ホラー映画は勘弁してください

毎日、利用者から、ホラー映画を勧められています。しかし私は、ホラー映画は絶対に観ません。

私は、障がいのある人が利用する事業所を経営しています。法人の本部が事業所に併設をしているため、法人の事務室には、利用者がいろいろな話をしに来てくれます。また、いろいろなお誘いも受けます。

「髙橋くん、来週ヒマかなぁ、遊び行かない？」

誘ってくれるのはたいへんうれしいです。遊びに行きたい、その気持ちもわかります。しかし、利用者も大勢います。一人ひとりの誘いに応えることができません。あやまってお断りをします。

誘いは「どこか行こうよ」と言われるときもあれば、具体的なお誘いもあります。カラオケ、ボーリング、映画、飲み会など様々です。利用者は、カラオケ、ボーリング、映画は、ガイドヘルパーさんと行くことがあります。しかし、飲み会はありません。飲み会にはあこがれているようです。

この前は「からあげを食べに行こう」という誘いがありました。家の近所に唐揚げ屋さんがオープンしたそうです。また「マックのドライブスルーに行こうよ、つきみ食べにさぁ」と誘われました。私が「おごり？」っと聞くと「ダメ」と即答で言われてしまいました。いつものパターンです。

ホラー映画は勘弁してください

最近、困っている誘いがあります。ホラー映画、指定で誘われます。休み時間になると「髙橋くん、リング、リング行こう」と誘いに来ます。私は「怖いのやだ」と逃げます。すると「リング、パソコンで調べて」と言うので、私は「仕事のパソコン、映画ダメ」と伝えます。周りの支援者は、私と利用者のやり取りを見て大笑いしています。

夜、その利用者からメールが届きました。
「髙橋くん家でリング見る」

翌日、事務室にその利用者が来て、すぐに言われました。
「髙橋くん、リング見たか？」
私は「怖いのやだやだ」と逃げます。

それからしばらくして、次に誘われたのが「呪怨」という映画です。タイトルからして怖いです。私は、ホラー映画は絶対にダメです。

怖いの観たら仕事行かれない

私は、小学校低学年のとき、お袋に連れられて、映画館で「エクソシスト」を観ました。それから私は、怖くて夜も眠れず、３日間ほど学校を休みました。今、利用者からホラー映画に誘われたときは「ダメ、怖いの観たら、髙橋くん仕事来れない」と言い訳をしています。

今週は「バイオハザード」という映画に誘われました。タイトルは聞いたことがあります。しかし、内容は知らなかったので、不用意に自分のスマホで宣伝動画を観てしまいました。ゾンビでした。

これから、動画アプリを開くたび、ゾンビ映画を勧められたらどうしよう、少し不安です。

今は、テレビでもスマホでも、情報があふれる時代です。楽しいことがいっぱい伝わってきます。しかし、それが実現できません。利用者の皆さんは、その中でもどかしさを感じます。また私には、そこに手が届かないはがゆさがあります。