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ヴィヴィアン佐藤さんとロマ金考察、そして上映継続!

新上映館決定!

お疲れ様です。テアトル梅田の公開まで限界に挑みながら日々一筆を自分に課していたこのnote。一旦無事テアトル梅田も上映が終了したということで、久々に好きな映画を観たり次の上映に向けて充電しておりました。
次回は京阪神での公開が決定しました!出町座、元町映画館、シネ・ヌーヴォです!
京都!出町座は昨年末の先行上映の際、満席でお帰りになったお客様がいらっしゃったことから、念願の再上映となります!
そして神戸!チャップリンが来日した神戸港。そのシンボルであるポートタワーの勇姿を臨む元町商店街。その中に佇む元町映画館。土地に密着した文化発信の場所であるこの劇場で、上映出来るのが今から楽しみでなりません。
さらには大阪! ロマ金の原点でもある小栗康平監督が支えた歴史あるシネ・ヌーヴォ! 劇団・維新派座長だった松本雄吉さんが施工した、歴史あるアートシアターでロマ金が上映されます!
この3館に共通するのは、「映画」への愛と、映画館として「地域」にどう根付いていくかを探求している場所だということ。そこに集うお客様が「ロマ金」を観てどういう感想を持つのか……乞うご期待!
ということで引き続きよろしくお願いいたします!
10.25(金)〜10.31(木) 京都 出町座
11.16(土)〜11.22(金) 神戸 
元町映画館
11.30(土)〜12.6(金) 大阪 
シネ・ヌーヴォ

振り返り考察

テアトル新宿も梅田も体験としては凄まじくて本当に数えきれない人のお客様と出会いましたし、トークゲストでお越しいただいた方々も刺激に溢れておりました。そこでトークゲストの方からいただいた言葉は絶対に見逃すことはできない!そんな時、緑茶を影から支えてくれている友人の「ロマ金の考察マップが欲しい。」という意見を参考に、このnoteで素晴らしい考察をしてくださっているヴィヴィアン佐藤さんのご意見をまとめたく思いました。
様々なところでお見かけする美術家・ドラァグクィーンのヴィヴィアン佐藤さんはたくさんの顔があります。他にも美術家、建築家、映画批評、新宿歴史家、江戸ソバリエなどなど。とても活動も面白く、お話すると多くの気づきを与えてくださるお方!共通の知人も多く今回、トークゲストとしてお呼びすることが叶いました。そんなヴィヴィアンさんの考察ツィートはこちら!

こちらの文章、ワクワクしませんか??ツィートごとにまとめて行きましょう!

写真1エンデの遺言を読む緑茶のシーン

ヴィヴィアンさんのお言葉1

"ものの価値、資本主義、貨幣、地域通貨、エイジングマネー、共同体、信頼、誇り。。 AMラジオから流れてくる人工自然に適応する昆虫の世界の話。周波数がピタリと合わない事で不可視の電波の存在に気付かされる。。 世界は様々な不可視で芳醇な世界で満たされている。"
こちらをヒントに掘り下げて行きます!

写真1はエイジングマネーの存在に気が付く緑茶。本作を撮るきっかけともなったミヒャエル・エンデが晩年に語っていた言葉をまとめた『エンデの遺言』です。

エンデの遺言とは


暴走する「お金」の正体『モモ』の作者が遺した、お金の常識を破る思想。リーマンショックを予言した奇跡の書。『モモ』『はてしない物語』などで知られるファンタジー作家ミヒャエル・エンデが日本人への遺言として残した一本のテープ。これをもとに制作されたドキュメンタリー番組(1999年放送/NHK)から生まれたベストセラー書籍がついに文庫化。忘れられた思想家シルビオ・ゲゼルによる「老化するお金」「時とともに減価するお金」など、現代のお金の常識を破る考え方や、欧米に広がる地域通貨の試みの数々をレポートする。
人間がつくったお金は、変えることができるはず
どうすれば「お金の支配」から自由になれるのか
「老化するお金」「時とともに減価するお金」とは
「地域通貨」を生み出す「共生の思想」
ベストセラー『モモ』には、お金への問題意識が込められていた


こちらの本、しっかりと『お金』に対し的を得た内容となっています。もちろん読んでいただいても理解できますが、私たちはこれをどうやって映画にするかを悩みに悩んでいたわけです。頭では仕組みを理解してもどのように自分達が実行に移せばいいのかがあまりにも「?」でして、これは自分達で体験していく様子を映画にしていく他ないのではと思った次第であります。

写真2 鉱石ラジオが謎の昆虫博士の語りへつながるシーン

次は写真2 こちらは映画の中で旅人からもらった石を龍蔵が鉱石ラジオへと変化させるシーンです。どうしてこれがラジオになるの?という麻悠の疑問はスルーされて聴いたことのないラジオが聴こえてきます。
こちら、ずっと昆虫の話をしていますが、実は人間と自然との深い関係について語っているのですね。観ているお客様は一回では確認できないほどの情報量でございます。こちらに関しては過去に記事にしたことがあります。よろしければこちらもセットでお読みください。

ラジオの語りも実は本物の昆虫博士なんですよね。この言葉と照らし合わせるとロマ金の考察ももっと深まりますよ!!世界は様々な不可視で芳醇な世界で満たされているとはまさにこのこと。実はロマ金は一見繋がらなさそうにみえる数々のピースによって構成されており、実はぜーんぶ繋がっているんですねぇ。
こちらの原稿はロマ金パンフレットにて特別に2ページ、原稿を載せさせていただいてますよん!こちらも要チェック!

