
「覇道」から「和道」への転換
覇道とは
目的: 勝利・支配・征服を追求する思想や行動様式。
「競争に勝ち残ること」を正当化する価値観。
他者を制圧・排除することを前提とする。
特徴:
根底的要素:
互奪環境観(奪い合いが前提の環境)。
自己中心主義。
倫理不信。
帰結:
対立と破壊的競争を助長し、持続的な平和を実現できない。
社会的、経済的、心理的コストの増大。
和道とは
目的: 永続的かつ安定的な平和秩序の確立。
全成員が互恵関係を拡大し、調和を広げる行動原則。
異質共存(多様性の尊重と共生)を基盤とする。
特徴:
価値観の転換:
「競争に勝つ」から「共に栄える」へ。
他者を排除せず、役立ち合う関係を築く。
行動原則:
互恵共栄。
異質共存。
覇道から和道への転換の必要性
課題の認識:
現代社会は、覇道的競争脅迫観念に支配されている。
地球という「有限空間」では、覇道的な対立が持続可能性を脅かしている。
短期的な利益や支配を目指す覇道文化が、環境問題や社会的不安を悪化させている。
和道の有効性:
異質なものが有限空間で共存を迫られる状況では、和道の有効性が高まる。
和道は「戦わずして勝つ」戦略を実現し、経済的にも効率的な方法を提供する。
覇道から和道への転換プロセス
認識の変革:
「競争原理は絶対ではない」という事実を認識する。
覇道が支配する「常識」への疑念を抱く。
行動の変容:
個人レベル:
自己中心的な行動ではなく、互恵的な行動を実践する。
調和体験を積むことで、善と快の相関を強化。
社会レベル:
経済や教育の場で、和道的価値観を基盤にした仕組みを作る。
文化的回帰:
日本の「和」の文化を再評価し、社会全体で共有する。
和の文化を再体現し、国際社会に広める。
実践的手法:
**和略(和的戦略)**の実行:
対立を回避し、協力を促進する手法。
例: Win-Winの関係を目指した交渉や政策。
和力(和を作る力)の向上:
個人や組織が他者を助け、喜ばせる能力を養う。
経済、教育、国際関係などでの応用。
覇道から和道への転換の具体例
徳川家康の和的秩序構築:
戦国時代の覇道的対立を和的な枠組みで解消。
相争うことが双方にとって不利益となる状況を構築。
現代の日本の使命:
日本は「和」を再体得し、普及する使命がある。
和道を社会的規模で再現し、国際社会でのリーダー役を果たす。
課題と注意点
覇道的観念の根深さ:
覇道的価値観は「自然の理」と誤解されやすい。
そのため、脱却には個人や社会の深い認識変革が必要。
実践上の困難:
和道の実践には時間と努力が必要。
浅薄な平和主義(単なる理想論)と混同されないよう注意。
和道の普及と啓蒙:
和道を単なる思想としてではなく、現実に適用可能な実学として広める。
出典:「和の実学」著者:大和信春 出版:博進堂 はる研究院