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正しく伝える難しさ
障がいのある方の支援をしています。もう30年以上も経ってしまいました。何年続けていても、ついおろそかになってしまうことがあります。大事なことを忘れないためにここに書き留めます。
私たち支援者の仕事のひとつに、通院先で利用者さんの状態を主治医に正しく伝えるという仕事があります。正しく伝えることは当たり前です。でも難しいことです。
支援者が利用者さんの状態を伝えようとするとき、問題となるのが支援者の主観です。この支援者の主観の強さで利用者さんの飲む薬の量が変わってしまいます。精神科の付添いでは安定剤や眠剤を処方してもらうのでなおさら注意が必要です。
この時期、新しい利用者さんが増えたり、支援者の入れ替わりがあり、事業所全体がざわざわします。その余波を受けて、落ち着きがなくなる利用者さんも出ます。大きな声を出したり、他の人に粗暴な行為に出てしまうこともあります。支援者はその解決策を薬に求めたくなります。ゆえに通院先でその状態を伝えるとき主観が入りすぎてしまいます。その結果、安定剤が増えることがあります。
薬でどうにかならないの…そんな支援者の気持ちもわかります。私もお願い、薬でどうにかならないの…と頭をよぎることがあります。でも薬ではどうにもならないこともあります。さらに安定剤も効きすぎると利用者さん本来の動きを止めてしまいます。これは薬で行動を抑制していることです。
私たちが問題だと思ってしまう行動も利用者さんからしたら、ここから離れたい、というSOSだったりします。一般的に問題行動と称される行動は、ご本人の状態に起因することもあります。しかしその人がおかれた環境が要因になっているということも多くあります。
まずは環境を整えること、それが福祉の領域です。