
「心価」の概念に基づく経済現象の見方と価格理論
和の知恵の実践を支える「心価」の概念に基づく経済現象の見方と価格理論
心価への着目
心価は価値の原形
心価とは「心に感ずる喜びの量」
心価経済学の観点からは「心価=真価」
「心価=真価」の原則は物々交換の昔から経済活動を貫いている
価格の設定は原価でなく、心価を根拠に行われるのが本来の姿
技術的にいかにつかみにくくとも「心価」への対処が経済行為の成否をわける
心価の不安定性
商品に対する心価の評価は、些細な事で大きく揺れ動く
顧客の個性や好みにより、心価はまちまちである
時と場合により、必要度が異なり、心価は大きく変わる
提供の場の雰囲気や接し方如何でも、心価は大きく左右される
始末が悪いように見える半面
心価からみた品質管理が成功すれば、高い付加価値と利益確保につながる
心価に無頓着に近い商法が多い状況が多い
多少の努力・配慮でも効果は大きい
行為選択論への応用
心価の基本法則
人が行動を選ぶほとんどの場面に関係する
説得の問題の大部分は心価がプラスになることの保証問題に帰する
これを離れて、技術的な話し方や持って行き方が全てと思う人は説得に失敗する人
この理解はセールスに携わるような人には特に重要
心価と利益
顧客は、心価程しか払わず、逆に心価程には払う傾向を持っている
自由に箱にいれる方法の拝観料を、切符制にしたところ、売上はかわらず、切符の印刷費や取り扱いの人件費が余分にかかっただけマイナスになった
いかにモノが良く、モトがかかっていても、顧客が満足しなければ、高くは売れない
逆に、原価が低く、売価が相対的に高くとも、充分満足されるなら、顧客を裏切ることにはならない
たとえモトがタダでも、役に立ち喜ばれれば、相応のものが支払われうる
心価を高める工夫させすれば、納得して高く買われ、利益の出る商売ができる
利益を上げる基本
「原価に対して心価を高く」
単純に原価を低くではない
心価の向上に寄与する原価は、惜しまずかける。そうでないと、魅力のない、売れないものしか出来ない
一方、資金をかけても、心価の向上につながらないなら、性能・品質が数値上でいかに画期的な進歩を遂げても、それは製作者・技術者の自己満足だけになる
「心価=真価」の原則のもと
客にとって価格相応の有用性・満足・喜び(すなわち価値)の裏付けがあれば、それは正当な取引
一方、モノ中心の「原価=真価」観念のもとの場合
モノ自体を変えずに高く売る工夫をすることは客をだますような行為に見える
<品質本位>の品物が見かけが少々悪い為に売れない
「世の中(客)が間違っている」と感じられる
例
500円で買われた「アイルランド麻のハンカチーフ」
それだけの役割と満足をもたらす
同じものが300円で「手拭き」として買われれば
300円程度の有用感・値打ち感しか与えない
その人・その場・その状況ならではの値打ち
すなわち心価心価の高め方がこれからは重要
「世間の相場」、原価に対する知価ともちがう
出典:「和の実学」著者:大和信春 出版:博進堂 はる研究院