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#4 ポール・マッカートニー の新譜「McCartney III」を聴いて雑感
「レッツ!ビートルズ on note」では、ポッドキャスト版「レッツ!ビートルズ」のトーク内容をギュギュッと縮めた編集版でお伝えします。完全版はぜひ、PodCastを聞いてみてくださいね。
こんにちは。執筆役はライターの大塚です。今回も嬉野温泉旅館大村屋にて収録しました。
いつもここのバーカウンターで録っています
「McCartneyⅢ」ついに発売!試聴会敢行
北川:はじまりました。「レッツ!ビートルズ on Podcast」。12月18日、「McCartneyⅢ」が発売されました。マッカートニーシリーズ三部作の三作目。
大塚:三部作だったんですね。
北川:だったんですね。笑 発売日にたまたま大塚さんが大村屋にお泊りいただきまして。試聴会を大村屋の湯けむりラウンジで行ったんですけど、よかったですね。
大塚:よかったです!
#PaulMcCartney の発売を記念して大村屋ではポール好き3名でリスニング会を開いてます! pic.twitter.com/z51iNyONL4
— 嬉野温泉 旅館大村屋(Ryokan Oomuraya) (@oomuraya) December 18, 2020
北川:昨日の夜はね、もう一人「高橋師匠」というね、ぼくのポール追っかけの先輩と一緒に聴いたんですよね。わざわざ山口から。
大塚:いやあ、すごい。でもやっぱり一緒に聴くっていうのは、いいものですね。
北川:すごく楽しいですね。で、まだ解説とか出てないじゃないですね。そこで簡単に雑感と言うか、簡易的なレビューをお互い述べたいなとは思うんですが。どうでした?
インストが多い「McCartney」シリーズ
大塚:けっこう賛否両論にはなるかなと。とっつきやすいメロディと言うか、やっぱりポールって歌メロにみんな注目しちゃうんで、そういうものはちょっと少なかったかなと。ただ、歌メロ以外に楽しめる要素がいっぱいあったので。ぼくはすごく楽しかったですね。
北川:そうですよね。
大塚:「Long Tailed Winter Bird」もそうですけど、歌が少ない曲がけっこうありましたよね。歌わない時間が長い。それがけっこう特徴的かなと。
北川:「McCartney」シリーズはインストが多いイメージがあるので、「McCartneyⅢ」と名付けた理由はそこもあるのかなあ、と聴きながら思いましたね。
大塚:全体を通じて、なんだか「ポールのスタジオにお邪魔した」ような、生々しさがありますね。
北川:最初の「McCartney」に近い生々しさというか。
最初の「McCartney」にもインストが収録
北川:「McCartneyⅡ」は電子音楽の要素が強かったですよね。
北川:ぼくも大塚さんと同じ印象ですね。なんだかスルメになりそうなアルバムだなと。とにかく音がかっこいいなぁ、ってことですね。「ポール一人でいいじゃん!」って。
大塚:一人でよかったですね。
北川:「Chaos and Creation in the Backyard」も一人だったので、当時「McCartneyⅢじゃないか」という声もちらほらありましたけど。
大塚:ありましたね!
北川:でもやっぱり「Chaos~」は歌モノなので、「McCartney」シリーズではないのかなと。言って「McCartney 2.5」くらいの立ち位置になってしまう。笑
ポールは作曲をセラピー代わりにしている?
大塚:今回の「McCartneyⅢ」、ポールが自分との対話を音を通じてやるような感じなんですよね。ぼくらを楽しませようという気持ちももちろんあるとは思うんですけど、何より本人が「制作を楽しもう」というか。
北川:そうですよね。
大塚:スタジオでああだこうだやっているポールのイメージが頭に浮かぶのが、いいなぁと。「McCartney」シリーズの魅力なのかもしれない。
北川:「McCartney」シリーズって、その時期その時期で大きな出来事がありますもんね。最初だとビートルズ解散。2作目だとウイングスがバラバラになりそうなところ。今回はコロナ禍。大きな出来事の中で、ポールが「セラピー」的に音楽をつくるみたいな。
大塚:いや、あると思いますよ。
北川:精神安定のために音楽をつくるみたいなとこはあって。ポールの処女作の「I Lost My Little Girl」※。
※I Lost My Little Girl:14歳の頃のポールが初めて作曲した楽曲。公式音源は1991年にMTVアンプラグドに出演したときのもののみ。
北川:あれって、自分のお母さんを失ってしまったことを歌った曲と言われているんです。ポールの作曲のルーツは「悲しみを癒すため」とも言える。
大塚:なるほど!
