教え方のゴールデンルールの難しさ(教える技術 1回目より③)
01月09日(木)から早稲田大学のエクステンションセンター中野校で向後千春先生の「教える技術」が始まりました。今回もそこで学んだことを障がいのある方への支援場面で活用すること、また支援者の働き方改革への活かし方考えて書いていきます。
1回目は、教えることの科学/運動技能の教え方でした。講義では、教えるとはどういうことか、また運動技能を教えるときのポイントについて学びました。今回はこの学びから、福祉サービス事業所における人材育成に関する課題について考えています。
まず一つ目の課題として、経営者も支援者も研修は、無料もしくは低額が良いと思っているということについて書きました。次に二つ目として、教える人を教えることから、ということについて書きました。今回は課題の三つ目として、福祉制度上の限界について書きます。
今回の講義では教え方のゴールデンルールとして次の3つを学びました。
1.スモールステップ
2.即時フィードバック
3.Charenge/Skillバランス
毎年、教える技術を学ぶと、少しづつ取り入れて試しています。しかし、現状の福祉サービスの報酬形態では限界があり行き詰っています。
現状の福祉サービスは、サービス提供実績に応じて報酬を請求することができます。価格は公定価格です。大きな事業所は、ある程度の広さがあれば利用者の数を増やし、報酬を増やすことができます。しかし、グループホームは最初から定員が決まっているので、利用者の数を増やすことができません。利用者の数が変わらないので支援者を増やすことができません。結果、いつもギリギリの支援者数で経営をしています。新しい支援者を雇用するのは誰かが退職をするときです。そのため十分な教育時間を取ることができません。教育を任された支援者も、一日も早くひとり立ちをさせるため、短期間で教育を済ませます。それは教育ではなく引継ぎです。
私は、教える技術を学び、ゴールデンルールを少しづつ取り入れてきました。まずスモールステップで課題を設定しました。1日目は流れを覚えましょう、2日目はそこに利用者の動きを加えましょう、3日目は利用者の好き嫌い、得意不得意を意識しましょう、このあたりまでは順調にいきます。しかし、利用者とかかわる場面が増えると、支援者の意図と利用者の意図がかみ合わなくなり、私もプランを立てられなくなります。
また、その頃になると新しい支援者と一緒にいる時間も作れなくなってきます。さらに私がその場にいると、利用者は私に要件を伝えてしまい新しい支援者がかかわれません。そのため即時フィードバックができません。支援者からは、翌日に話を聞くので翌日フィードバックになっています。
Charenge/Skillバランスは、半分成功、半分失敗が良いフロー状態だと言います。私にはその調整がまだできません。グループホームは、生活支援のため、支援者に援助技術だけでなくある程度の生活力を求めます。そのため比較的ご年配の方が重宝します。しかしその反面、支援者が自分の生活スタイルに利用者の生活スタイルを合わせようとして苦労します。支援者は、何度言っても言うことを聞かない、なんでできないんだと、自分の失敗を責めてしまいます。
もう少し、ゆっくり時間をかけて教えたい、いつもそう思っています。きちんと教えることができないから、支援者は自流に走り失敗します。その繰り返しです。現状の報酬制度の中では、支援者の数を増やすことができず、限界があります。しかし、私がここでゴールデンルールどおりにできないことを責めても解決には至りません。不完全な勇気を持って、ゴールデンルールを忘れない、まずはそこを目標に取り組みます。
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