雪景に想う、結婚ってやつ。
初めて冬の飛騨を訪れた2011年のお正月。その時もわりと雪が積もっていて、私は張り切って長靴を買いに出かけた。
それから3ヶ月後に飛騨高山美術館で挙式と披露宴をした時のこと。
<新郎の父からのご挨拶>の場面で「涼子さんはすぐに長靴を買いに行ってくれて、その様子を見て『ああこの人なら飛騨にお嫁さんに来ても大丈夫だろうな』と思いました」といった主旨のことをお義父さんに言われて、思い切り赤面したのを覚えている。
その年以来、長靴が必要になるほどの雪を(私たちが帰省している年末年始には)見ることがなかったのだけど。
今年は大晦日の時点である程度あった雪。今朝起きたらそこに真新しい雪がさらに積もって、本当に一面の銀世界になっていた。
結婚して8年目。すっかり飛騨に馴染んだ気でいたけれど、雪景色をみるとここは異文化圏なのだと思わずにいられない。そしてそれが、ちょっと嬉しい。うちはわりと<価値観似た者夫婦>だと思うけど、こんな土地で育った夫と、校区内にひとつも田んぼがないような市街地で育った私とでは、様々な習慣や嗜好が「違っていて当たり前」なのだと再認識する。私にとって結婚生活は、異文化交流そのものだ。
同じ日本人だし、歳もひとつしか違わないけど「(私がこう思うのだから)相手もこう思うだろう」「(私と同じように)これが好きなはず」という予想は、実にあっさり外れることがある。大切な相手だからこそ、実際どうなの?を本人に事実確認するまで、勝手な確信を抱かないようにする。<予想に頼らず、聴いて事実を確認する>ことの重要性は、まさにマーケティングと同じだ。
一緒にいる年月が長くなると、なんでもわかっている気になって、ついその意識が薄らいでしまうことがある。それは決して悪いことばかりではないけれど、時々こうして「異文化圏」であることを肌で感じられるのは、ありがたいことだなと思う。
朝ごはんを食べ終わるなり、お義父さんに頼んで久しぶりに長靴を出してもらった。それを履いて家の周りをうろつきながらニヤニヤ写真を撮っている私は「不審な上田家の嫁」に見えたに違いない。
それもまた異文化交流なのだと、思ってもらえていることを願うばかりだ。
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