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普段は乗車する機会が少ない貨物線を走行!185系で行く根岸線・武蔵野線50周年記念列車の旅
10月29日、株式会社JR東日本びゅうツーリズム&セールスが主催する「185系で行く根岸線・武蔵野線50周年記念列車の旅」に参加した。
1973年に根岸線が全通、武蔵野線も府中本町から新松戸間が同年に旅客営業を開始している。今年は開通からそれぞれ50周年を迎えた。
JR東日本185系電車について
1981年にデビューし特急列車から普通列車まで幅広く活躍をしてきた185系電車。2021年に定期運用を引退した後も臨時列車として各地を走っている。
185系は特急型車両として製作されながら初の営業列車は急行伊豆という、まさに幅広い活躍を予言するようなデビューを飾った。
新幹線リレー号として投入された耐寒耐雪・横軽対策仕様の200番台と共に関東一円で活躍し、お召列車として運転されるという栄誉も得ている。
定期列車としては「踊り子」「新特急草津」「湘南ライナー」等として、臨時列車としては「シュプール」「ホリデー快速」等として広く運用され、最近では「ムーンライトながら」として大垣まで足を伸ばしたこともある。
ツアーの見どころ、ポイント
桜木町営業統括センターと横浜運輸区よるイチオシ企画!
★普段走行することの少ない貨物線 高島線・武蔵野線の景色をお楽しみいただけます。
★定期運用を終えた185系特有の走行音や車内チャイムをお楽しみいただけます。
★ご乗車後、車内改札用のスタンパーを使用し、入鋏した電車カードをお配りします。
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磯子駅から出発!
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磯子10:55→桜木町(通過)11:04
磯子駅は京浜東北・根岸線のほか横浜線からの乗り入れ列車の終着駅でもあり、列車本数は多い。当日は日曜日の午前中ではあるものの、5~10分おきに列車が発着する。団体列車は10:51に1番線に入線し、ドアが開くとあっという間に10:55定刻に発車した。
磯子駅を出発して桜木町駅までは根岸線を走行する。車窓右手には首都高速湾岸線と工場群が左手には横浜の閑静な住宅街が見て取れる。
根岸駅を通過する手前には、タンクローリーの貨物を見ることができる。根岸駅から湾岸沿いに石油コンビナートが存在し、根岸は石油備蓄基地でもある。ここから全国各地に石油が運ばれていく。2011年の東日本大震災時は根岸から上越線、磐越西線などを経由して東北地方各地に石油が届けられたことは記憶に新しい。
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根岸を通過すると、列車は左へカーブしトンネルに入る。山手は米軍住宅地が立ち並ぶが、駅手前はトンネルで挟まれている。次の石川町は中華街への入り口、やがて横浜中心部の街並みが広がり、右手には横浜スタジアムが見えたところで関内を通過する。関内から桜木町までは目と鼻の先にある。列車はゆっくりと通過し、進路変更する。ここからが通常では味わえない特別な旅の始まりである。
貨物線高島線へ入り未知の世界へ
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桜木町(通過)11:04→東高島(通過)11:08→鶴見(運転停車)11:15
桜木町を通過し、線路を転線。ここから東海道貨物線支線の一つ高島線を走行する。
列車は地下トンネル(高島トンネル)に入る。トンネルを出たところで右手には「K・Arena」が見えた。この辺りは単線で普段旅客列車が走ることはない。沿線も運河、物流倉庫、工場などが立ち並ぶ地帯である。11:08に東高島駅を通過する。駅といっても貨物取扱駅である。ここから伏線となる。車窓左手には東神奈川駅であろうか。タワーマンションが見て取れた。貨物線からでなければ見ることのできない貴重な景色である。首都高速横羽線とすれ違ったあたりが新子安駅付近であり、しばらくすると京急本線と東海道線の線路が見えてきた。京急本線を横断し、生麦駅を右手に今度は地下からの線路が見えてきた。横浜羽沢駅からの貨物線でありこちらも東海道線の支線である。花月総持寺駅を過ぎ鶴見線の高架をくぐると鶴見江に到着する。今回の列車はいくつかの駅で停車するがドアは開かない「運転停車」が存在する。最初の停車駅・鶴見も運転停車である。ここで運転士が交代した。
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武蔵野貨物線:長大トンネルを走行し多摩へ
鶴見(運転停車)11:17→新鶴見信号場(通過)11:26→梶ケ谷貨物ターミナル(通過)11:37→府中本町(通過)11:54
