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要領が悪いのかも

最近、毎日4時間ほど残業し働いていた。「何故ここまで残業続きになるのだろう」と思いつつ、体力がないうえに疲労がボディーブローの如く重なり、疲れ果てていた。今の問題点を見つけて改善したほうがよいと思いつつ、夜に仕事を終えるとそのまま疲れ果てて考えることもせず、眠りにつく毎日だった。

そんな毎日を愚痴っていたところ、要領が悪いからじゃない? と言われた。オブラートなしで一言だけポンっと飛んできて、胸の真ん中に刺さってしまった。図星は胸の真ん中を星に見立てた言葉なのかな、とか関係ないことをうっすら考えてしまうくらいに。


就職してすぐの頃「頑張りが空回りするタイプだよね」と先輩に言われたことを思い出す。過去に「トロい」と言われ、何をどうしたらいいか分からず困っていた中学生の頃のことも。勉強は効率などを気にせず個人のペースでやれば良いので、人と一緒にいてトロいと言われたり「何でこいついるの?」という態度を取られるよりは気楽だった。

勉強面で培った「自分のペースで効率等を気にせずにやっていく」という考えは、大学受験時に第一志望群に軒並み玉砕したり、大学生の間に友達を作るためにできる努力というものがさっぱり分からず図書館に引き篭ったり、飲食店のアルバイトで「ボーッとしてないで動いてよ!」と言われたり、仕事では成果を出すために無駄な作業等を挟んでもいっさい気づかないことをもたらした。

ここまで社会生活に風当たりが強くても改善せずに生きていたため、自分の中でプライドがあったのかもしれない。

今の自分のままでもっと輝けるはず。
要領が悪い自分も個性だからこのままでいいはず。
ありのままの自分を受け入れてくれる場所があるはず。

そう信じたくて仕方なかった。


自分を否定してまで生きたくないと思い、自分と似たような要領の悪さを持っているがゆえに困っている人がいるコミュニティを見つければいいかもと思いついた。なんとかそういう場所を見つけ「ありのままの自分でいていいんだ」と思えて、いくばくか精神が安定した。

要領が悪いことから逃げ出したかった。
自分と向き合うことによる苦痛は耐えられなかったから、今の自分を受けいれ肯定してくれる人たちと一緒にいたかった。
精神が壊れてしまうより、今の自分を頑固に貫いていたかった。

でも、仕事をしていくと逃げていた自分の資質が顔を出してきた。

「仕事頑張ってるんだからいいじゃん」とごまかしごまかし仕事をしていたけど、労働時間がそもそも多すぎて身が持たない状態になり、さすがに向き合わざるを得ない状態となってしまった。もっと身体が元気なうちに向き合えばここまでしんどくなかっただろうに、自分がギリギリまで追い詰められないと向き合わなかっただろうから、今がそのタイミングなのだろう。

要領よく仕事をするには、作業の全体像を理解してポイントを抑えつつ作業を進める必要がある。何が必須で何の手が抜けるのか、も考える必要がある(それもじっくりコトコトと考えるのではなく、ささっとラフスケッチするように考える)。それをするには、現場の仕事で何をすべきかという全体像の把握が必要となる。すなわち、現状と向き合うことが必要となる。そして、常に考える必要もある・・・。

要領が悪い自分から逃避する資質が、要領の悪さそのものを誘発していた、という構図と気づいて少しおかしな気持ちになってしまった。自分が向き合いたくない泥のような自分が、逃げても逃げてもやってくる。ゾンビゲームのよう。「逃げてから、逃げた内容が一切ネックとならない世界を探す」という戦略をとりたかったけど、自分が望む生き方だとこの作戦はうまくいかなかった。

だから「要領が悪い」というゾンビのようにしぶとくて見たくない自分自身と向き合い、現状おきている「要領の悪さ」を解体して「要領よく働いていくために何が出来るか」っていうのを懇々と整理しようと思う。つらいんだけど、ここを乗り越えないとふたたび別の場所でゾンビと対峙することになり、その頃は今より年齢を重ねてタフさがなくなって呑み込まれちゃう可能性があるから「えいや!」の気持ちで頑張る。

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