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家族システム論

障がいのある人の支援をするときのつまずきの一つに、ご家族との連携があります。ご家族と連携が取れないと、私のところには、ご家族の愚痴、支援者の愚痴、両方が集まります。

エンゲストロームの文化・歴史的活動理論

私は、障がいのある人が利用する事業所を経営しています。主たる業務は、理事長職です。また、あわせて相談支援事業所の管理者をしていることから、いろいろな相談事が持ち込まれます。昨日のnoteに、相談事が持ち込まれたときは、エンゲストロームの文化・歴史的活動理論を使って整理するということを書きました。

私たちの目に見えていることは、全体のごく一部であり、課題を達成さえるためには、目に見えない「ルール」「コミュニティ」「分業」があります。この理論では、それらが複雑に影響しあっているということを示しています。

家族システム論

家族は、重要なコミュニティです。利用者の生活に大きな影響を与えます。たとえグループホームに入居していても家族の影響は絶大です。利用者は、家族内でのルールや役割を維持しようとします。利用者を支援するためには家族と過ごした時間を理解することが大事です。

相談援助技術では、家族システム論、家族システムアプローチを学びます。そこでは、対象となる人は家族というシステムの一員であり、家族は相互に影響しあっているため、切り離して支援するのではなく、家族を一体的に支援するといいます。しかし、現実の支援は、福祉サービスが縦割りのため、機能しないことがあります。

障害福祉と高齢福祉間のみぞ

私たちの利用者は、障がいのある人たちです。その家族が高齢になると、家族は高齢福祉サービスの対象となります。別々のサービスが介入し、サービス間の連携がとれません。

また、家族が高齢福祉サービスの対象の手前だったり、家族が、サービスの申請をしないと支援が入らないことがあります。支援が入らない理由は、報酬の対象外だからです。

その結果、家族というシステムが機能しなくなり、問題はより深刻化します。

家族の話を聴くことが始まり

また、支援者が、家族というシステムを切り離そうとすることがあります。利用者への支援方針が家族と一致しないと、支援者は、「あの家族はダメな家族だ」というレッテルをはります。私のところに「あの家族は話を聞いてくれません」と愚痴を言いに来ます。

家族に、支援者の話を話を聞いてもらうには、まず最初に、家族の話を聞くことから始めます。その話の中で、その家族のルールや家族の中の役割を理解します。このときに「エンゲストロームの文化・歴史的活動理論」が役立ちます。

私は、いっぱい失敗をしてきました。ご家族と連携がとれなかったために、事業所をやめた利用者もいます。利用者本人に迷惑をかけてしまいました。同じあやまちを繰り返さないよう気を付けているところです。

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