鶴見駅を発車すると、鶴見川を渡り、東海道線と京浜東北線をアーチ鉄橋で越え品鶴線を走行する。この辺りでは横須賀線や湘南新宿ライン、相鉄線直通列車と並走する。ここも東海道線の一部であることを強調しておく。右手に新川崎駅のタワーマンションが見え、貨物用機関車が多数留置されているのが確認できた。
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列車は新鶴見信号場に差し掛かる。横浜羽沢駅からの相鉄線直通列車とは同信号場で分かれ、列車は転線し、下りながら小杉トンネル(5,382m)に入る。左に大きくカーブしながら川崎市郊外のニュータウンをトンネルで進んでいく。ここから武蔵野線となる。正確には武蔵野貨物線と呼ぶ方が適当であろうか。
武蔵野貨物線は1978年に開業している。貨物線でありながら全線複線であり、都心を経由しない、首都圏と全国各地の貨物輸送を担う重要路線であることを実感する。貨物列車とも頻繁にすれ違った。トンネルが続くため景色は楽しめない。
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トンネルを出たところが梶ケ谷貨物ターミナルであり、広大な貨物ターミナルが見渡せた。近くには東名高速道路の東名川崎インターも近い。
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低速で通過すると、すぐに生田トンネル(10,359m)へ入る。トンネルでありながら、徐々に上り坂を走行している。武蔵野・多摩丘陵地に差し掛かっていることを実感する。
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トンネルを出たあたりが東京都稲城市、ちょうど京王相模原線の稲城駅を跨いだ。多摩ニュータウンの住宅地を見ながら、右手から南武線と合流し、多摩川を渡ると府中本町駅を通過する。鶴見駅から28.8キロの地点である。
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武蔵野線について
武蔵野線(むさしのせん)は、神奈川県横浜市鶴見区の鶴見駅から千葉県船橋市の西船橋駅を結ぶ東日本旅客鉄道(JR東日本)の鉄道路線(幹線)である。他に、新小平駅 - 国立駅間、新秋津駅 - (西武鉄道)所沢駅間、西浦和駅・武蔵浦和駅 - (別所信号場) - 与野駅間、南流山駅 - 北小金駅・馬橋駅間に支線が存在する。全線でJR東日本が第一種鉄道事業者、日本貨物鉄道(JR貨物)が第二種鉄道事業者となっている。
山手貨物線のバイパス路線として日本国有鉄道(国鉄)が建設した貨物線で、同時に旅客用にも供用された首都圏の外環状路線である。東京都多摩地区、埼玉県南部、千葉県西部(東葛地域)など首都圏の郊外を結ぶ通勤・通学路線でもあり、東京都心部から放射状に延びるJRや私鉄の各路線との交点に乗換駅が設けられている。旅客営業の起点は府中本町駅であるが、府中本町駅 - 鶴見駅間は現在でも貨物専用路線として機能しており、この区間は旅客営業区間と区別して通称「武蔵野南線」と呼ばれる[4]。当路線の開業により山手貨物線の貨物列車の本数が減少し、山手貨物線を走行する埼京線や湘南新宿ラインといった旅客列車の新設・増発が可能となった。
当路線は東海道本線方面と東北本線方面を結ぶ山手貨物線を迂回する貨物線として計画された。開業当初は主に貨物列車が運行されていたが、沿線の宅地化による人口増加に伴い旅客営業を行う府中本町駅 - 西船橋駅間では旅客列車の運行が増加した。本来的には、東北・上越方面と東海道方面を結ぶ山手貨物線の迂回路線として建設、管理されている路線のため、西浦和駅においては与野駅方面へ向かう支線が直進、武蔵浦和駅方面へ向かう本線が分岐する線形となっている。武蔵野線の名称にふさわしく、武蔵野地域・武蔵野台地を貫通して各都市を結ぶ路線であるが東京都武蔵野市は経由しない。
旅客輸送としては東京地区の電車特定区間の一路線である。ラインカラーはオレンジバーミリオンで、旅客案内や運行される車両の車体色に使用されている。本路線は、直通運転を行う京葉線、府中本町駅で接続する南武線、その西側を通る横浜線とともに東京都心と郊外を結ぶ他社線との接続駅を多く持つ「東京メガループ」の一つに指定されている。
貨物輸送としては、東海道貨物線と東北貨物線を結ぶほか、短絡線を介して中央本線・東北本線・常磐線とも接続し、西船橋駅から京葉線を介して千葉貨物駅とも直結し、首都圏鉄道貨物輸送の大動脈となっている。線内に梶ヶ谷貨物ターミナル駅・新座貨物ターミナル駅・越谷貨物ターミナル駅の3つの貨物駅が設置されている。
東京メガループ・武蔵野線を走る
①府中本町(通過)11:54→西国分寺(通過)12:00→新秋津(運転停車)12:08
武蔵野線は府中本町駅が始発となる。旅客列車が多数確認し、府中トンネルに入り、列車はスピードを上げていく。北府中はトンネルに挟まれた駅で、西国分寺付近では高架で通過する。同駅は中央線との乗換駅である。
