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バッファロー'66、2021リバイバル上映、考えるより、感じてしまうこと

この映画タイトルは、
主人公が1966年に生まれた年と、
故郷地でその年から優勝していないフットボール・チームの名前が由来、。

「バッファロー'66」(バッファロー シックスティ シックス、Buffalo '66)。
1998年製作のアメリカ合衆国の映画。
1999年7月3日に日本では公開され、34週間の大ロングラン、
興行収入 2億5,000 万円を記録する驚異的大ヒット。
そんな初公開以後、
これまでも他の作品に関連したイベント上映などで、数回上映が行われていたみたいだけど、。
2021年1月29日から約20年ぶりとなるリバイバル上映、ロードショー公開された‼。

新たな予告編も発表されてた。
イエスの曲「Heart of the sunrise」が流れ、
‶ Billy Brown is Back 〟
という文字があらわれて、はじまる予告編。
動画↓。「バッファロー'66 予告編」

主人公ビリー・ブラウンを演じた、
ヴィンセント・ギャロが監督・脚本・主演・音楽を手掛けた作品。
レイラ役はクリスティーナ・リッチ。
日本版キャッチ・コピーは、
「最悪の俺に、とびっきりの天使がやってきた」

ビリーレイラ
ふつう、に考えたら恋愛映画では向かない主人公とヒロイン。
憎めないにせよ、横暴で癇癪持ちで気難しい刑務所帰りのダメ男。
そんな彼なのに、すべてをやさしく受けとめるポッチャリ系美少女。
ちょろい、ヒロイン、ちょろイン。

でも、そんな、ふたり、、
・・だったからこそ、かつて誰も見たことのない恋物語となったのかも、。

物語のなかでの淡い関係、
感情と、まっすぐに向きあう、
そんな、ふたりをいとおしくも、
みつめることができる場面が、スキ。

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『 あんたは、あたしにとって
何の役にも、なってくれない

ふつう、に考えたら
それが、まとも

でも、

あたしが、あんたにとって
何かの役には、なれるかもしれない

ふつう、に感じたら
それも、まとも

考えるより、
感じてしまうことを
みつめていたい、。
 』

       涼、。

公開から20年以上経っていても、
魅力はまったく失われていない作品。

刑期を終え、刑務所から釈放された繊細な男性ビリー
誰も迎えに来てくれないし、ひとりぼっち。
故郷の街ニューヨーク州バッファローの実家に戻ろうとは、していたのだろうけど。
トイレがしたくなって、なかなか用をたせない状況に、。
・・って、こんな意表をついた状況設定からはじまっていく、。
もう、これだけで苦笑しつつもヒリヒリと画面に惹きこまれていく感じ、。

トイレを借りた建物の中で、
実家に電話をかけるために、公衆電話から,
かけようとしたけれど小銭がなくて、
ダンス教室でレッスンしてた女子レイラがトイレに行くときに、
彼女から小銭を借りても、
感謝の言葉もない、
横暴で癇癪持ちで気難しいビリー

何も事情を知らない、長年の溝がある両親に電話をして、
挙句の果てに、
「これから婚約者を連れていく」と嘘をついて見栄をはってしまうと、
トイレを済ませて偶然通りがかったレイラを拉致し、
彼女の自動車まで使わせて、妻のフリをするよう脅す、
自己中でクズっぷりなビリー

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両親の前で妻としてふるまうよう強制しつつ、
実家のブラウン家に、ふたりしていくと、
ビリーは子供のころから両親から愛情を受けてこなかったことがわかる。
父親は癇癪持ちで、息子のことを大して気にかけてはいない。
母親は応援しているフットボール・チームのことで頭がいっぱい、
最後にチームが優勝した1966年は、
ビリーの出産のために優勝試合を観戦できなかったことを未だに愚痴る始末、、。
気づまりで、ときおり険悪な時間を過ごすことにもなったけれど、
レイラの気づかいで少しは、なごやかにもなって、
ふたりはブラウン家を去ることができた。

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レイラ役のクリスティーナ・リッチ
美しい妖精みたいで、スキ。
この映画では、かなりふくよかな体型をしてる。
化粧も濃いめで、衣装もちょっと変てこな感じなんだけど、
妖精のような空気が漂っていて、とても不思議な魅力。
ボウリング場で、
キング・クリムゾンの曲「Moonchild」に合わせてタップダンスを踊る、
月の子、そのもの。
動画↓。King Crimson「 Moonchild (Christina Ricci)」

レイラは連れまわされて反発するべきだけど、同行するにつれ、
ビリーの孤独な素顔を知ることに、、。
純粋さや繊細さ、優しさを理解し、優しく接しようとする、、。

ビリーレイラのぬくもりに、かたくなな心をほぐされていく、
でも、
ビリーには実家に戻っただけでなく、故郷地、バッファローでの真の目的があって、。
という展開。

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・・ただ、この映画を観て、
ふつう、に考えたら
レイラは、なぜ逃げないんだろう、と。

強制的に誘拐されるようなかたちで、ビリーに連れ去られ、
しかもビリーはレイラのことをくそっかすに、ののしる。
そんなやつに、ついていくかなって?。
レイラビリーの言うことを従順に守るし、
こんな女子いるのかなぁ~、って!。

なんて都合のいい話、との解釈を
考えたくもなる。
もしかして、
短気だけど気が弱くて、わがままで、うそつきな、
ビリーの妄想の中だけに存在してるのかな、ってことさえも、。

でも、ビリーが泣きながら
ファミレスのトイレで、
「生きられない」と言う場面がある、。
・・
生きられないと、孤独に泣く場面。
強気に振る舞う、横暴で癇癪持ちで気難しいビリーが、みせる弱さ。
ほんの数秒なのに、
観ていて、
感泣しそうになる。

生きて欲しい、と、
考えることより、感じてしまうこと。

画面をとおして観るのではなく、
レイラこそ、
体温を感じるくらいに近くにいる存在、
なら、きっとそうなるのかも、
って共感、、
だから、
その気持ちでみつめたいと、、。

生きることの
弱さ、を描いて
願望、も描いている映画。

ひとが人格的に壊れてしまう原因は「愛情の欠落」。
幼いころからの家庭環境や大人になってからの恋愛関係、
愛情を受けるべき関係のなかで、足りない状況が精神を壊すのかも、
それらがすべての破滅の根源であるのかも、。

でも、それがぜったい治癒しない傷ではない、ってことを、。

すっかり壊れてしまっていても、
誰かが深い愛情をそそぐことによって治癒する、
そんな願望が描かれている作品。

都合のいい妄想であるとか、
考えるより、
感じさせるものが、とても深いのかも、。

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ふたりが写真を撮る場面とか、ななめに寝てたり、お風呂!
・・性描写がないところも、スキ。

孤独に寄り添わせているような、場面がたくさんでてくる。
登場してくる、多彩なひとたちも、
4人がテーブルについてるのに、3人しか映さない画面の構図、
撮影方法であるとかも、
手づくりの風味、現実的な日常で、
撮影技法からして、過去を映す世界観ひとつにも、
映される場面が大切にされているところも、。

「バッファロー'66」
約20年ぶりとなる、
リバイバル上映!、ロードショー公開!、
なんてことを知ると。

DVDも持っていて、再鑑賞しても、、
映画館に行きたくなる。

おおきな、
スクリーン、で観てみたい、って作品に。

考えるより、感じてしまうこと、。

男性なら渡したくなるだろけど、
女子なら、どうかな、
ココアとドーナツを欲しくなるかな、
考えるより、感じてしまうこと、。
作品を最後まで観たら、
きっと、。

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