遠藤涼子

青い小窓

遠藤涼子

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最近の記事

14.新史太閤記・下巻

今日は下巻です。 秀吉の人生、とくに晩年の秀吉の性格が怖く描かれていること、天下を取ったあとは孤独だったり、それと家族の問題も。 「この人も1人の人間なんだなあ」と、会ったこともない天下人に対して妙な親近感が湧いた下巻です。 本能寺の変も、 秀吉の乗り越えていく過程がドラマチックに展開されていました。それでもやっぱり、目の前の状況を自分が有利に持っていく秀吉の企てが光っていたように思います。 信長は師でもあり恐怖の対象でもあったけど、やっぱり慕う気持ちが強く感じられて、

    • 14.新史太閤記・上巻

      14冊目は司馬遼太郎の太閤記。 以前読みかけだったので途中から読み直し。 知っている人も多いと思いますが、この作品は豊臣秀吉の幼少期から最期までを描いた長編です。 ちなみに自分から読もうと思ったわけではなく、知人からのおすすめでチャレンジした歴史小説です。 その知人いわく、出世するなら秀吉みたいな人たらしになるのがいいとのこと。 人たらしと聞くと、わざと人を騙すような感じであまりいいイメージではありませんでしたが、最近では人を引き付ける、愛される人というニュアンスに変わっ

      • 13.マリヴロンと少女

        つづいてマリヴロンと少女。 宮沢賢治の作品です。 長いお話が続いてたので短編を選びました。 これまた昨日に引き続き、GPTに突っ込まれてしまいそうな書き方になりそうですが、宮沢賢治が書く言葉自体に引力のようなものを感じました。 この言葉の次に、この言葉がやってくるのかと、すごく新鮮な気持ちになって、今まで読んだものをすべて忘れるような気持ちで、1個1個かみしめるように目を動かした感覚です。   小学校の教科書に載っていたのが宮沢賢治の作品。たしか銀河鉄道の夜だったでしょ

        • 12.砂の女

          こんばんは、12冊目は砂の女です。 タイトルを見た時に、怖そうな女性が出てきそうだと思いましたが想像以上に背筋がゾワゾワする作品でした。 蟻地獄ってよく言うけど、砂も意外と重いから一度足がはまったら抜け出せなさそう。ちびまる子ちゃん並みに顔に縦線を入れながら最後まで読みました。 読み終わった後、ふと「ゆでガエル現象」を思い出しました。 ゆでガエル現象というのは、カエルを水の中に入れて、下からゆっくり温めると、気づかないうちにそのまま茹で上がってしまうことです。 茹で上

          11.金閣寺

          11冊目は金閣寺です。 金閣寺と聞くと、修学旅行の時に見てそれきりで、それがまさか、あんな展開になるとは思いもしませんでした。 美しいものを崇めるだけではなく、破壊したい衝動に駆られる。 私がもし主人公の心理を理解することができたら、金閣寺をどうにかする前に、自己破壊が起きてしまうかもしれません。 人の心理を理解しようとしたら限りないエネルギーが必要ですし、どこかで折り合いをつけないと、自分がすり減っていくことにも気づかないほどクタクタになってしまいます。 読んでいる

          10.おさん

          10冊目は、おさん。昨日に続き太宰治です。 短編で、読みやすくて、最後が妙にあっけらかんとした終わり方で、少し笑えもしました。 悲しみを吹き飛ばすような、読んでいる私が救われるラストシーン。 なんでこんな終わり方なんだろう?と思っていたら、このあと人間失格を執筆したということを知って、腑に落ちました。 これから大きな事をする時って、嵐の前の静けさのような感じで普段と言動やテンションが変わったりしますよね。 作家の新しい一面を知るのも読書の楽しみのひとつかもしれません。

          9.斜陽

          9冊目は斜陽。太宰治。 好きです。 夕日ってどの場所から眺めても綺麗なものだと思うんですが、この作品も、どのページを開いても、一瞬一瞬、美しくて、夕日を眺めているような気持ちにさせてくれました。 とくに感情表現が豊かで、喜びも不安も、どうしてこんなにピタッと言い表せるんだろうかと、文章を読み返してはウムウムと、心が弾みました。 どの登場人物にも共感できる部分はあり、とくに直治の手紙には圧倒されます。 この、直治という人が感じていたすべては、もしかしたら、誰もが少なからず

          8.破戒

          島崎藤村さんの、破戒。 戒めを破る。どんな戒めだろうと思いつつ本の後ろの説明を見てしまったので大体わかりながら読み進めました…! 部落差別を描いた作品で、映画化もされています。 この作品自体が差別だという批判もあり、一時絶版になったそうですが、今こうして私が読めるという事実がすべてを物語っていると思います。 ここからは私の個人的な意見です。 人種もですが、出身で人を差別をするなんて、絶対しちゃいけないことだよ。 って、時代とともに言えるようになってきたんですよね。きっと。