しばらくすると小平トンネル(2,654m)へ。このトンネルで国立駅からの武蔵野支線と合流する。この支線を使って、八王子から大宮駅までの「むさしの号」が1日数本運行されている。貨物線と旅客線をフル活用する首都圏輸送の特徴が見て取れる。新小平駅での約4キロはトンネル区間となる。新小平を通過し新秋津までの5.6キロも東村山トンネル(4,380m)で武蔵野線の旅客区間では最長トンネルである。
トンネルを出たところで新秋津駅に到着する。新秋津駅の中線に入線し、ここで30分の運転停車。運転停車中に当ツアーの見どころの一つ、185系に関する紹介と車内チャイムメドレーが披露された。
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②新秋津12:37→新座貨物ターミナル(通過)12:44→西浦和(通過)12:52→南浦和(運転停車)12:58
新秋津は西武池袋線(秋津駅)との乗り換え駅である。ホームには多数の乗客が確認できた。
定刻に出発し北進していく。次の新座までの間で東京都から埼玉県に入る。東所沢は武蔵野線の電車区があり、早朝深夜の列車は当駅までの行先が見られる。東武東上線との乗換駅・北朝霞を通過する。駅周辺は住宅地が続いており、都心の玄関は池袋に当たるが東武東上線の急行でも約15分程度でアクセスできる好立地である。新秋津と同様駅ホームには乗り換え客が多数見られた。
北朝霞から西浦和までは駅間約5キロで荒川を渡る。線路脇には防風柵が頑丈に取り付けられているが、周囲に大きな建物もなく、強風に見舞われれば列車運行の障害ともなりかねない。
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西浦和駅手前で転線し、同駅を通過する。転線したのはこの先大宮方面との支線が存在するからである。別所信号場で大宮方面の線路と別れ、反対に大宮方面からの線路と高架で合流する。別所信号場では両方向から貨物列車等が行き交う。高速道路のジャンクションのようである。大宮方面からの直通列車(しもうさ号)が1日数本ながら運行している。合流地点で東北新幹線と埼京線の高架をくぐり、武蔵浦和駅通過となる。次の南浦和駅で3度目の運転停車となり乗務員の交代が行われた。
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③南浦和12:59→越谷貨物ターミナル(通過)13:09→吉川美南(通過)13:17→新松戸(通過)13:24→西船橋13:42
南浦和駅は京浜東北線と乗り換え駅、武蔵野線は首都圏郊外を環状するルートを辿っているため、JRや私鉄各線との乗換駅が多数存在し、乗客の多い路線である。全線を通しての乗客は少なく、乗換駅と乗換駅で流動しているといってよい。
東浦和の次、東川口は埼玉高速鉄道、南越谷は東武伊勢崎線(スカイツリーライン)、南流山はつくばエクスプレス、新松戸は常磐線各駅停車、新松戸は北総線、成田スカイアクセス線、西船橋は総武線・東京メトロ東西線・東葉高速鉄道との乗り換え駅となる。
南越谷駅までは東の直進するように進み、やがて越谷貨物ターミナルが見える。ここも貨物輸送の一大拠点である。
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越谷レイクタウン、吉川、吉川美南は開発エリアであり、大型ショッピングセンターが立ち並ぶ。新三郷駅手前で武蔵野操車場が存在するが、すでに使用されている様子はなく操車場内の線路は錆が目立っていた。江戸川を越え埼玉県から千葉県へ。南流山を通過し、通称・馬橋支線と別れ新松戸を通過する。馬橋支線を経由して常磐線に乗り入れが可能となる。最近では臨時列車が常磐線から武蔵野線を経由しては大宮、八王子方面へ多数運行されている。
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列車は南へ進み、住宅地と丘陵地を縫うように走行していく。新八注、東松戸、市川大野と通過し、中山競馬場の最寄り駅船橋法典を通過すると、やがて終着の西船橋に到着した。
磯子から約2時間40分の旅であった。到着後、列車はすぐに東大宮操車場へと回送された。
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実はまだまだ現役185系
12月1日〜2月29日の冬の臨時列車の運転計画が10月20日にJR各社が公表した。
185系についても今冬の臨時列車で首都圏各地を運転することが発表されている。
定期列車としての運行はすでに終了しているが、臨時列車として今も大活躍である。デビューからすでに40年以上が経過しているが、現役で今も走り続けているのは車両の維持に関わるすべてのスタッフの努力の結晶である。あと何年運行できるかは分からないが、1日でも長く走り続けてほしい。
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