販管費の見直しに取り組みました。結果として、企業体質が強化され、企業の成長に寄与するとともに、副次的な効果もたくさんありました。人事メンバーが数値に強くなり、もちろん事業の解像度も上がり、結果として、より強いHRになることができたと思っています。私が「人事の仕事をしよう」とした時には事業の成長には全くつながらなかったのですが、人事のチームが「企業価値を高めるためにどうするべきか」という課題にむきあったことで、人事としての価値発揮、企業成長につながったのだと思っています。
このエピソードからの学びとして、人事の仕事は特に「人事としての手段」にこだわってしまう傾向があると思います。
例えば、1on1を導入しよう、制度を改定してインセンティブを設計しよう、採用広報を見直そう、など。
どれも大事な取り組みですが、それはどのような企業価値につながるのか。その視点がないまま取り組んでも、決して価値にはつながらない、そんなことを学んだ機会でした。
人事の仕事に向き合う際に、一度この問いを自身に投げかけてみてはどうでしょうか?

「その課題に対して、どうすれば、企業価値が向上できますか?」

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③人事責任者=CHROではない

さて、最後のエピソードとして、最初と同じようにCOOのフィードバックを引用します。

整理はしてるけど、1年後にこの全体を通して、会社としてなにを目指してるのかがわかりにくい (原文ママ掲載)

これも、あるタイミングの経営会議で人事の取り組みを説明した際のフィードバックです。率直で厳しいフィードバックです(笑)
こうしたフィードバックを受け「自分に何が足りないのか」と日々考えるなかでたどり着いたのが、私はまだ「経営者としての課題設定ができていない」ということです。
ここで私の定義する「課題設定」とは、

自分が取り組んでいる業務で「何が根本的な課題なのか」を捉えること

というだけでは足りなくて、

「何が根本的な課題なのか」を捉えたうえで、企業価値を向上させるためには何をどう変えるべきかという「明確な意思を持つ」こと

だということです。これまでの私は、現状をキレイに整理しているが、それは課題を「特定」しているだけで「課題設定」ではなかったのだと考えています。

そして、私の考えるCHROはまさにそれが経営目線でできる人であり、いわゆる「人事責任者」「CHRO」はあきらかに違う存在と思います。
私は、CHROは「経営者」であると考えています。
ちなみに、ラクスルでは経営者に求める要素を下にまとめている8マスで議論しています。「事業」「財務」「組織」「技術(テクノロジー)」の4領域で、「連続」「非連続」の2つの軸で高い次元で課題設定ができる人。それが経営者だと考えているのですが、CHROはまさにこの8マスでの課題設定が経営の視点でできる人だと思っています。

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つまり「CHROは経営者の1人であるべきで、CEOがやりたいことを人事機能のトップとして実現する人ではない」と思っています。人・組織領域の第一人者として、8マスにおける「今、この会社が取り組むべき課題は何か」を捉え、そこに明確な意思を持って、会社を動かしていける存在であるべき、と思います。

残念ながら、今の私にはまだその力は不足しています。視点の起点がまだ人事からの目線になっていて、経営目線からにはなりきれていません。
私の考える人事キャリアは、次の3ステップだと思っているのですが、このSTEP2からSTEP3への切り替えに差し掛かっているところと思います。

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以上を踏まえ、冒頭のCOOからのフィードバックにつながる「全体像から個別を議論するとは?」という問いへの答えをまとめると、全体像=経営視点から、個別=人事を議論できるようになること、です。

改めて、大切なことは

CEOがやりたいことを人事機能のトップとして実現できるようすること

ではなく、

経営者としての目線感で全体像をとらえ、それを人・組織の観点から課題設定ができるようになること

これがCHROになるために大切なことなのではないか、と思っています。
なので、私の最近の自分への問いかけは次のようなものです。
「経営者としての課題設定ができていますか?」

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最後にまとめると

ツラツラと書いてきましたが、改めてポイントをまとめると3点です。

「あなたは仕事を『やって』ますか?それとも『やり切って』ますか?」
「その課題に対して、どうすれば、企業価値が向上できますか?」
「経営者としての課題設定ができていますか?」

この3点が、私の15年以上の人事キャリアで今見えている、人事としてキャリアを深め、CHROになっていくために大切な視点であると思います。
偉そうに書いてきましたが、これまでの自分の失敗エピソードとともに書かせていただいたことで、少しでもリアリティのあるものとして感じていただき、これから人事のキャリアを深めていこうとしている皆さんに、少しでも参考になれば、幸いです。
最後に、このような考える機会をいただいた青田さんに感謝をお伝えしたいと思います、貴重な機会をいただき、ありがとうございました!

また、このような発信をTwitterでもたまに発信していますので、もしよければ、たまに見ていただければ幸いです。
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