          7.春琴抄

          7冊目は谷崎潤一郎の作品、春琴抄です。 唐突ですが、皆さんは歌を唄う時、必ず合間合間に息継ぎをしますよね。 じゃないと、苦しくなって、意識が遠のいて、一大事です。 でもこの本はその、一大事が起きてしまいそうな、息継ぎする間がないんです。個人的に感じることかもしれませんが...。 この文章はどこで区切ればいいんだろう?と思って読んでいたら物語が終わりに差しかかっていた、という感じです。 あらすじとしては、 盲目の三味線奏者・春琴に使えていた佐助ですが、春琴の美しい顔が

          6.恋のゴンドラ

          タイトルからウキウキ、6冊目は東野圭吾さんの、恋のゴンドラです。 いきなりラストの感想なのですが、とても痛快で爽快です。 桃実に乾杯!と拍手を送る私がいました。読んでいない方は何が何やらという感じでしょうが、女性なら多分、同じ感想を持たれると思います。 自分で撒いた種は自分で刈り取らないといけないんだなと、しみじみと感じるラストです。 もし、広太を演じるならどんな役者さんがいいかな、と今イメージしています。 広太というのは物語の主人公的存在なのですけど、一言で言うと大浮

          6.恋のゴンドラ

          5.こころ

          今日は5冊目ですね。 夏目漱石の、こころ。 こころって本当にコロコロ変わるものだと思います。 朝あんなに明るかった人が夜には落ち込んでいたり、さっきまで怒っていたと思ったら急にやさしくなったり。 私は人のこころほど単純で、でも複雑なものを見たことがありません。 もし私が今、登場人物である先生と同じ過去を持つとしても、さすがに最後あんな選択はしないと思いました。 でも、これが今ではなく当時、明治を生きている人間だったら、もしかしたら、もしかしたら、同じ選択をしたかもしれ

          4.沈黙

          4作目は、遠藤周作さんの、沈黙です。 どんな話か前情報を入れずに購入したのですが、江戸時代キリシタン弾圧の最中に布教に来たポルトガル人達の苦悩をあぶり出すようなお話でした。 私は無宗教なのですが、空や雲、山や海、花を見ると、信仰心ってこういうものなのかな…と我に返ります。 自分を包む大きな存在といいますか、及ばないもの。 小説の内容は、信仰や神の存在についても考えさせられるものでしたが、 異国(日本)へ来て、しかも当時弾圧されていたキリスト教を布教するって、物凄い覚悟だ

          3.ジーヴスの事件簿

          3冊目は海外で人気のシリーズ作品から。 自分の内へ内へ入る、考え込むような作品が続いたので、気軽に読めるものと思いこの小説にしました。 登場人物のセリフが多いからか演劇を見ているようで、もし演じるならどの役にしようかなぁと、そんなことを考えながら読めました。 水戸黄門や寅さんもそうですか、なんとなくラストシーンの予想がつくものって安心します。 寅さんシリーズなら、ラストシーンは必ずマドンナにフラれて、また旅へ出る…と決まっていまして。 もうちょっとだったのに!と寅さんの

          3.ジーヴスの事件簿

          2.雪国

          2冊目は、雪国です。 真っ白い装丁を目にすると、気持ちもヒンヤリしてくるよう。 視覚から入る情報って影響力がすごいですね。 国境の長いトンネルを抜けると…の一文は、感情がグッと盛り上がります。 どんなに綺麗な雪景色なんだろう、と自分の知っている雪山を想像しました。 反対にその次の一文、夜の底が…では心が空っぽになるような、取り返しのつかないことが始まるような予感になり。 感情が縦に横に揺さぶられる始まりでした。 登場人物のやりとりに共感するところもあれば、そうではない

          1.人間失格

          1日1冊100日チャレンジ、1冊目は太宰治の人間失格からスタートです。 学生時代に読んで以来、20年ぶりにしっかり読みました。 当時は人生経験も浅く人の心の機微に今ほど敏感ではなかったので、太宰治の世界観がよくわからないままでした。 ですが昨夜読んでみると、時を経て彼の心情に共感する部分が多大にあることに自分でも驚きました。 道化を演じる悲しさ、はっきり意見を言えない時の胸の内、世間と自分との隔たり。 文字を追うごとに陰鬱な気持ちになりましたが、その中でも彼との共通点

          1日1冊100日チャレンジ

          お久しぶりの更新となりました! 遠藤です。 青い小窓の内装着手からオープンまであっという間に過ぎ去り、今はもう11月。早いものですね…。 当初想像していた通りのことも、想像以上のことも、色々な刺激を感じながら密度の濃い日々を送っています。 さてさてそれでは本題です。 チャレンジしたい人の背中を押す。 これが青い小窓のコンセプト。 そのための棚主さんの本でありイベントなのですが、ふと我に返りました。 私は何にチャレンジしているだろう? 数えれば色々とありますが、日

          1日1冊100日チャレンジ