ジョンが亡くなった際も「Here Today」を作曲
北川:だから、今回もすごく自然な形でアルバムになっちゃったんじゃないですかね。
日常にスッと溶け込む「McCartneyⅢ」
北川:「McCartneyⅢ」を聴いた後に、前作の「Egypt Station」を聴いたじゃないですか。そしたら、「Egypt Stationはやっぱり名盤だ」ってなって。笑
大塚:なりましたね。笑
北川:でもこう「Egypt Station」や「NEW」って、「つくってやるぜ!」みたいな気合を感じて。なんかこう「何回も聴けないな」っていう。「McCartneyⅢ」はずっと流し聴きできる。あまり演出されていない、自然体のポールが見られて、ぼくは嬉しかったですね。
大塚:なんかこう、心の隙間に入ってくるような感じの。「Egypt Station」とかやっぱりもう、メロディーが美しくて。めちゃめちゃいい曲ばっかりだったじゃないですか。
北川:改めて名曲ですよね!高いトラベラーズボックス※買ってよかったなって、改めて思いますよ。
大塚:あははははは。笑
※Egypt Station (Traveller’s Edition):ポールのアルバム「Egypt Station」の特別ボックスセット。全世界3000セット限定発売(完売)。ヴィンテージ・スタイルのスーツケース型ボックス仕様となっており、定価は60,500円(税込)。
大塚:ぼくはライターなので執筆しながら音楽を流しますけど、やっぱり「Egypt Station」だと曲の方に頭が持ってかれちゃうんですね。日常の主役になっちゃう。それはいいことだと思うんですけど、「McCartneyⅢ」は主役になろうという感じではないので。
北川:たしかに。
大塚:作業用BGMにめちゃめちゃいいなと思って。じんわり入ってくるというか。もうぼく3周聴きましたけど、やっぱり3周目がいちばん楽しいし。4週目も楽しんだろうなぁ、と。
北川:そうですよね。毎回発見があるというか。
「McCartneyⅢ」でお気に入りの曲
北川:いろいろ聴いて、どの曲がいちばん好きでした?
大塚:「Seize The Day」ですかね。これちょっと、この中で一番いつものポールっぽいのかもしれないなっていう曲でもあるんですけど。
北川:けっこう「ビートリー」ですよね。ぼくはね「Deep Deep Feeling」。
大塚:これ多分、だんだん好きになっていくやつですよね……。8分越えという曲目リストの分数を見たときに、ちょっと「ウエッ」って感じだったんですけど。笑
北川:同じ「長い」で言うと、「Hey Jude」の最後のコーラスよりも長く感じないですよ。アレンジ力と言うか、曲の力はありましたね。
北川:あと「なんかずるいな」と思ったのは、最後の「When Winter Comes」。これ、声にハリがあるなと思ったら、92年の録音をそのまま持ってきてるっていう。昔の声で終わらせるっていうのは、ちょっとずるいんじゃないのかと。笑
大塚:(最後に流されると、声の)印象が、よくなりますよね。笑
北川:まあ、それ抜きにしても、「Egypt Station」に比べると、声のハリがあって、若々しかったなっていうのが印象で。やっぱりツアーがないぶん、喉を酷使してなくて。なんかそれは嬉しかったことですね。
大塚:声に潤いを感じましたね。
北川:あまりかすれてないっていうか。
大塚:「Egypt Station」を聴くと、やっぱりかすれてはいましたもんね。とはいえ、あれがやっぱり78歳の歌声と考えるととんでもない話……。
北川:とんでもないですよ。78歳が全部自分でやっているわけでしょう。「Deep Deep Feeling」とか8分ですよ。普通倒れますよね。ねん挫しそうですよ。笑
大塚:そうですよね。
北川:内ジャケにもありましたけど、ヨガしてたじゃないですか。
「McCartneyⅢ」の内ジャケに掲載された写真
北川:ぼくは見たことがあるんです。ポールが来日したときに、ホテルのジムで一緒になったという出来事があったんですけど。
大塚:聞きました。
北川:その時にやってましたよ、これ。
大塚:情報のソースが「実際に見た」というのはすごいですね。笑
北川:「見たやつだ!」と思って嬉しくなりましたね。アレ、出したかったんでしょうね。「78でも倒立できるぜ」みたいな。笑
大塚:たしかに内ジャケの写真の日常感はけっこうレアですよね。日常「っぽい」写真はあるけど、やっぱり「撮影」って感じで。でも今回はナンシー(ポールの妻)の姿があったり。
北川:そうですよね。なんかいいですよね。
「ツアー」と「新作」どっちが嬉しい?
