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【Passage】畑を耕す

アドラー心理学を基本とする子育ておける親の育成プログラム、パセージでは親と子がより良い関係を築くまでの準備段階を「畑を耕す」と言います。土が固いと鍬を入れても入らないし、固い土だと種をまいても芽が出ません。

少し前のことです。私も十分なサポートができず、利用者さんにも支援者にも辛い思いをさせてしまったことがあります。

ご年配の利用者さんと大学を出たばかりの若い女性の支援者との関係です。若い支援者は、こうした方が良い、こうしなければいけない、これではだめだ、そんな信念がいっぱいありました。利用者さんの年齢は、その女性の親よりも上の年齢でした。利用者さんからすれば支援者はまだまだ子どもです。その子どもに自分の生活のことをいろいろ言われるのが嫌でした。

きっかけは些細なことでした。

その利用者は、一週おきにガイドヘルパーさんと一緒に買い物に行きます。そのときに100円ショップで飴を3袋ぐらい買って来ます。それを買いすぎだ、と支援者に注意されたことが始まりです。

利用者さんは、来たばかりの子どものような支援者に、注意されることに腹を立てました。支援者は、そんなに飴ばかり食べていたら体に悪いと、注意して飴を取り上げました。利用者の体を心配しての行動です。でも、結果、二人の関係は悪化していろいろなところに影響が出始めました。

しばらくしてその支援者は退職してしまいました。私が間に入るのが遅すぎました。

若い人たちは、「福祉」の世界にいろいろな希望や思いを持ってやって来ます。私たちはその一番最初の出会いになることがあります。そこで失敗すると若い人は「福祉」に対して嫌な思いだけが残ってしまいます。

まもなく、新しい若い職員がやって来ます。一緒に畑を耕す仕事が始まります。

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