ホテルの中でも緊張は続く
今週は、障がいのある人利用する事業所の旅行にまつわる記事を書いています。記事は、今までにどんな旅行に行ってきたか、旅行が苦手な人の話、旅行と労基法の関係、外出で学ぶ社会のルール(バスの中)と(新幹線の中)について書きました。今日は、ホテルの中でのできごとを書きます。
今までの記事の中で、旅行は、利用者にとってはレジャー、支援者にとっては仕事であり、社会性を学ぶ場であるということを書いてきました。特に一般の交通機関の中は、多くのことを学ぶ半面、緊張の連続です。そのため、ホテルに着くとその緊張がほぐれます。
観光地のホテルでは…
今日の記事は、観光地にある和室タイプのホテルをイメージしてください。
私の事業所で旅行に行く場合、ホテルの部屋は、利用者3人に支援者1名人です。一部屋に支援者が2人泊まれるほど、支援者の数に余裕がありません。
ホテルの部屋に入ると、支援者は、荷物を片づけながら、部屋に置かれている物の確認をします。ときどき、部屋の物を持ち出してしまったり、壊してしまうことがあります。ホテルを予約する際、あらかじめ、部屋に置かれている物を確認し、状況によっては片づけていただくようお願いをします。その確認作業です。
①部屋に着いた早々
利用者の行動はバラバラです。すぐにテレビをつける人、畳に大の字になる人、お風呂の支度をする人、テーブルの上のお茶菓子に手がのびる人などさまざまです。ある旅行で、利用者が気を利かせてお茶を入れようとしたら、茶筒の中のお茶葉が全部、急須の中に入ってしまったことがありました。部屋に入った早々、バタバタでした。
②ホテルは迷路
大きなホテルでは、利用者とはぐれてしまうことがあります。ある利用者は、支援者が部屋のトイレに入っている内に、部屋を出て、ホテル内の自販機にジュースを買いに行きました。しかし、戻る部屋がわからなくなってしまい、知らない人の部屋のベルを押していました。
③他人の宴会場へ
温泉に入ったあと、宴会までの時間をホテルの売店ですごしているときにはぐれました。たぶん利用者は早く宴会場に行きたかったのだと思います。一人でエレベーターに乗ってしまいました。その後、他の宿泊客のあとについて別の宴会場に迷い込んでいました。
ホテルの中でも予想外のことが起きます。
朝風呂のことで対立
ホテルの中は、部屋単位のグループ行動です。そこでは利用者と支援者の意見や価値観が対立することがあります。あるとき、お風呂のことで利用者と支援者が対立しました。
そのグループの部屋は、自由に行動できる利用者2人と、支援者が常時そばについていなければいけない利用者の4人の部屋でした。就寝前、利用者2人が、2人で朝風呂に行きたいと言いました。支援者は、何かあるといけないから利用者同士でお風呂に行ってはいけないと言いました。支援者は、自分が一緒に朝風呂に行くことができないため、そのような判断をしました。しかし、そのときの説明の仕方をまちがえてしまいました。
私たちは、「何かあるといけないから」という説明をすることがあります。しかし、その説明はあやふやです。何があるのかを具体的にはっきりと説明しなければいけません。また、状況を見極めて、利用者を信頼することが必要です。
そのときは、少し時間をずらして、私も他の利用者と一緒に朝風呂に行きました。朝から幸せでした。
利用者それぞれ、その旅行の楽しみ方はちがいます。ここにも、利用者はレジャー、支援者は仕事、という局面があります。
明日は、旅行の記事、その最後に「お土産・買物」です。