タクシーアプリ「GO」がプロダクト磨き込みのためにやってること
これは 株式会社Mobility Technologiesデータインテリジェンス部ブログの記事です。
本企画は弊社社員の個々の活動による記事であり、会社の公式見解とは異なる場合があります。
自己紹介
Mobility Technologiesでタクシーアプリ「GO」のユーザーリサーチを担当している井立良子です。
私の所属するデータインテリジェンス部はデータアナリスト、データアーキテクト、リサーチャーで構成されています。
その中で私は市場調査やユーザー調査などのリサーチ領域を担当しており、具体的には「アンケート調査をする」「ユーザーさんから直接お話を聴く」など、わりとアナログな手法を用いています。
2022年5月現在、リサーチャーを絶賛募集中なのですが、この記事にて普段どのような手法で調査をしているのかをご紹介しながら、少しでも興味を持ってくださる方が増えると良いなと思っています。
また、インハウスのリサーチャーの事例をご紹介することで、リサーチャー仲間が増えると良いなと思っています。
哲学の異なる2つの手法を組合せる
私の役割は、リサーチを通じてユーザーのインサイトを発掘する事と、サービスに関わる多くの人たちが「共通のユーザー像」を思い描けるようにすること。それによってタクシーアプリ「GO」をさらに良いプロダクトにしたいと考えています。
そのために、定量調査・定性調査という、それぞれ哲学の異なる2つ手法を組合せてユーザー理解に向き合っています。
具体的に何をやっているのか?
日常的に行っている調査は以下の流れで進める事が多いです。
アプリ内のユーザーアンケートでヘルスチェックを行い、プロダクトやサービスが抱える課題を抽出
課題に対し具体的な事例収集するためにユーザーインタビューを実施
アンケート調査で抑えておくと良いポイント
推奨度(いわゆるNPS®として集計)
加えて、そのような評価になったのかの理由を自由回答で書いてもらってます。それを読み込むだけでも十分ヒントが得られます!
推奨度と実際の利用ログを突合させて分析すると、推奨度が高い人と低い人で利用傾向に差があったりします。推奨度が高い人はアプリの利用頻度も高い、みたいなデータを示せると喜ばれます。
項目別の満足度と重視度
ユーザーの利用体験を時系列に整理し、それに対応する機能を項目化
時系列で満足度曲線を作成すると、より直感的にユーザーさんの感情が理解できます(詳しくは後述)
普段の行動
タクシー配車アプリユーザーの調査なので、普段のタクシーの利用頻度とタクシー利用目的を聴取します。(クロス集計に用いることが主目的)
サイコグラフィック
今後の利用意向や、検討中の機能や企画があればそれについて聴くこともあります
デモグラ
性年齢、居住地、職業など。(年収や家族構成などは必要に応じて)
結構ベーシックな内容ですが、これだけでも全体的な課題は十分把握できます!
満足度を時系列で整理
プロダクトやユーザーが抱える課題を把握するため、まずはアンケート結果を元に満足度・重要度を評価します。
ユーザー体験を時系列に沿って整理すると、全体感を直感的に捉えやすくなります。
イメージしやすくするため、あくまでも一例として、重要度・満足度を時系列に整理した図を用意しました。(繰り返しますが、データはイメージです!)
横軸が時間軸、縦軸が満足度を表現しています。
満足度の曲線に加え、重要度(ユーザーの重視度や、推奨度との相関係数など)を併せて表示すると、対策が必要なポイントが見えてきます。
上図の赤い網掛け部分のような「重要度が高く、満足度のギャップも大きい箇所」は対策が必要と判断できるので、この部分について定性調査で具体例を収集したり、満足度が低下する要因を理解したりします。
その他、いわゆるアクションドライバーチャートによる分類を行い、課題の優先順位を設定したりすることもあります。
アプリ内アンケートは一石二鳥
このようなヘルスチェックのユーザーアンケートは3ヶ月に1回の頻度で実施しています。アンケート内でインタビューへの協力有無も回答して頂いているので、インタビュー候補者のリストが自動的に作成されるというメリットがあります!
ユーザーインタビューの実施
特定の課題を掘り下げるタイプの仮説検証型リサーチでも、特に仮説や課題を設けない探索型のリサーチでも、「どんな人」に「何」を訊くかをきちんと計画することは重要です。ここがしっかり準備出来ていると調査効率が上がると実感しています。
そしてその際に、アンケートの回答内容が再び活躍します。
<例>
アクションドライバーチャートでいう「重点項目」に整理された項目を深堀りする場合、この項目に低評価をつけた人に対して集中的にヒアリングをかけることで、効率的により良い示唆を得ることができます。
ユーザーインタビューの副産物
このような日常的なリサーチ活動を行いながら、新しくJoinしたメンバーのインタビュー参加を積極的に受け入れています。
サービスの提供価値やユーザー理解を深める事が、新メンバーのオンボーディングをサポートするのでは?と期待しているからです。
また、1回のインタビューには複数名同席しており、実査の後に情報整理や意見交換しています。業務で日常的な関わりが無い人とも面識がもてるので、インターナルコミュニケーションの一助になっていると感じます。
ちなみに直近1年間では、職種を問わない約40人のメンバーがユーザーインタビューに参加してくれました。
大切なのは続けること
何より大切にしているのは、細く長くでも良いので継続すること。継続なくして「ユーザーの声を大切にする」文化は作れません。
手段(リサーチ)と目的(ユーザー理解)を逆転させてはいけませんが、リサーチ業務やデータへの信頼度を上げるためには、安定的に調査を続ける事はが重要だ思っています。
最後に
タクシーアプリ「GO」は、アンケート+インタビューというベーシックな手法を駆使しながら、日々プロダクトの磨き込みをしています。
タクシーアプリ「GO」のリサーチャーに大切なのは、ミッションである「移動で人を幸せに。」を追求するための探究心。
そのようなモチベーションを持つ方と一緒にお仕事が出来ると良いなと思っています。