第17回田辺・弁慶映画祭(後編)
前編に引き続いて後編です。
いよいよ次は観客賞の発表です。
「99%、いつも曇り」の瑚海みどり監督が呼ばれました。
実は一番最初の【特別設置】わいず倶楽部賞でも名前が呼ばれていて、そのスピーチも面白く、観客賞の時は2回目のスピーチでしたが、素晴らしいスピーチ。ご自身が俳優もされていることもあり、16年間俳優を辞めていたこと、4年前に頭蓋骨骨折されたこと、俳優の渡辺えりさんに気合いを入れられたことなどのエピソードがあり、本当にお客様に認めてもらえた喜びを実感され、涙されていました。
次は俳優賞の発表です。
「99%、いつも曇り」の瑚海みどり監督が呼ばれました。
発表時、特別審査員の犬童一心監督から「今のエピソード、この賞の時に話して欲しかったな。」と。
今回は2名に賞が贈られるとのことで、瑚海みどりさんと二階堂智さんのお二人の名前が。
俳優としてのエピソードを話された瑚海さんは、ものすごい頭の回転の速さで、別の素晴らしいエピソードを。
次に二階堂さんがスピーチされた時、なんと彼も涙しているではありませんか・・・・!!!!!
二階堂さんは私が映画で何度もお見かけしている俳優さんで、大先輩!!
その姿を見てまた私も泣いてしまいました。
犬童一心監督は「僕は今まで数えきれないほどのオーディションをしてきたけど見つけられなくてすみませんでした。」と、そしてもちろん今までのキャリアも含め、積み重なった今が何より最高なんだというようなことをおっしゃっていました。
劇場がなんだかなんとも言えない感動の渦に巻き込まれた後、
いよいよグランプリの発表です。
「99%、いつも曇り」の瑚海みどり監督が呼ばれました。
ここは瑚海さんの第一声を丸々テンプレートいたします。
「怖くなってきました・・・。」
私の記憶の中では第一声がその言葉だったと思います。
会場が笑いに包まれました。そう、彼女のスピーチ力は本当に魂消ました。聞いている人全員を引き込む力、面白さに持っていく力がずば抜けていて、散々真面目な話をした後に「体力をつけるためにこれからもヨガを頑張ります。」という一言が、チャーミングすぎて、後ろから聞いていて吹き出してしまいました。笑
スピーチ内容もこんなに4回も話すことを変えて笑いと涙に持っていける方はそういないと思います。どの賞も納得でした。前日にグランプリは絶対「99%、いつも曇り」だと感じていました。それほど力強い映画だったんです。私は主人公の感情に寄り添う映画が大好きなのですが、心情、感情、複雑な心理など人間を見せてくれるお芝居で面白いと思った映画はノア・バームバック監督「マリッジ・ストーリー」グザヴィエ・ドラン監督「わたしはロランス」「Mommy/マミー」サム・レビンソン監督「マルコム&マリー」最近映画館で鑑賞してこれもガツンと心を打ったルーカス・ドン監督の「CLOSE/クロース」など挙げればキリが無いのですが、どの映画も登場人物に勝手に感情移入する映画です。そのような細やかな描写に手を抜くことなく描かれていて、数々の名作のうちの一つになること間違いないと思いました。
その後は慌ただしくクロージングパーティです。
犬童一心監督からありがたいスピーチをいただきました。
前半は「99%、いつも曇り」について後半はなんと「ロマンチック金銭感覚」について語ってくださっています!
「この映画の面白いところはね、ジャンルが無いっていうことなんですよ。ジャンルがないということは売りにくいということなんです。映画の経済圏に入ってこようとしない。でもそこがいい。だからみんなで応援してあげてください。」
泣きそうになりました。
実は、映画祭の2日目に審査員の方々と面談する機会を設けていただいていました。犬童さんは本当にチャーミングな方で、私たちが席に座ったら
「では青色のピンクの方々ですね。」と一言。映画「青色のピンク」のチームはついさっきまで面談が行われていたチームです。あまりにも自然に入ってくるボケに自分自身がそうだったんじゃないかと受け入れることしかできませんでした。笑
そこで意外な一言がいただけたのです。「すごく面白かったですよ。」と
私たちは思わず「えええ!!??」と声が出てしまいました。
犬童さんの作品はいくつも観ていて、「ジョゼと虎と魚たち」は当時映画館に行き、かなり長い間、マイブームとなっておりました。今でもふと観直したくなる名作です。
数々の映画を監督されている憧れの監督に言われることのこの衝撃!!!
どうお伝えしたらいいでしょうか。前編の田辺弁慶映画祭入選の喜びは地球から別の惑星へと飛ぶ勢いでしたね。
今回はそれも超えます。もう、銀河鉄道を発見するような、どこかの惑星に住んでいるであろうハッピーな宇宙人たち全員と友達になれたような・・・・。もっと身近にいうと映画「バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)」のようにそこらじゅうを飛び回る感覚・・・。身近じゃないか・・・・。
本当に嬉しかったのです。
今回の開会式で犬童さんはこうおっしゃっていました。
「初めて撮った映画が高校生の時、でも当時、観てくれる人が誰もいなかったんですよ。そこでぴあフィルムフェスティバルに送ったら入選して大島渚監督、大林宣彦監督などが自分の作品を観て感想を言ってくれるんですよ。だから僕も当時の先輩たちのようになれるように頑張ります。」
めちゃめちゃなっていらっしゃいます!!!!!
こうやって嬉しかったことを後世に繋いでいくんですね。最高です!
バタバタの中、記念撮影を撮りました。
犬童さんが持っていらっしゃるのは私が描いたイラストのロマ金運ステッカーです。ロマ金運ステッカーは金運だけでなくロマンチックな金運なので、あったかいお金や価値のあるものが集まってくるようなイメージです。誰かに渡したりプレゼントしたりすると広がっていってちょびっとだけいいことがあるかもしれません(笑)
これを持っていると他の方々から「あ!ゆいまーるだ!(※劇中に出てくる地域通貨の名前)」や「これを持っていったら映画館でお金なく観れると聞いたんですけど。」というようなジョークもあり、お!早速ロマンチック金銭感覚で覚えてくれたアイテムやワードを使っていただいている!と嬉しい気持ちになりました。
この映画のことはこのノートでも少しずつ紹介していくつもりですが、今回の映画祭は私の人生に光をたくさん与えてくださいました。
そして犬童さんからのメッセージは私たちの心、魂にとんでもない栄養を与えてくださいました。まずは諦めるな、ひたむきに進んでいいよということだと思い、これからも頑張っていこうと思います。
改めて映画祭に選出していただいた審査員の方、実行委員の方、関係者の方、この映画に協力してくださったスタッフ、出演者たち、みなさま、本当にありがとうございました!!!
味光路また遊びに行く!
緑茶麻悠
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