5.こころ
今日は5冊目ですね。
夏目漱石の、こころ。
こころって本当にコロコロ変わるものだと思います。
朝あんなに明るかった人が夜には落ち込んでいたり、さっきまで怒っていたと思ったら急にやさしくなったり。
私は人のこころほど単純で、でも複雑なものを見たことがありません。
もし私が今、登場人物である先生と同じ過去を持つとしても、さすがに最後あんな選択はしないと思いました。
でも、これが今ではなく当時、明治を生きている人間だったら、もしかしたら、もしかしたら、同じ選択をしたかもしれません。
人は追い込まれた状況にいると普段と違う思考回路が働いて、衝動的な行動をしてしまうそうです。
たとえば深夜、手紙でもLINEでもいいのですが、文章を書いてすごくいい出来だ、これは相手に響くはずと思って送信して寝るとします。
しかしそれを翌朝冷静に読み返すと「な、なんて恥ずかしい内容を送ってしまったんだ、穴があったら入りたい。あぁそして返事がこない。」そんなことってありませんか。
私はありました...。
少しニュアンスの違うことかもしれませんが、通常なら考えられない行動をしてしまう衝動のもとは、爬虫類残滓にあるとも言われているそうですよ。
でも最終的には人のこころが決める.…と思いたいです。
強い衝動は、ポジティブなものもあれば負の感情もありますよね。
ネガティブなものをひたすら自分へ向けるとひどく気分が落ち込みますし、それが続けばウツになったり、逆に外へ外へと向ければ自分より弱い立場の人を虐げることもあります。
私を含めて、人は天使にも鬼にもなれると思っています。
それをにぎっているのはこころなのではないかと、改めて考えさせられる一冊でした。
ちなみに個人的には、先生の奥さんは先生の過去をすべて知っていたかもしれない、と感じました。
知っていても言わないことってありますから。
さて、明日はどんな本と出会えるでしょうか。