北川:コロナがおさまれば、またツアーをやると思うんですが……。もう78なんだから、今回みたいな感じで曲をつくり続けてもらった方が、ファンとしてはいいのか、どっちなんでしょうね。
大塚:うわああああああ。難しい話題を放り込んできますね。たしかにこんな感じでツアーをしないことで、作品にハリが出たり、発表頻度が増えたりということがあるんなら、ちょっと考えちゃいますよね。
北川:会いたい気持ちはあるんですけど、こんな作品が数か月あればできるんだったら、もっとつくってほしいなって欲もありますよね。
大塚:なんかこうやって、ファンをザワつかせる作品をつくるの、ホントすごいなって思うんですよね。「賛否両論」とかホントエライなと思って。「攻め」なんですよね。
北川:もう求められるものだけでいけると思うんですよ。今回、インストが多いとか、メロディアスな曲じゃない曲ばかりじゃないですか。いやあ、よかったですね、今回。あと、何回こういう体験ができるか。
大塚:本当に貴重な体験ですよ。幸せなことですよね。
北川:なんか発売日を待つとか。
大塚:そう。CDを買いに行くという体験を、久々にやったんですよ。普段はAmazonとかで注文して買うんですけど、やっぱり大村屋さんに行くということで、車の中で聴きたいなと。それで、途中のCD屋さんに寄ったんですけど、全然なくて。3店舗目でようやく見つけました。
見つかって嬉しかった
大塚:そもそも「洋楽」のコーナーっていうのが、もうホントにちょこーっとしかない。
北川:へぇ~。もうみんなサブスクなんでしょうね。
大塚:もうCD売り場はジャニーズですよ。特典狙いでCDなんですかね。
北川:それを言うと、ポールもジャニーズ化しましたね。ジャニーズよりひどいんじゃないですか?今回の発売形態が50種類……。
大塚:ジャニーズそんなことしないです。笑
北川:今回、何種類買ったかなあ。4種類は買いましたよ。LPと、通常版、ボーナストラック付きと、楽譜付き。
大塚:しかし、あの曲たちの楽譜……ですか…。笑
北川:インストとか歌が少ないのに、楽譜が出るっていう。笑 弾き語りできる曲ってあんまりないですよね。「Pretty Boys」とか。
北川:あとは「Find My Way」とか。
北川:最初の「Long Tailed Winter Bird」は……。
大塚:ギター、何人か集まって。
北川:バンドでやると、楽しいんでしょうね。あとは「The Kiss of Venus」とかね。「Seize The Day」とか「When Winter Comes」とか、そのあたりはいいのかな、と思いますね。
北川:それにしても、まさか楽譜付きまで出るとは、いろいろ考えますよね。ポールのスタッフも。どうしても1位にしたいんでしょうね。
大塚:今、CDを買うというのは、海外でも少ないですよね。
北川:今、アナログレコードはCDよりも売れていますから。
北川:もうちょっとしたら、デラックスとかが出ちゃうんでしょうね。
大塚:今回も膨大なアウトテイクの量があるでしょうから、それを「デラックス」でどーん!と。
北川:「Deep Deep Feeling」15分版とか。笑
大塚:ちょっとそれは逆に聴きたいけども。笑
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などなど。ぜひ本編のPodcastも聴いてみてくださいね。「McCartneyⅢ」は今も執筆中にBGMとしてパワープレイしてます。全然飽きない。ぜひ皆さんも聞いてみてくださいね。
それでは、See You Next Time!!