
調和は「和力」と、それを効果的に発揮せしめる「和略」で進められる
和力の主要素
①徳力
貯欣先の数と質・貯欣の量
最も直接的な実力
②恵力
徳を増強する役割を持つ能力である
③交際力
恵力を発揮の機会と結びつける役割を持つ能力である
④連帯力
互恵先の存在の充実度
全方位互恵は最も望ましい形である
和略のあり方
①理念の打ち出し
和道的性格を備えた、全体の究極的な目的・理念の確立と公開的明示は必須
策定される方略が全ての部分で和略的性格をもつため
理念の確立の効果
1.高い価値に向かう自発性を励起する志向高揚効果
2.諸判断を的確・円滑ならしめる指針安定効果
3.内外の支援力を効果的に集める意識統合効果
理念確立は大きな力を産み出す
情勢づくりの一端として働く
②状況の把握
調和機会のきめこまやかな把握は和略展開に必須
注意事項:日本人は特に状況にほっかむりをしたような状態で事を運ぼうとしがち
③情勢づくりの視点
調和行動は客観情勢を背景に行われる
情勢:攻撃し合うよりも支持し合う方が互いに価値が高い
その情勢の顕在化・作り出し・強化の方策の探求は和略一般の領域に属する
④与欣資源の充実と貯欣
個人の財力や才能による与欣は限界がある
人脈、組織力を背景として持つ場合にはそれらが大きな与欣資源として機能する
いわゆる強制権も与欣資源として活用できる点に注意
人を動かす力としての信望(徳)はいわゆる尊敬をかち得る資質というより
和合工学的な意味での貯欣総量の増大として捉えること
そして充実を計る事が重要
⑤問題解決力(策力)
和略策定の手引きは問題解決の一般論をもって大部分とみなせる
問題解決過程
問題解決に付随する能力で、和略展開において役割が大きいもの
口頭あるいは文章における対話・説明の能力
⑥和略と交渉
交渉・説得の類
応じた方が心価が高い状況でなければ力を持たない
和道的交渉もこの公式を徹底して踏まえて行われる
互恵機会の提示を内容とし、「双方にとって良い話」の形をとる
事前の互恵機会の分析と補強、魅力化がポイント
多くは理念の筋を通り自然の流れに乗るので、強引さは小細工は不要な場合が多い
⑦和略と脅し
和道的な脅し
こちらの希望する行動を選んだ場合、必ずプラスの心価があるようにする
基本的に相手が逆らおうとしないかぎり脅し不要の「双方にとって良い話」の形での交渉が望ましい
タイプ①「もともと相手のプラスの話」
優柔不断や自覚不足で煮え切らないとき
不選択に大きなマイナスが伴うという情報を与え、踏ん切りをつけさせる
タイプ②「普通ならば確かに相手にとってマイナスとなる部分がある」
何らかの手配でマイナスを軽減・解消しつつ
十分な埋め合わせの与欣を計画する
不選択に大きなマイナスが伴うという情報を与えて、協力を促す
一般的な脅し
一般的にはマイナス心価を持つ行動を選ばせるために
さらに大きなマイナスの心価を不選択と結合させる
出典:「和の実学」著者:大和信春 出版:博進堂 はる研究院