ヴィヴィアンさんのお言葉2

"また、木彫りの鴨のデコイが登場。本来、野生の鴨を騙すための囮りとして存在。劇中、物の価値や贋金、不安定な金融商品のメタファーとして機能している点も興味深い。"

デコイとは

簡単にいうと「おとり」であり、数々の分野でデコイ(decoy)という言葉は使われています。狩猟、兵器、スポーツ、.釣り、政治、マーケティング、コンピュータ・サイバーセキュリティ…
映画や文学でも、デコイの概念は「表面的なもの」「本物」の対立を描く際に重要な役割を果たすことがあります。例えば映画「セブン」(1995年)では、犯人ジョン・ドゥの見事な計画の一部として重要な役割を果たしています。この映画では、7つの大罪を果たした連続殺人事件を追跡2人の刑事、サマセット(モーガン・フリーマン)と新人ミルズ(ブラッド・ピット)が物語の中心ですが、彼らを欺くためにジョン・ドゥは様々なデコイ(ミスリード)を利用しています。
サスペンスやスリラー、ホラーには欠かせない要素ですよね。
この映画、子供の頃に見たために軽いトラウマになっておりますが、今なら冷静に分析しながら観れる気がします。何度も観てしまうくらい映画としてすごいものがあるので改めてまた鑑賞したい。
デコイが登場するのはこちらの家の中でのシーン↓

お互いの金銭感覚のズレで喧嘩する二人
こちらがそのデコイ、そして謎の大量の消耗品…

さて、この会話のシーン。何気なく金銭感覚のズレを言い争っているシーンですが、このシーンに出てくる物たちの反映をどう捉えていただけるのかはお客様の自由です。

ヴィヴィアンさんのお言葉3

"また人間の「遊び」についても言及。ホイジンガやカイヨワのホモ・ルーデンスなのだが、人間の根源的な「遊ぶ人」の在り方の実例紹介と考察。いかに楽しく生きているか、幸福を実践しているか。。"

こちらの「遊ぶ人」という意味でピッタリなのが廃材エコヴィレッジゆるゆるでの地域通貨ゆーるのデザイナーでもあるみなみりょうへいくん。彼は一体何をしているのか。それは映画に少ないヒントが反映されているので、この粘土が一体何になるのかは注意深く観ていただければ見つけることができます!まさに彼は「遊ぶ人」!

粘土で遊ぶ人:みなみりょうへいくん
あそびに参加している麻悠

この登場シーンのチャプタータイトルも「あそび」としていますが、その中では開墾についても楽しく描いています。このチャプターで重要な役割を果たしている龍蔵と麻悠の近所に住む友人であるカズくんというキャラクターが出てきます。彼は耕作放棄地を仲間と共に開墾し畑に変えていくことをスポーツのように楽しんでいます。そんな中で私たちと一緒に仲間に払える地域通貨を作ってみようかという話に展開して行きます。カズくんの活動についてはぜひパンフレットもご覧ください!カズくんは私たちに「生きていく力」を実際に教えてくれます。この映画の撮影を機にとても仲良くなり、私たちも土に触れる機会が多くなりました。

藁について頓珍漢なことを思っていた麻悠
みんなで地球で生きることを語るカズくん

ヴィヴィアンさんのお言葉4

"終始、八咫烏のような不可視の存在が劇中の制作物語を誘導する。雅楽の様な楽曲も手伝い、その存在は能の三番叟に見えてくる。夫婦とは別の三番目の翁の様な先祖。最後の婚姻の儀式を司式。経済共同体の儀式性/呪術性を暗示。供犠、蕩尽、ポトラッチなどの「呪われた部分」を続編で探究して欲しい。"
かなり鋭い視点!!言葉を見るだけでもワクワクしてきます。あー語りたい!でもこれは最終的に壮大なネタバレとなってしまいますので、ここは我慢。続編!これは次回作ということでもいいでしょうか(笑)
不可視の存在というのは『自然の何か』と言っていますがあまり語りすぎないように、「知らない間に映画に映り込んでしまっていた何か」と答えるようにしています。そしてなぜかパンフレットでのプロダクションノートでは私が時々『得体の知れない何か』と語ったりもしています。『得体の知れない』という言い方になったのにもちゃんと理由があります。そう、あれですよ。映画を観た人にはわかるあの理由が。謎解きみたいになりますがこの言い方をしてる理由をちょこっとだけ考えてみてほしいのです。
そう、こやつです。

自然の何か
何か得体の知れないものを直視してしまい、気絶する二人

こやつは一体何なのか?それは私も答えることができますが、不思議なことに長く連れそえば連れ添うほど、見解も変わってくるのです。これは佐伯監督も同じです。もちろん共通認識はありますが、自分は誰かの感覚を知ることはできないように、人によって見え方や捉え方が変わるのです。
どうしても知りたくて寝れない人はこっそり私に直接聞いてみてください。
でも映画を2回観るとわかるかも知れませんよ。(笑)
ロマンチック金銭感覚の特徴でもありますが、「答え」というより「選択肢」を提示しています。なぜならあなたの人生はあなたのものであり、人間の歴史的にも重要な役割を担ってきた「お金」に対する見解もあなたのものなのです。「答え」は誰かのものではなく、あなただけのものなのです。
ですが映画はヒントだと思ってください。もうロマンチック金銭感覚を観てくれた方々。
すでにこの映画の解釈はあなた自身を映し出す鏡にもなっているはずです。まぁどんな映画でも映画や芸術ってそういうものだと思うんですよね。一緒にじっくりと考えて行きたいんです。

さて、ここらへんで本日のふんわり考察は区切りとしましょう。
改めてヴィヴィアンさんの博識ぶりとお話の面白さを思い出しています。もっともっとお話したい方です。
最後にヴィヴィアンさんのロマ金に対する応援コメントを。

ロマ金応援コメント

ではでは引き続き、ロマ金の応援もよろしくお願いします!

りょくまゆ

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