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鉄印帳の旅(25/40)錦川鉄道

錦川鉄道錦川清流線は岩徳線・川西駅から錦町駅間32.7kmを結ぶ路線である。国鉄時代は岩日線(がんにちせん)と呼ばれ、改正鉄道敷設法が公布された大正11年の時点では、「山口県岩国より島根県日原に至る鉄道」として指定された。日原は山口線の日原駅にあたり、岩国から錦川沿いに進み中国山地を抜けるルートが予定されていた。

岩日線の建設が本格化するのは、戦後のことであり、昭和38年10月までに錦町駅まで開業する。その後も北へ向けて六日市までの工事は進んでいたが、昭和55年に国鉄再建法の成立により工事は中断される。昭和59年には第2次特定地方交通線に指定され、昭和61年11月に第3セクターへの移管が決定、昭和62年4月の国鉄分割民営化により岩日線はJR西日本に引き継がれる。しかし、すでに第3セクターへの移管が決定しており、同年4月には新会社・錦川鉄道株式会社が設立されている。同年7月に錦川鉄道が開業している。

開業にあたり路線名を「錦川清流線」と名付けられた。錦川鉄道のホームページによると、
「その名の通り、名勝「錦帯橋」のある清流錦川に沿って、終点「錦町」まで急峻な山肌を縫うように線路が敷かれ、車窓からは美しい四季折々の景観が鮮やかに写し出され、岩国~錦町まで1時間ちょっとの小さな旅を楽しむことができます。沿線の市町村では、自然に恵まれた見どころが沢山あります。」
とある。文字通り清流・錦川に沿って路線が敷かれている。錦町は錦川清流線の終着駅となり錦川鉄道の本社も置かれている。市町村合併を経て、全駅が岩国市となっている。

全列車が岩国駅から出発

錦川清流線は上下20本が運行されているが、全列車が岩国駅を発着としている。路線上は川西駅からとなるが、川西駅には折返し設備がないため、岩国駅へと乗り入れる形となっている。

岩国駅0番線。錦川清流線の専用ホームとなっている。

宮島口から山陽本線乗り込み、岩国で乗り換える。
14:25発の錦町行きに乗り込んだ。

車両はNT3000形気動車、NT3001せせらぎ号。錦川清流線には同形4両の車両(せせらぎ号、ひだまり号、こもれび号、きらめき号)とイベント列車用のキハ40-10091両(平成29年にJR東日本から譲渡)を所有している。

せせらぎ号
こもれび号
ひだまり号
キハ40「清流みはらし」号

清流・錦川に沿って

列車は西岩国、川西と岩国市街を進む。西岩国は岩徳線が部分開業した昭和4年当時の終着駅であり岩国駅と名乗っていた。現在の岩国駅はこの時「麻里布」駅へと改称したが、昭和17年に麻里布駅は岩国駅へ、岩徳線の岩国駅は西岩国駅と改称している。

西岩国駅。開業当時の駅舎が残っている。

川西駅を出発し、森ヶ原信号場で岩徳線と分岐し、錦川清流線を走行する。最初の停車駅は清流新岩国、山陽新幹線新岩国駅との接続駅であり、開業当初は御庄駅であった。平成5年に開業した「守内かさ神」、南河内まで山合いを走行する。南河内駅で岩国行きの列車と交換する。この先錦町駅まで錦川と並走する。

天気が良ければ穏やかな流れ。水も透き通っている。

観光徐行と臨時駅・清流みはらし

錦川清流線の見どころは川沿いを行くだけではない。清流からの眺めを活かし、眺めの良い区間で時速5km/hに減速する観光徐行が行われている。観光徐行が行われるは、線内の6区間(南河内ー行波、北河内ー椋野、椋野ー南桑、南桑ー根笠、根笠ー河山、河山ー柳瀬)、昼間の下り4本・上り3本で実施されている。

観光徐行は平成22年12月に北河内ー椋野間で新滝「清流の滝」が発掘されたことに始まる。その後車窓の景観4か所を選定し、翌年から日中列車を対象に観光徐行を拡大し現在に至る。

徐行運転により滝の位置を確認できる。

錦川沿いを走行するため、川を眺めながらの旅である。時折集落が見えてくるが、そこに駅が設置されているという具合である。
南桑駅を過ぎ、トンネルを越えた先にきれいなホームが見えた。清流みはらし駅である。しかし、周辺には集落はない。
同駅は国道など道路から自動車、自転車、徒歩でたどりつける道が存在せず、イベント列車にご乗車されたお客様しか訪れることのできない、全国的にも珍しい「秘境駅」である。平成31年4月に開業した新駅であり、平成5年3月開業の「守内かさ神駅」以来約26年ぶりとなる。臨時列車のみが停車するため、定期列車は低速で通過する。眺望の開けた「絶景ポイント」にあり、眼下にある錦川の透明感、山側の滝をはじめ、新緑、ホタル、紅葉、渡り鳥、雪景色などの自然を、四季折々一年通して楽しむことができるという。

ホームだけの清流みはらし駅
上流に向かうにつれて徐々に急峻となっていく。

柳瀬駅を発車し、線内最長の柳瀬トンネル(全長1032m)を抜けると15:34に終着錦町駅に到着した。
本来であれば、この先さらに島根県方面へ向けて路線が続くはずであった。若桜鉄道が若桜駅から先に延伸計画があったものの計画に終わったのと比較して、錦町から先の建設工事が進み、地元の期待も高かっただけにその後中断されてしまったのは残念としか言いようがない。岩日線開業時から乗降客数の少なさが懸念されていたが、国鉄再建策という政治的な動きに抗うことはできなかった。

車内の座席カバーに路線図が掛けられている。観光徐行についてもしっかり記載されている。
腕木式信号機が錦町駅のホームに設置されている。
2階建ての錦町駅舎。
駅名標。
錦町駅。ホーム階段を下った先に改札がある。

鉄印

さて、本題は鉄印の収集である。鉄印は錦町駅で入手できる。
通常版は印鑑と日付入りある。この他に限定版、桃鉄印を収集でき、こちらは書置き式であった。

通常版。
スタンプを押したシンプルなもの。
限定版
桃鉄印と高杉晋作。イケメン過ぎる?

新幹線との接続駅・清流新岩国で下車

鉄印収集を終え、錦町16:02発に乗る。乗車したのはピンク色の「ひだまり号」であった。岩国から乗車した「せせらぎ号」は駅横の車庫へと入れ替えられていた。
車窓は変わらず錦川を眺めながらであり、行きと同様、観光徐行も実施された。16:58に清流新岩国に到着。同駅で山陽新幹線に乗り換えることができる。ホームから新幹線改札口まで地下通路と新幹線の高架下を経て徒歩7分で接続している。

御庄駅の待合室。銘板には日本国有鉄道広島車両所 昭和62年改築の文字。コンテナを待合室に改築したと思われる。
錦川鉄道とはここでお別れ。清流新岩国駅は山陽新幹線に近接している。
御庄駅として開業し、平成25年に清流新岩国へと改称される。
新幹線への乗り換え方法
連絡通路にはなっている。看板も出ている。

新岩国駅からは山陽新幹線で広島駅と向かった。
(END)

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