【エッセイ】お母さん、あの女は誰ですか?
コーンフレークという食べ物を知ったのは5歳のときだった。
うちに住んでいた女子大生が朝ごはんにいつも食べていた。Tシャツにショートパンツ姿で、眠そうにしながらコーンフレークが入った皿に牛乳を注ぐ。
初めて見る食べ物を思わずジッと凝視していた。
お菓子? ごはん? どっちなんだろう。
私の視線に気づいたその人が「食べる?」と皿を寄せてきた。興味をひかれて手を伸ばそうとしたところで「やめておきなさい」という母の声が響き、慌てて引っ込める。滅多に怒らない母の、珍しく尖った声。
きっ