情報は多ければ良いわけではない
高齢福祉サービスは、身内も自分も、ほぼお世話になるサービスです。でもほとんど使う直前までその仕組みを知りません。かといって、事前に説明されても理解できません。だから一つだけ覚えておいてください。
サービスが必要になった時、当事者のことは制度が何とかしてくれます。ただし、その制度を使うまでの手続きは、一切の妥協がなく、身近な者に全責任と手間がのしかかります。必要なことは覚悟です。
昨年の5月にお袋が特別養護老人ホームに入居しました。お袋は歩けなくなり、数年在宅でヘルパーやデイサービス使って生活をしていました。幸いにも私の家が近所だったので私も毎日、顔を出すことができていました。でもサービス利用にも限界が来て、昨年の5月に老人ホームに入居しました。
ホームは、申込んでから一か月ほどで入居できました。大変ありがたいことです。でも大変なのは手続きです。ほんのわずかの間に山のような書類に目をとおして、署名をして、役所に行ったりしなければいけません。役所は平日の9時~5時しか空いてません。これはかなりの重労働です。覚悟しておいた方が良いでしょう。
ご存知のように私は社会福祉法人の経営者です。でも私の専門は障がい分野なのでわからないことばかりです。ただ、専門用語は耳慣れていたので幾分楽でした。書類の中には、誓約書とか万が一の時のこととか、脅かされるような内容もあります。まったく知らない人にとっては大変なことです。
お袋が入居しているホームは私の職場の近所なので、週の半分以上は顔を出すことができています。ホームの支援者の皆さんもとても良くしてくれます。ただ、書類のわずらわしさはいまだに続いています。行政やホームの事務から、「髙橋さん●●の書類が出てないんですけど…」そんな連絡が頻繁にあります。毎月、たくさん封書が届きます。気がつくと食卓の脇に封の開いていない封筒が束になっていました。
制度では、福祉の供給主体と利用者の間に存在する「情報の非対称性」を克服することとされています。情報の非対称性とは、供給側と受け手側では持っている情報量の差が大きく、不利益が生じるということです。情報はただ押し付ければ解消されるわけではありません。
高齢福祉サービスは誰もが使う可能性のある公共サービスです。説明書きはよりわかりやすく簡単にしてもらえると助かります。
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